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乗れない車に、乗るということ。【ホッシーの広報奮闘記 #34】

どうも、ホッシーです。

皆さん、お久しぶりです。
前回のイベント御礼の記事から約半年ぶりのエントリーになりましたが、皆さんお元気でしょうか。

こちらはこの半年間で東京生活1年目を迎え、毎日の中でいろいろな紆余曲折がありながらも新しい挑戦を始めているところです。


母親から送られてきた画像

ちょうどその取り組みがテレビで放送されたので、これを機に自分が今やっていることと、そこにどんな想いを乗せているのかを、
まとまっていないながらも今このタイミングで記しておくべきだと思い、筆を執っています。

イベント実行委員長からレーサーになりました


さて、この文面だけ見ると、
「こいつほんまに何してんの?」
と思われても致し方ないとは思いますが、これが本当なんです。

実はテクノツール、約3年以上前から元F3レーサーの長屋さんのサポートや、トヨタ・モビリティ基金主催のコンテスト「Mobility for ALL」に採択されてきた中で、支援や調査といった形でeモータースポーツに取り組んできました。


こうした取り組みで、
「アシスティブテクノロジーを活用することで広がるモビリティ操作の可能性」
について調査をした1年目と、


実際にその調査の結果がレース参戦に活用できるものなのかを大会参加の中で実践した2年目の採択を経て、


アシスティブテクノロジーの活用によって
「誰もがeモータースポーツ、ひいてはゲームに同じ土俵で参加することができる」
という状態を目指す

「TECHNO eRACING」

というチームを発足しました。

「TECHNO eRACING」


TECHNO eRACINGは現在4人の車いすユーザーが選手として所属しており、
彼らそれぞれの身体的特徴に合わせて最適化されたデバイスを使い、eモータースポーツに挑むチームです。

このチームは、デバイスを開発し肢体不自由のある方の身体的特徴に合わせて最適化しながら、eモータースポーツに参加していくという活動の他に、

「アシスティブテクノロジーを使うことで広がる新しい体験の提供や、参加しやすい社会づくりを共創していく」

という活動を進めていきます。

テクノツールはこれまでにアシスティブテクノロジー商品を販売することで、肢体不自由児者の「やりたい」を実現する支援をしてきました。

そうした支援の蓄積によって、

「入力の方法を変えるだけで、本人が持っている力を引き出せる」

ことを広めるための活動をしています。

テクノベースを設立したのも、そういった背景があってのことです。

ただ、当事者や支援者がその可能性の価値を認めていても、社会的な価値との相補性がまだ確立されておらず、
一方的に承認を取るような形となってしまいがちだったりします。

そんな状況を、
「画面の前では対等である」
というゲームやeスポーツの世界を活用し、
様々な分野で分け隔てなく同じ場に居られることを知ってもらい、
アクセシビリティや社会参加といった部分で、より広がりのある商品や社会を共につくっていくことを目指しています。

レーサーとなるにあたって


さて、こうした熱量を持って生まれたeモータースポーツチームにレーサーとして参加することになったホッシーですが、
熱意と反比例して不安もあるのは否めません。

姿を見た事のある方なら100%同意してくださると思いますが、わたくしホッシーは現在車の運転ができません。

咄嗟の判断で反射的に体を動かすということが出来ない身として、車に乗ることは「できないこと」のうちの1つであり、ずっと受動的な体験でした。

なので、例えバーチャルの世界であっても車を運転するということは、自分の中にない新しい経験をインストールすることになります

例えばカーブ。
某マ〇オカートしか運転に馴染みの無かったわたくしにとっては、どのタイミングでブレーキを踏んで、どうステアリングを回していくのかというのは未知の体験です。


そんな自分の中に無い感覚をゲームで掴みながら、さらにスキルを上げていくというのは、
初めて山を登る人が登山道具を渡されて、いきなり富士山の頂上へ登るのと同じぐらいのハードさがあるわけです。

ただ性格上、「ほーら!やっぱ難しいよね〜」で終わらせたく無い気持ちが勝っているので、何度も何度も繰り返し走った結果、
最近になってようやく自分なりに安定した走りが出来るようになり、とても楽しくなってきたところです。

8/25(日)には初めてTECHNO eRACINGとして大会に参加します。
結果どうこうの前に、走りきるというファーストステップをしっかり踏みしめていこうと意気込んでいるこの頃です。


新規事業の広報として


そしてこの取り組みで私ホッシーは、事業運営の側面でも広報として携わらせてもらっています。

この事業を開発し、それを運営していくというスタートアップ企業のような仕事は、今までの自分が体験した事の無い経験や領域に日々踏み込んでいる感覚があります。

思えば自分は、人の輪の中に入るため、そして同等の扱いを受けたいがために、
本来の自分で無い振る舞いをしたり、適応するためにハッタリをかましてここまで来た自負があるのですが、
ここ最近の仕事は特に、そのハッタリによって蓄えていた身ぐるみを剥がされ、本来の自分が持っている力を試されている感覚があります。

これでもかなりレベルを下げてもらっている方ですが、おおよそ社会人3年目とは思えない働きを毎日しながら、10回やって1覚えるようなスピードで仕事をしています。

この仕事をこなした先にどんな自分が待っているのかは正直分かりませんが、少なくとも道筋を自分で考え、相手との調整を計りながら物事を起こしていくというスキルを身につけることを目指しています。

この取り組みで自分が目指すこと


最近はこの事業に参加しながら、自分はどこを目指しているのだろうということを考えています。

昨年の実証実験の帰り道、

「自分の中に無い経験を埋めるという行為の大変さをちゃんと思い遣れるようなサポートや仕事をしたい」

ということを考えていました。

テクノツールが販売しているパソコンやゲームの支援機器は、ただ存在するだけでなく人それぞれ目的があって初めて機能するものです。

その目的が支援によって叶った瞬間に様々な挑戦の選択肢が増えますが、
挑戦するということは常に壁とぶつかるということと隣り合わせです。

自分が3年間仕事をする中で経た体験として、

「これだったらできるかもしれない」という目標とキカイを手に入れる

自分の持つ能力を他者にアピールするあまり、本来の自分と違う過剰な振る舞いをする

それらが評価されて一定のスキルがあると見なされる
(もしくはないとわかっていながらもある体で話が進めてくださる)

過剰に能力をアピールしていたものがオーバーヒートしてコンスタントな仕事をこなせない

という経験をしています。

こういったことを経験していく内に(他者は違う生き物だと理解した上で)、
「誰かから理解されたり評価されようとして、常に摩耗してしまう当事者が自分以外にもいる、もしくは出てくるのではないか」
と思うようになりました。

おそらく自分は、こういった状況に来てしまう人たちと伴走しながら、
無理せずヘルシーに物事に取り組んでいけるようなサポートをする役回りを担うべきなのではないかと思っています。

TECHNO eRACINGは、
「ゲームが持つ可能性を活かし、自分の属性に関わらず体験や時間の共有によって、同じ土俵で混ざりあえる場所づくり」
を目指しています。

この「混ざり合う」「同じ土俵」といった部分に自分のエゴを付け加えて、
「挑戦する楽しさ」が心のどこかにちゃんと残るような発信の仕方ができたらと思っています。

自分が少なくともやっていきたいことは、今だけでなく先々を見据えた動きが必要になると思います。

だけど1プレイヤーとして渦中にいる今、あまりにも視野が狭くなっていて、
全体像が見えていないというのも現状です。

それでも遠い未来に関わっていく彼らを思い馳せながら、ひとまずPS5のコントローラーに手を置いて、車を走らせている今日この頃です。


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