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南北通信連絡線の遮断と金与正氏

今朝、朝鮮中央通信は朝鮮中央通信社報道として南北間の全ての通信連絡線を完全に遮断すると発表した

連絡線は正午より遮断されるとし、韓国側からの電話に対し北朝鮮側からの応答がないことなどから北朝鮮側の発表の通り連絡線は遮断されたと思われる

この連絡線の遮断の理由としては脱北者団体による北朝鮮の体制を批判するビラを風船を活用し散布したことが挙げられている

この件に関しては6月4日に金正恩委員長の妹である金与正朝鮮労働党中央委員会第一副部長の名前で南朝鮮当局の黙認の下に「脱北者」くずが反朝鮮敵対行為という声明が発出されていた

続けて 朝鮮労働党統一戦線部代弁人の名で敵はやはり敵だという結論を下すことになるという声明が発出されるなど北朝鮮の対韓国批判は強まっていた

そのような状況の中で今朝、南北の連絡通信路線を完全に遮断するという声明が発出された

その声明では以下のような表現が用いられている

見れば見るほど幻滅だけをそそる南朝鮮当局とこれ以上、対座することも、論議する問題もないという結論に到達した。
8日、対南事業部署の活動総括会議で、朝鮮労働党中央委員会の金英哲副委員長と朝鮮労働党中央委員会の金与正第1副部長は対南事業を徹底的に対敵活動に転換すべきであるという点を強調し、裏切り者と人間のくずが働いた罪の代価を正確に計算するための段階別対敵活動計画を審議し、まず先に北南間の全ての通信連絡線を完全に遮断することに関する指示を与えた。

この中で注目すべき点は対米交渉を手がけてきた金英哲と金与正が同等の扱いをされているという点、段階別対敵活動計画という表現だ

金正恩委員長の健康不安説が取り沙汰された際に後継者として金与正氏の名前が挙がったことがあったが男尊女卑が根強い北朝鮮の体制で金与正氏が指導者としての求心力を得ることができるのかなどという点からやや否定的に見られていた

しかし今回の金与正氏の声明の扱い方、南北の連絡網の遮断の指示を下すなどの点を鑑みると金正恩委員長の後継者としての権力移譲プロセスに近いことが行われつつあるのではないだろうか

また段階別対敵活動計画という表現だが朝鮮中央通信の表現では第一段階の措置として南北の連絡網の遮断を行うと受け取ることができる表現が用いられている

この点から、今回の南北の連絡網の遮断は今後韓国との対立路線、挑発を行う下地と見ることができるのではないだろうか?

具体的な挑発内容としては進水間近とされているSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)を搭載可能な潜水艦を公開、或いはSLBMの発射試験が考えられるのではないだろうか

今後の北朝鮮の韓国に対する姿勢、金与正氏の立ち位置、動きを注意深く見守っていきたい

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