九段ハウス たてものばなし 〜細部まで拘り抜いた意匠と強固な耐震性〜【豆知識・見学方法】
1.九段ハウスとは
◆背景・歴史
1927年 新潟県長岡市出身の財界人である山口萬吉の私邸として建築された
戦時中 空襲を免れる
終戦後 GHQの将校宅として接収
1963年 萬吉の子孫の手に戻る
2018年 登録有形文化財に指定
2018年秋 会員制ビジネスサロンとしてオープン
◆特徴
①改修時も耐震工事がされなかったほど強固な耐震性
②当時流行だったスパニッシュ建築様式
2.建築情報
設計:内藤多仲、木子七郎、今井兼次の共同設計
家具デザイン:梶田恵
竣工年:1927年(昭和2年)
構造:壁式鉄筋コンクリート造
様式:スパニッシュ様式
改修:2018年
改修設計:竹中工務店
3.訪問レポート
通常は一般非公開なので、2024年2月〜3月に開催されていたcuration fairの際に訪問しました。
とにかく細部までのこだわりが素晴らしく、引き込まれました。
①アールデコなデザイン
②アーチを使った窓やドア
③空間に合わせたモザイクタイルや寄木細工の床
寄木細工でも数種類あるのが本当にこだわりを感じます。
④和室の欄間
⑤照明
照明は実は新しいものに変えているそうですが、内装と調和しているので全くそう見えません。
⑥古いボイラー室をそのまま残している
今回のキュレーションフェアでは、ボイラー室も展示空間となっていたのが面白かったです。
4.豆知識
①パビリオン・トウキョウ2021の際には、石上純也設計のパヴィリオンがあった
・パビリオン・トウキョウは、新国立競技場を中心とする複数の場所に、建物やオブジェを設置し、自由で新しい都市のランドスケープを提案する試み
・九段ハウスの庭一面に「木陰雲」という言葉通り木陰のような日除けが広がる
②庭の土管のようなものは工事残土の活用プロジェクトによるもの
私もなんだこれはと思いつつ当時は知らなかったのですが、これは「Earth Library」という、工事残土を活用したものなのです。
・環境負荷低減の為、工事残土の建築活用の拡大を見据えた遠野未来建築事務所のプロジェクトにより作られた
・工事残土を再利用し、外寸の直径が1.7m、中のくぼみに人が一人入ることができるという極小空間
・「本」もおける飾り棚を組み込んでいる
④内藤多仲は、東京タワーを設計した建築家である
・日本における耐震構造技術の生みの親
・名古屋テレビ塔も設計している
⑤ 木子七郎は、内藤多仲と同じ佐野利器の弟子である
・愛媛や大阪に多くの作品を残している
・代表作品は愛媛県庁舎
5.見学方法
通常は一般非公開の会員制ビジネスサロンです。
一般の方の見学は、一般の方入場可能なイベントが開催されている期間となります。
イベントの開催についてはこちらのページをご覧ください。
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