【禍話リライト9】かぼす
【閲覧注意】自らの意志でお読みください。何が起きても責任が取れません。
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これは怖い話のツイキャスをしている、Cさんの話だ。
Cさんは一人暮らしなのだが、草木も眠る丑三つ時。ふっと目が覚めた。
ぱん
音が聞こえる。
(……?)
布団から起き上がり、あたりを見回した。
ぱん
ぱん
部屋の中でしているようだ。
少しくぐもった破裂音。
まるで、柏手を打っているような──。
連想してぞっとする。
この部屋でも、今までどれだけ怖い目に遭ってきただろう。
音の出どころを探してうろうろする。そのうちに、思い当たることがあった。
*
2か月ほど前。
ある晩帰宅すると、宅配業者から不在通知が入っている。
品名「なまもの」。
差出人は、地元である大分の友達だった。
ときどき行動が不思議だけれど、とても礼儀正しく気持ちの良い性豪だ。郵便局員をやっている。
何だろう、と思いながら、休日の午前中に届けてもらうことにした。
ピンポーン。
秋晴れの日、無事に荷物の箱を受け取る。
「お世話様ですー」
「どうもー」
ひと抱えほどもある段ボールだ。
なにやら中で、ごろごろ、ごろごろごろ、と物が転がる気配がする。
何だこれは?
訝しみながら開けると、目に飛び込んできたのは一面の緑、緑──
「うわぁッッ!」
大分名産の柑橘「かぼす」が、40個ほど入っていた。
あわてて差出人の友達にメールを打つ。この「かぼす」は何なんだよ!
返って来たのは『誕生日プレゼント』という言葉だった。
そういえば最近ひとつ歳を取ったのだ。
取ったのだが、連絡もなしに大量のかぼすを送り付けられても困る。
『S N S 映 え す る で しょ ^^ ?』
そんなSNSはしていないのを知っていてわざと送って来たのだ。
『中に、食べ方の説明書も入れといたから!』
はぁ……。
言われて見ると、生産者が作ったであろうアットホームな紙きれが入っている。
一人暮らしでかぼす40個、積極的に消費しなければ到底追いつかない。
ぜひ食べ方を教わらなければ、どれどれ──
『切って、かけて下さい』
ん?
『切って、かけて下さい』
表を見ても、裏を見ても、それだけだった。
ただ、それだけだった。
生産者ならではの美味しい食べ方、保存レシピ、そんなものは一切、書かれていなかった。
『切って、かけて下さい』
『焼き魚、揚げ物などに──♪』
「──うるせぇッッ!!!」
激昂したCさんは、40個のかぼすをとりあえず、冷蔵庫にしまった。
*
そして現在に至る。
あれから2か月、かぼすは時々「切ってかけて」使っていたのだが、勿論なくならない。
そのうちにカビが生え始め、もったいないけれど捨てるしかなくなってしまった。
明日がゴミの日なのだが、それまで腐敗を止めておこうと、いったん冷凍庫に入れていたのだ。
凍って体積が膨らんだせいなのか。とにかくそれが破裂して、夜中の二時に柏手のような音を響かせていたのだった。
***
さて、この禍話を聞いた筆者の家にも最近、大量のかぼすが来てしまいました。
これを読んだあなたの家にも、ある日突然、大量のかぼすが届くかもしれません。
魔除けとしてクックパッドのリンクを貼っておきます。
かぼす レシピ
おすすめはポン酢です。
【おわり】
◆こちらは「ツイキャス」にて配信されている怖い話「禍話」を書き起こし、編集したものです。
真・禍話 旋風篇 13日の金曜日スペシャル(1:24:50ごろから)
真・禍話 フォーススペシャル(最初から)
当方は配信者のかたとは関係のない、いちファンです。
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【半ライス大盛り少なめ(仮)】(タイトルをお借りしています)
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