森のAnchoring Cycle Model.
【ルーツ】Anchor Hotel FUKUYAMAのはじまり。
2018年、広島県福山市の駅前に築23年のワンルームマンションをリノベして、Anchor Hotel 福山を開業しました。
その時のコンセプトが、
「地域とアンカリングするホテル」
アンカリングとは、碇(いかり)を下ろすという意味。
その地域、その空間に、ココロの碇を下ろしていただきたい。
そんな想いでプロデュースしたホテルです。
なぜ、Anchoring を思いついたか?
2015年に株式会社サン・クレアを設立したボクは、これからの観光・宿泊業態について、いつも考えていました。
当時、インバウンドブームで多くの投資マネー(投機マネー)がホテル業界に流れ込み、あちこちでホテル建設ラッシュが始まっていた頃です。
そこにすごく”違和感”を覚えたボクは、単なるハコ作り競争のレッドオーシャンに巻き込まれないように、独自の路線を模索していました。
日本のホテル文化(カルチャー)がガラパゴス化してる!
世界中をたくさん旅してきたボク自身の経験から、
その地を訪れて、たくさんの人と出逢い、会話を交わし、地元の食事を味わい、地元の文化にダイレクトに触れること
が、旅の醍醐味であることを確信していました。
ただ、日本国内のホテル事情をみると、画一的なチェーンホテルが台頭し、地元の人との交流や、文化を味わうといった土壌が、まるで確立されていないことをとても残念に思っていました。
そこで、地元でめっちゃこだわってる家具職人さんや、めちゃくちゃおいしいレモンを作ってる農家さんを徹底的にリサーチして、
ホテルをいわばショールームのような空間にすることでご紹介しようと考えたんです。
そしたら、地元の生産者さん、職人さんたちにすっごく喜んでいただけた。
ある業者さんが仰っていました。
「自分たちは日々技術を磨いて、生産、製造したりすることは出来るけど、お客さんに良さを直接知ってもらうことがなかなか出来ないんだよねー。」
つまり、B to B の業態で頑張ってこられた業者さんたちにとって、B to C へのアプローチは長年の課題だったんです。
一方、地域のホテルには毎日、数百人以上の出張、旅行客が地域圏外から訪れます。しかも、滞在時間は、10時間〜15時間と他のどんな場所より圧倒的に長い。
だからその滞在時間内に、さまざまな地元のプロダクトやサービスに触れてもらうチャンスを創ってみよう。
いわばショールームのような発想となった訳です。
お客様からのクチコミを見ても、ボクらの想いがちゃんと届いていることがわかってきました。
「ANCHOR HOTELのアンカリングするというコンセプトは、旅を楽しみたいと思っているお客さんの心にしっかりと響いている!」
そう確信を得たボクは、2019年、観光立国ニッポンの礎になるべく、新たなプロジェクトを立ち上げました。
インバウンド100%ターゲットホテルの立ち上げ
2019年当時は、インバンド(訪日外国人)数、年間4000万人を越えるような勢いで、街中にもたくさんの外国人観光客が溢れていました(よね。。)
だから、せとうちを訪れる多くの外国人のココロも地元にアンカリングしたい!
そんな思いのもと、積水ハウスさんとの共同プロジェクトにより、完成したのが、
NAGI Kurashiki HOTEL & LOUNGE です。
このホテルを創る上で、ボクがこだわったところは、
・ゲストとスタッフがカジュアルに交流できるラウンジスペースがあること。
・スタッフはホテル経験者にこだわらず、ワールドトラベラーであること。(ワールドトラベラーとは、バックパッカーで世界を旅したり、ワーホリなどで海外経験が長かったりする人)
つまり、外国人観光客に地元のカルチャーをいかに深く理解してもらえる環境を創れるかを最も重要視しました。
ちなみに背景には、外国人の方が圧倒的に宿泊施設での人との出逢い、触れあうことに楽しみを抱いているという実態がありました。
その後、相次いで「NAGI 広島」、新ブランド「LAZULI 広島」と計3店舗オープンした2020年でしたが、ご承知の通り、Covid-19の直撃を受けてしまった訳です。
つまり、ターゲットとしていたインバウンドが100%消滅してしまったのです。
これにはさすがに慌てましたが、今は国内旅行者向けにアンカリングできるホテル、そして、ワーケーションや移住のお手伝いが出来るホテルへと方針転換をしながら頑張っています。
そして、森の国のアンカリングへ!
まぁ、このような紆余曲折を経て、こちらも2020年3月にOPENしながら、コロナの直撃を受けてしまった、水際のロッジ。
1度目の緊急事態宣言を受けて、一時休館はしましたが、それでもその後の夏休みには本当に多くの方に訪れていただき、連日満室の忙しい日々を送ることができました。
お客様にも森のすばらしさをしっかりとアンカリング出来ている、そう実感できるコメントもたくさん頂きました。
手書きのメッセージも。(こういうのって、めちゃくちゃスタッフのモチベーション上がります!)
ボク自身も森へ移住して1年、ここの素晴らしさを改めて実感することが出来ました。
一方で、この森とともにある集落が、消滅していく危機にあることも体感しています。
いまこそ、これまで培ってきたアンカリングの真髄を、この森の国で実現出来ないか?いや、実現したい!!そんな想いで進めているプロジェクトが、
なのです。
少しおカタい話をすると、この背景には、日本政府がすすめるSociety 5.0という新しい社会概念がベースにあります。
テクノロジーの急速な進化に加えて、コロナや大地震(大噴火!?)、大規模自然災害といったDisasterが、人類を新しい社会文明に強制送還している、そんな大きな変革期にあるということです。
詳しくは、
森のAnchoring Cycle Model.
以上、ボクのアンカリングプロジェクトの変遷を踏まえて、改めて今(2021年3月、コロナ騒動が始まって1年)、本当に翻弄されるような色々なことがありましたが、日々の事業活動の核心の部分は何も変わりません。
やっぱり、
『アンカリング』
なのです。
日本の社会課題である、
・限界集落/消滅集落(少子高齢化の最たる顕在化)
・環境問題/気候変動による災害、未知の疫病
・人間らしく生きる為の環境づくり Well-Being
上記を解決する手段としてのテクノロジー(AI x DATA、IoTプラットフォーム、ロボティクス)の急速な進化を踏まえて、いかに豊かで人間中心の社会基盤を作り上げていくか?
そこを目指して、具体的にアンカリング・サイクルを廻していく。
1.地域の魅力的資源(ヒト、産物、自然、歴史、文化、、、)を掘り起こし、発信していく。(Media・Digitalを使い倒す)
2.潜在的来訪者にリーチし、Attentionとしての「水際のロッジ」「森の国ホテル」を訪れるきっかけづくりとする。
3.滞在中に地元のヒト、食文化、祭り、田舎体験に直接触れることで感化、衝動性の発露を促す。
4.プチ移住(2−3週間)、セミ移住(2−3ヶ月)の受け皿として、空き家のアップサイクル宿泊施設の準備。情報発信者へ変化しての活動。
5.定期移住(多拠点生活の1部化)、本格移住に移行、スローライフ(半農半X)による自給自足生活。より深い地域との交流。
この1〜5の循環を丁寧に廻し、サイクルアップしていくことで、関係人口の増加を図り、集落の経済活性化、にぎわいを取り戻していく。
これが、『Anchoring Cycle Model』です。
まだまだチャレンジは続きます。
執筆:2021/03/09(加筆2021/03/10)
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