チャイムが鳴って、自分勝手に終わりを告げられてしまった。
絶対的であった高校生という肩書きを失ってしまって何になるのだろう。またこうしてこれからも光の中を走る少女たちを見て苦しくなるんだろうか。
歳を重ねれば重ねるほど、失っていく切なさと増えていくばかりの虚しさを何が包み込んでくれるというの。
落ちていきたい涙は、もう我慢を覚えてしまったし、高校生という言い訳は、もうすぐ身分不相応なものになってしまう。
私にとって何よりも強く無敵だったはずのものが、終わってしまうという恐怖だけによって喰いつくされていく。
早歩きする通学路がいつもよりも苦しくて、私の味方はどこへ行ってしまったのか分からないままバスに乗った。
切なさの置き場を失ってしまった今、終わりの合図に手放しで喜ぶことなんて私にはできっこない。
心臓の苦しい所に手を伸ばして、すくい上げたそれを、校庭のどこかに埋めてしまえば私の気持ちは楽に救われてくれるかな。
最後の授業のチャイムが鳴った。
6年の間、待ち望んでいたはずの終わりがこんなにも苦しいなんて知らなかった。
まだ準備が出来ていないの。
馬鹿みたいに一方的に手放されて、羽を広げるには窮屈で、その方法も分からないままなのに。
時だけが進んでいて、私は何も無い空間に浮かんだまま宙ぶらりんと脱力しているだけ。
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