月に行ってしまいたい。そこでは、私は地球にいる家族も友人も知り合いも、誰のことも全く忘れてしまった痴呆と無感情の間の顔をして、ただ一人永遠の暗闇のなかを歩きつづける。どこに向かうの?なんて聞かれることも、自分に聞くこともなく。でも本当は帰る場所があるからそんな風に思うんだ。