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おかあさんの背中

昨年「昭和の家事」をテーマにした対談会に行ってきました。
対談会されたのは、昭和のくらし博物館の小泉和子さんと渋沢栄一の孫 鮫島純子さん。

御年99歳の鮫島さんの世代は、お偉い家系にご奉公に出て、家事を学び、お嫁に行くときの箔にしていた方もまだいらしたようでした。

昭和の家事についての話の中で、鮫島さんは言いました。

昭和の家事そのものももちろん大切だけれど、私は昭和の家事をしているお母さんの背中をみながら、子どもが育つことが大切なのではないかと思います。
子どもが自分のためにご飯をつくってくれたり、縫い物をしてくれたりするおかあさんの背中をみれば、自分は愛されていることを知る。そうすれば、自ら命を絶とうとする人や、他人を虐める人が少なくなるのではないか。

鮫島純子さん

こんなに便利な令和の時代になっても、昭和の家事や、手間ひま、手仕事が大切にされる理由が見えてきたような気がしました。

ただ生きているだけでありがとう、あなたのことちゃんと見ているよ、大好きだよと動の祈りがじわりと伝わり続けていることも子が育つ上では欠かせないものなのだなと思うのです。

ハタキづくり いらない布で
雑巾しぼり 昭和のくらし博物館にて
ハタキがけ 昭和のくらし博物館にて


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●小泉和子さん
昭和8年生まれ。日本の生活史研究家。小泉和子生活史研究所代表。昭和のくらし博物館館長。
家具史、室内史の研究者として全国の文化財の調査、復元に携わる。
昭和26年に建てられ、ご自身が家族で住んだ家を昭和のくらし博物館として保存、公開。

●鮫島純子さん
大正11年生まれ。著述家。渋沢栄一の孫としても知られ、NHK大河ドラマ「青天を衝け」最終回にご自身の幼少の頃が描かれている。

●動の祈り
佐藤初女さんの言葉。

私にとって、祈りとは生活です。
生活の動作、ひとつひとつが祈りです。
心を込めて食事をつくったり
ともに食卓を囲んだり
ごく平凡な日々の営みの中にこそ
深い祈りがあるのです。

初女さんの著書「いのちをむすぶ」より

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