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確かにお前の言う通り、第43回ABCお笑いグランプリって面白かったよな

「あっ、言ってたのお前じゃなかったか〜」
でおなじみカベポスターが優勝した第43回ABCお笑いグランプリ、面白かったですね。

全組面白かったです。それなりの賞レースの決勝でめちゃ滑ってるとかもう久しく無いですよね。近年のお笑いの進化スピードが凄まじすぎる。

いつまで見れるか知りませんが、まだの方は是非。
https://abema.tv/video/episode/534-13_s1_p1



以下感想なんですが、ブロックごとに順位をつけてみようと思って便宜上点数を付けたりしてるので、そういうのが苦手な人はすみません。

「どれが面白かった?俺はこれよりこっちの方が好きだったわ〜」って話するのってまあ楽しいじゃないですか。それをテキストで見知らぬ人ともやり合いたいというだけなんで、なんていうか、大目に見ていただけるとありがたいです…



A① ドーナツ・ピーナツ (88)
オーソドックスなコント漫才って感じで笑いどころもわかりやすく、面白かった。ただ、言葉選びの端々に僅かながらの古さというかハマらなさみたいのが個人的にはあったかな… 「学年イチのマドンナ 柴田理恵!」「名前可哀想!」とか、そこで柴田理恵をチョイスすることによって、幅広い層へのわかりやすさを得てる代わりに、何か大事なものを失ってるような、そんな気がしてしまった。
これを「今の時代に〜」みたいな言説にこじつけようとするのは非常に嫌で、ただ自分の感覚に合わないってそう言えよ!と思ってしまう。これは何への批判だろうか。雲行きが怪しくなってしまいましたが、全体的には面白かったです。次。

A② こたけ正義感 (89)
これ面白いですよね〜。「棒」のくだりとかかなり好き。楽しく知的好奇心が満たされるという面白さが他と一線を画している。それ故、一度知ってしまうと面白さの半減具合が他より大きいというのは弱点かもしれない。と、つい最近ゴッドタンで見たネタとの被りを確認しながら感じた。

A③ 青色1号 (90)
「薄ら寒いくだりを繰り返す」というボケはかなりリスキーで、その負債を後半に取り返せるほどのパワーは足りてなかったのかなあと思いましたが、その気概と構成が個人的にはかなり好きでした。最後の「ごめん怖すぎてずっとふざけちゃった…」のところ良すぎる。

A④ かが屋 (92)
山内の「ボケました?」というコメントがたった5文字でかが屋を的確に評していて凄かった。いないバイトの女の子が、加賀の表情と動きを介してありありと見えてくるのが面白い。あとバカみたいなカップの震わせ具合、技術と完成度が頭一つ抜けてたなあ。


「勝訴」はズルいわ、面白い。

結果。まあ面白かったけど、さすがにそこはかが屋かな〜と思ったが。
確かに、明確な新しさはあるし、ピン芸でありながら他に引けを取らないくらいウケていたという点では納得かもしれない。(ピン芸を下に見ているとかではなく、ピンは複数人より構造上ウケが小さくなってしまうのは仕方ないと思っているので)



B① 令和ロマン (93)
結局ケムリの方が悪いってのが面白い。「AKBの曲って、秋元康が書いてると思うと、、良くないんだよ」ってわざわざ丁寧に抑え直すんじゃないよ。『みんなが薄々思いながらも言ってないことをわざわざ言う』って、それだけなら簡単でも、それで一本走り切っちゃうのは凄い。くるまの飄々としたキャラクター、飽きさせない表現力が為せる技。個人的にここ数年で康詞(やすし)に触れる機会が増えたのもあって面白さ3割増でした。「こんな才能があるのに…!」

B② ハノーバー (92)
最初の玄関でのやり取りの「オトンオカン」のミックス具合が絶妙で、「これオトンとオカンどっちやー!」で一気に引き込まれてしまった。高速で捲し立てて「お父さんお母さんどっちが悪いと思う?」と詰めるシーン、「家族内では一人称も呼称も『お父さん』『お母さん』になりがち」という地味なあるあるを活用していて凄かった。ここ、上手さを上手さと感じさせない上手さって感じでかなり好きだな。

B③ ダウ90000 (90)
後半人圧(じんあつ)で攻めてきて笑っちゃった。凄い凄いとはよく聞くが、M-1の5人仕様くらいしか見たことなかったんで、8人フルバージョンは初めて見た。が、今回のネタも彼らの真骨頂ではなさそう。明らかに4分で8人使い切るには無理があるし。場が相応しいかの話はさておき、中身で言うと「独白」をメタで突いていく着眼点は面白かったんだけど、ネタの核となる「独白"明けの判定厳しい"」という言葉がなかなかしっくり来なかった。言わんとしてることはわかるし、今になってゆっくり咀嚼していくと、「独白が、、明けた後の、判定が、、まあ厳しいってことか…」と納得できるんだけど、あの速さと情報密度の中で、軸として連発する言葉のチョイスとしてはいささかムズすぎる気もしてしまった。俺が弱いのか…?若い人ならすんなり付いていけるのだろうか…?これが老い…?

B④ 天才ピアニスト (91)
「私が、ナイフを持っているわよ〜」は笑うじゃん。これだけネタもキャラクターもしっかりしてて面白い女性のコント師って意外といなかったかも… って思って調べたら、今までキングオブコントって女性のコンビが決勝行ったことないんだ!?(男女コンビでもにゃんこスターと蛙亭だけ) えーーこれ今年決勝行くとか全然ありそう。ってか逆に今までなかったの何でなん。そもそも女性コンビでコントやってる芸人の母数が少なすぎるんかな。


よっしゃ!濱口さん4位!じゃないんよ

ダウ以外で割れそうかな〜と思ったが1位票を4人集めて令和ロマン。個人的には1番面白かったんで良かったです。この中で4人が1位にしたってなったらこの4人だろうな、っていう4人だ。



C① フランスピアノ (91)
着眼点が面白い。他の席ではすっとぼけるアホらしさも好きだなあ。「口堅いな!」「恥ずかしくないの?」とか言葉選びも良いし、スカシかと思った教授のくだりがオチになってるってのもわざとらしさを感じなくて良い。全体的に非常に心象が良い、言ってしまえばセンスが良い。

C② ヨネダ2000 (92)
清水 亜真音 改め「誠」がハチャメチャすぎる。『森を案内する小人』みたいなフォルムをしていながら、『森のくまさん』のような愛を不条理に翻弄しまくる様が滑稽だよな。台本もさることながら二人のシルエットが面白さにかなり寄与してる。ギリ共感できるくだりと、まるでよくわからないくだりが交互に差し込まれて緩急を付けてくる感じもキモ心地いい。

C③ Gパンパンダ (93)
顔(表情)がおもしれ〜〜〜! なんか小難しいのが2つ続いてたからかめっちゃ笑っちゃったな。巧みな着眼点、構成も好きだけど、こういう誰がやっても面白いってわけじゃない、『人』に依存してるタイプのネタもやっぱ最高だわ。いや、表現力が先行して印象的なだけで「演技っぽすぎて本当に行きたいのか行きたくないのかわかんないやつ」って着眼点も十分面白いな。面白い。

C④ カベポスター (90)
「『ですが』って何なん!じゃあクイズやん!」のとこ気持ち良すぎるな。カベポスターはもうM-1における笑い飯和牛みたいな状態になっちゃってて、面白いのはわかってるからもっと突き抜けたモンを見せてくれ、みたいな気持ちにちょっとなってたかもしれない。去年の「手品」のコントとかがめちゃめちゃ好きだっただけに。だから、まあカベポスターだなあ〜くらいの感じで見ちゃったけど、もうそうさせてること自体が相当に凄いことなのかもしれない。


永見「ヘッヘッヘッヘ!」

仕方なく点差を付けたけど、Cは個人的にマジで横一線だったので、カベポスターなのは全然納得。流石にもうちょい割れるかと思ったけど、審査員は地肩がしっかりとしたしゃべくりが好きか。積年の功による多少の情もありそう。


ファイナルステージ

❶ カベポスター (93)
1本目より全然面白かった。「大声コンテストなのに語尾が『ん』で終わる言葉ばっかり選んじゃう」って何から思いつくんや。後半『ウ段しりとり』の盛り上がり方からオチまでの流れも鮮やかで無駄がなく美しかった。

❷ 令和ロマン (91)
さすがにずっと泣いてるケムリがうるさ過ぎた。子供の泣き方の2番おもしろ。くるまが節操なく好き放題ボケるのが持ち味だと思うけど、ちょっと散らかりすぎてて見づらかったかも。

❸ こたけ正義感 (89)
これも1本目の方が好きだったな、って前半は思ってましたが、後半実際の裁判になぞらえて復習してくところはかなり面白かった。ので結果としては同じくらい。最後の畳み掛けを先に考えてるような気もして、だからか前半「そうか〜?」ってのが何箇所かあってハマりきれなかったのかも。



優勝は675点でカベポスター!

ファイナルステージだけで見ると圧倒的にカベポスターでしたね。ABCお笑いグランプリでは4年連続の決勝進出、かつ2度の準優勝ということでようやく報われて良かったです。

今年M-1決勝とかあるのかな… M-1で優勝するようなビジョンはなかなか見えにくいスタイルだけに、ytv漫才新人賞に続いて、ここで一つ大きいタイトルを獲れたことはカベポスターが今後も地に足つけて漫才をやっていく上で大きいんじゃないかな、と思います(偉そう)。


ABCは、多種多様でハイレベルなネタが揃っていながら、M-1ほど肩肘張らずに見れるのでなんか丁度良いですね。歴史はこっちの方がずっと長いけど。感想も何とか書き切れたし(M-1だと気合入り過ぎちゃって最後までたどり着けない)。

来年も楽しみです!

それでは!

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