閉鎖病棟の実態について5
そうしているうちに男性患者が私に付き纏うようになり、見つめてきたり「手繋ぐ?繋ぎたいんでしょ?」などと言ってきて、またさらに新しい患者が入ってきて四六時中スタッフにDVDプレイヤーの貸し出しや時間の確認をしていてストレスは多くなるばかりでした。
なんせその2人がじっとしていないので静かな場所を好む私には地獄のようでした。
でもやることも何もないし、いっそ私もOTに行きたいと思いましたがそういった話が持ちかけられることは最後までありませんでした。
話し相手がいないので仕方なく男性患者と話していると、どうやらジグソーパズルなどをしているようでした。
その中で出会い、話しかけたのが痩せ細った女性患者です。彼女は英語で携帯を使っていました。
携帯が使えなかった私はどうにか自分のTwitterだけでも確認したいと思い、
「携帯貸してもらえますか?」と聞きました。
自分のアカウントは覚えていたので必死に検索してトップページに辿り着きましたが、リプライやDMは見ることができませんでした。
「自分のアカウントでログインしてもいいですか?」と聞いたら「今使ってるからそれはちょっと…」と言うので引き下がったまでです。
それからどうにかして外部(友人たち)と繋がろうとして奮闘していました。
主治医に許可された時間の限りiPhoneの修復を試みたり、緊急連絡先に登録してあったホストの番号に電話してみたりしました。
後に携帯が制限されていたのは私が119に通報し続けたのが原因だと聞かされましたが、記憶にありません。ただ、こんなところは病院じゃない!まともな医療を!と思っていたので一度は通報したことを覚えています。
何の証拠も出されずに消防署からクレームが来てるとだけ聞いたのでわからずじまいです。
女性患者は旅をするのが好きだったと私に話しました。毎日パンを食べていたので、パン食じゃないと食欲が出ない、とも言っていました。
しかしそれも21時の消灯までの時間だけです。なかなか眠れない中、そして部屋も明るくスタッフの仕事中の音が絶えない中であまり深く眠ることもできず、朝6時には強制的に起こされました。
だんだんと夢見が悪くなり悪夢ばかり見るようになって眠剤が効かなくなったのもその頃からです。
「よく眠れた?」とスタッフは形式上聞いてきます。
でも、その答えが「途中で何度も目が覚めた」でも「なかなか眠れなかった」でもスタッフの返事は決まっています。
「そう」とだけ言うのです。
そうしてお腹を空かせたまま朝食の時間を待ちます。
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