0521

嗚呼、居酒屋よ 嗚呼、居酒屋よ

恋(いと)しの 焼酎ハイボール

演歌みたいな書き出しでもって今日の日記を始める。宮史郎に歌ってほしい(歌がうまい。声が好きなんです!)けども、まあこれは怨歌である。長引く自粛、わが切なるただひとつの願い。居酒屋に行きたい。友だちと飲みたい。

切々と募っていくが、ひょっと思い出すのは4月の頭のことだ。緊急事態宣言(緊急事態とは、緩やかなものだ。戦争だって毎日砲弾が降り注ぐわけではない。緊急事態のトンネルに入りますよ、という一瞬だけ、明暗の差で視界がフワッと白けて気持ち悪いけれど、入ってしまえばオレンジ色のぼんやり灯が連なるばかり。このトンネルを抜けたら雪国だろうか。それとも春だろうか)の出る前、4月のいっぴから自粛生活に入った。その時まだ飲み会の誘いがあったり、周囲で飲み会をしていたり。一方で世間は確かに自粛の雲に覆われていた。

それでツイートをした。注釈付き、「自粛してない人が迷惑だとかの話ではなくて」。それでも、自分は外出を自粛するという態度を充分に訴える内容であったし、フォロワー、そこに含まれる友人に対して啓発の意図があった。啓発と正義感と、薄皮一枚で隔てられるだけのものかもしれない。すると正義という樽風呂からは、溢れてしまう取りこぼしがいっぱいある。

つまり、例えば一人暮らしで、家に誰もいない、バイトも学校もなくなった。緊急事態宣言が出るギリギリまでは友達と飲み会したいと思わない?と、そういうことだ。4月の頭、わかっていなかった。僕は母と祖母と同居している。すなわち僕の樽風呂は、実家暮らしというタガでもって締められたものではなかったか。樽の内にいたばっかりに、自分の樽のタガは見えなかった。

彼の家と僕の家は近所だ。しかし彼の家は一人暮らしの通りで、僕とこは実家暮らしの通りにある。宛名のない手紙のつもりで放ったツイート、実は鋭い矢を射っていなかったか。まず彼の家へ行ってちゃんと話を聞くべきだったか。それは土足で踏み込む感じがするし、難しいことだ。まあそんなに配慮していたら何も言えない。しかしよくよく立ち止まった方が良かったな。ただツイートって思ったら呟くって側面もあるし、その他人の言葉によって気付かされる感じもあるし、と、これ以上ぐるぐるしても目が回るので傍に置いておこう。

今日の朝は久々に調子のいい起き出しだった。最近ではいちばん心身晴れやか、浮つきもどんよりもせず、体の水分量が調度いいバランス。このまま寝るまで爽やかに丁寧にと、思ったがそうもいかない。梅雨が近いんだろうか、ここんとこ4日間ずっと雨。あしたもあさっても雨。あしたもあさっても家。溜め息。夕方だけどコンタクトを入れよう。髪をセットしよう。生きねば。いつ晴れるとも知れない空。雲が覆っている。


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