「私の死体を探してください。」 第2話
三島正隆【1】
地下室を作ろう。と言ったのは確かに僕だった。麻美はそんなもの必要ないのに理解ができない。という顔を隠しもしなかったが、いざこの別荘ができあがってみると、地下室を一番気に入っていたのは麻美の方だった。僕が自分の趣味の部屋にしようと考えていたことも忘れて、昔の文豪さながらの古い座卓の書き物机を僕に運ばせて、執筆が行き詰まると決まってそこで書いた。締め切り前の時間に追われているときの後ろ姿は、まるで地下牢に閉じ込められている囚人が自分の無実を綴っているようだった