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「きみしかいない。」を嘘にしたの。

わたしの書く「きみ」が9割方あなたのことだった頃。
あの頃は、縁があれば自ずと愛を叶えてくれるものだと思い込んでいました。


そうだね、どこから書けばいいんでしょうか。

わたしはいわゆる「顔がいい男」に強い苦手意識があるんですが、口が上手い男には極端に弱い。恥ずかしい話、「口が上手い男」に惹かれるのは恐らく、多少わたしも口に自信があるからだと思う。少なくとも「自分の言葉でものを言う」点において、わたしは自分の顔なんかよりよっぽど自信を持っていることは確かです。それが祟って一方的な会話にならないように、少し気を遣っています。口の上手い人間にはそれが要らない。こちらが好き勝手言っても大丈夫だという安心感がある。「この人には思ったことをそのまま、等身大で、使いたい言葉を使って言える」という信頼は結構貴重だったりするよね。その心地よさを知ってしまっているから「口が上手い男」に惹かれるんだろう、というのが自己分析です。

わたしはあなたに、「口が上手いね」「人たらしだね」と散々言ってきたけど、悪い意味じゃなかったんだよ。本当に。どう言えば伝わるか、実はずっとちゃんと考えていました。あなたほどは口が上手くないので、完全にあなたの理解力に依存した書き方をします。これをわかりやすく書くのは諦めました。でも、なんとなく伝わるんだろうなと、そんな気がしています。


わたしの言う「口が上手い人」は単にコミュニケーションお化けというわけではなくて、『少し話しただけで相手に応じた共通言語を構築できる人』というのが1番近いです。相手の表現や感性に近いフィールドに、自分を持って行ける人。自分が何をどう言えるか知っている人。使ってきた言葉の限界を知っている人。もう少し言うと「相手の言葉や文脈を読み取って、何が言いたいかを察知して、その人の物言いに近しい表現で自分を混ぜた言葉を返すことで、相手に親近感を持たせられる」ような人。何度言い直しても適切な表現にはならないんですが。わたしの表現としてはこれは限界です。

それに加えて共感まで上手い人を「人たらし」と思っています。
「人の気持ちがわからない」という人がいるけど、相手と同じ感性がないことを共感力がないと言うのは違くって。「あなたに共感したい気持ちがある(あなたが何を感じて何を言っているのか、解りたいと思っている)」という意思表示が明確にできる人。それが共感力の高い人だと思う。この意思表示の方法を知っていて、自然に使える人に会うと、どれだけの場数を踏んだんだろうかと気になります。どっちも持っているなんて武器でしかないよ。

相手の考えや感性のフィールドに出張してちゃんと帰ってこれるだけの柔軟さと、「あなたをわかりたいと思っていますよ」って表現する分と同じだけ、オープンにできる自分を持っている人。こんな感じです。あとはあなたの優れた理解力で読み込んでください。


「口が上手い」「人たらし」と言われると決まって機嫌が悪くなるあなたに、少しでも伝わったでしょうか。

そこに強く惹かれたのもほんと。羨ましがっていたのもほんと。あなたしかいなかった間、わたしはずっと、あなたになりたかったのかもしれない。特にオチはありません。見るも見ないも知りませんが、こんな恥ずかしいことをnoteにするのは最初で最後です。そういえばコミュニケーションにおいて、言葉にすることを厭わずに伝えてくれるところも、ひどく好きでした。


きみがこれから「あの人」という言葉だけで頭の中に浮かぶのは誰なんだろうね。わたしが言った何かが、いつかどこかであなたの自信になればいいです。誰にもらったか忘れたお守りになればいいです。

もう「きみしかいない」は嘘だよ。嘘にしたの。


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