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あやとり家族59〜ADHD同士の結婚への険しい道のり〜一難さってまた一難

両家挨拶の時

お店を予約した私
ジンから「スーツを着ていった方が良いのではないか」と提案されていたにも関わらずジンの意見をくまずに
「ある程度綺麗にしていれば大丈夫だよ」
と安易に答える
彼は真剣だったはず

ここでもう亀裂は始まっていた

挨拶当日の朝、彼が帰ってこない
またレンの家に行って、止めていた脱法ハーブを朝まで吸っていたようだ
見つけた時にはラリっている状態
「ねえ、今日挨拶の日だけどどうする?止める?」
返事をしないというか返事すらできない状態
愕然とした。この人とうまくやっていけるのだろうかと

良い部分を見れば最高の彼氏だが、悪い部分をみるとすぐに流されてしまう危なっかしい性格。自分が支えないと思ってしまう、でもそうさせた原因に自分にも非があることをこのときは気がついていなかった
”共依存”そんな関係性になっていた

どうにか時間に間に合わせお店に行くが、今度はジンの父母が時間に遅れると連絡が入る
ジンはかなり怒っていた
大事な挨拶の場であるのに、遅れるなんて。電話越しに
「何してんだよ、だから言っただろ!!」と怒っているがもうしょうがないこと
彼の親もADHD、診断こそされていないが会えばわかる


両親ともにADHD


私の母に遅刻することを伝えると、呆れ返った様子
”宗教に入らなければ結婚させない”くらいのことを言っておいて
相手のことになると自分の発言は棚の上におく
私にとってはどっちもどっち
私の母もADHD気質だ、というかきっとそうなんだと後で思った
最も性格的要因の方が強い、これが私にも遺伝したと思っている


会食の際、ジンの父は上着を脱ぎ出し肌着になる始末
それを注意することもしない彼の母
そして私の母に対し「あんたいくつだ?」と年齢を聞く

東北の生まれで方言が抜けない
”あんた”というのも悪気があるわけではないが
一般的にはあり得ない会話だ、初対面しかもお嫁にくださいという場面でのこと

母もそういう時に本音で言えばいいものを
嘘ぶった顔つきで和やかに返答している

もちろんこの後、その愚痴を聞くハメになるのは私

私も私でこういう大事な食事会で平気でタバコを吸っていた
一番冷静だったのは、朝まで帰って来なかったジンだった
脱法ハーブの効き目が切れたからなのか

とりあえず、早くその場を退散したくてたまらない
どうでも良くなって、みんな自由にやり過ごした


家に帰ってジンと話し合う
やっぱりスーツの方が良かったのではないか
なんで遅刻してきたのか
母に対する言い方はまずかったのではないか
タバコとか吸わない方が良かったのではないか
そもそも私が迎えに行かなければジンも遅刻していたのではないか

などなど、後悔とそうしようもない気持ちと
これからまた母の愚痴を聞くことになる嫌さと

もう全部間違えた とすら思った

けれどこんなことがあっても、一緒にいたい気持ちが双方にまだあって
引っ越すことにした

私の母からもレンからも離れた新しい土地へ
だから私は仕事をやめることにした
退職日も決まり、新居を探している最中のことだった


身内だけの結婚式

せめて形だけでもと、日取りを決め招待状を送る
衣装合わせの時だった
携帯に着信が入る
「ばーちゃんが危篤、すぐにきて」

ばーちゃんは入院していた
詳細は改めて話すが、とりあえず衣装合わせを中断しすぐに病院へ行った
ばーちゃんは息をひき取った後で、家族を待ち死亡確認するのみだった

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