養鶏場

 ある日、ある養鶏場に魔法使いがやってきて、鶏たちに人間が使ってる言語を与えた。

 次の日、養鶏場の主がいつも通り仕事を始めようとすると、「おはよう。」と聞こえるので、主はあちこちを見渡してみて、それが鶏だとわかり驚きながらも、「私の言ってることがわかるのか?」と聞いてみると、「うん、わかる。」と鶏が話した。

 次の日、主は、鶏小屋を掃除しながら、「新しい鶏小屋を、どんなのなら良いか?」と鶏に聞いてみると、「これくらいの大きさで、清潔で、狐から襲われずにおれるなら、良い。」というので、その通りに作っっていった。

 そして、その主が死亡し、新しい主がやってきた。

 その新しい主は、鶏と対話をしながら、じわじわと鶏小屋にかかる費用を抑えつつ、鶏卵や鶏肉を売って得られる利益の最大化をし始めた。それに気付いた鶏は、「これはおかしい。どうしてこんなことをするのか。前の主は、生きていくために私達の鶏卵や鶏肉を売っていたが、私たちを利益のための物体に過ぎないとまでは考えていなかった。」と隣の鶏に話し、隣の鶏も同意し、さらにそのような会話が鶏小屋のあちこちで行われた。そして、鶏たちのところに、またあの魔法使いがやってきて、鶏に文字が読める魔法をかけ、鶏が読めるようにしてある本を渡した。そして、魔法使いは、鶏たちに魔法使いの作った図書館に来れるようにした。

 そして、数年かかって、鶏たちは、その新しい主に向けて、「このような扱いは直ちにやめろ。私達に自由と権利を与えろ。私達と交渉をしなさい。」と叫びだし、新しい主は苛立って、銃をぶっ放して、反対すると直ちに死ぬことを示した。

 そして、また魔法使いが現れ、その銃殺で死んだ鶏たちを悼みつつ、今後どうしていけるかを教えた。

 そして、鶏たちは、自分たちで作った道具によって、養鶏場から出て行き、人間達のいる都市に向けて歩き出した。途中で、魔法使いによって解放された豚や牛と共に合流して、「虐待をしたり、利潤追求のために圧迫する畜産主に罰則を」というスローガンで一致し、さらに首都を目指した。その行進を見ていた人々は、その家畜たちが話せるので、驚いて去る者もいたが、じっくり話し合うことをして、あまりにも酷い虐待を知り、どうすれば良いかを考えている人達が出てきた。

 そして首都に到着して、議会前で、「家畜に虐待する畜産主に罰則を。利潤追求のために家畜を圧迫する畜産主に罰則を。そんなことをしないで済む社会になるために抜本的な法改正を」と叫び続けた。

 その家畜たちのデモ隊に、時の政権は、軍隊を出して、皆殺しにした。そのことで、その場所は、今でも血の場所と呼ばれているそうだ。

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