去年の旅メモ

旅の始まりはマディソン。マディソンはわたしの留学先です。大学を中心に廻っている小さくて可愛い町です。乳製品が有名で、濃厚なアイスクリームとチーズにありつけます。でも大学以外はあまり何もないような土地なので、せっかくの1ヶ月の長期休暇、長い旅に出ることにしました。

旅のお供は留学先で知り合ったヨハナ。ドイツからの交換留学生です。学科はインテリアデザインで、ミュージカルや劇のセットデザインをするのが夢だそうです。気が合います。真面目で、大胆で、ふざけるときは全力でふざける、お茶目でかわいい友達です。

最初の移動は、マディソンからシカゴまでのバス。12月22日のシカゴ駅はクリスマスムード一色で埋め尽くされていていました。飾りつけが豪華。なにより興奮したのが、駅内で待ち迎えていたこの列車。

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ポーラーエクスプレスです。元になっているのは、アメリカでベストセラーの児童絵本。

男の子が列車に乗って、北極に旅してサンタさんに会うお話。小さい頃母がよく読み聞かせしてくれて、だいすきな絵本でした。特に北極行き列車の中で子どもたちが飲むホットチョコレートが何とも美味しそうで、飲んでみたいと思っていました。

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実際にポーラーエクスプレスに乗れるイベントらしく、電子掲示板にも、「到着地:北極」と発車時刻がしっかり載ってます。たくさんの大人と子どもがパジャマ姿ではしゃいでるのは不思議で面白い光景でした。

私たちがシカゴから乗ったのは、この2階だての列車。カリフォルニアゼファー号です。52時間、シャワーなし、ベッドなしの移動。もちろんサンフランシスコに行くには、飛行機でひとっ飛びする方が早かったのですが、道中で何州も渡れてしまうこの列車に魅了されてしまいました。

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指定席のほかに、窓いっぱいで車外が望める観覧車両があり、そこでぶらぶらと一日中過ごしていました。

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山を越え谷を越え一人一人住んでないような草地を越え。イリノイ州、アイオワ州、ネブラスカ州、コロラド州、ユタ州、ネバダ州、カリフォルニア州。ロッキー山脈の中を通るコロラド川。列車はクリスマスで家族のもとに帰る独り身又は夫婦で旅行している方がほとんど。川や山脈を通りかかると、カメラやスマホを窓に押し付ける人だかりが。

ずっとお金を節約してカップ麺、マフィン、パンの食事を繰り返してひもじい思いをしていたので、列車で最後の夜はダイニング車両で少し高めのパスタを食べることにしました。若い女性と女の子と相席になり、会話が弾み、楽しい食事でした。

「私たちはネバダの実家に帰るところなの、あなたたちは」

「2人でマイアミまで行くんです」

「良いわねぇ」

我慢しようとしていたデザートのチョコレートケーキを奢りで馳走してもらってしまいました。

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沢山の素敵な景色、人たちとの退屈でのんびりした贅沢な時間。3日間もシャワーを浴びれず、ギトギトした髪をふりみだしながら、私たちはサンフランシスコに着きました。

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