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イキミミ48
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書籍という形式でしか醸し出せない、独特の格好よさを感じる本がある。レコードのように部屋に飾っておきたくなるような。
今回はそんな事を思った2冊の本について。
1冊目は村田沙耶香の「信仰」という本。
少し異質な内容の本で、初めはこれをどう読んでいけばいいのか分からなかったんだけれども、感覚的に分かりやすいように丁寧に、何かを論じようとしているのだ、という事に気づいた時から俄然おもしろくなってきた。それが小説であろうがエッセイであろうが、形式にはあまり関係がない。
ここで作者の述べている信仰とは何なのか。
いったい何にも信仰していない人間など、果たしているのだろうか。
何というか本当に1枚のアルバムを聞いているような感覚だった。
「信仰」というタイトルも装丁も最高だ。
nervous light of sundayみたいだ。
最後の展覧会に是非オレも訪れてみたいものである。
もう1冊は紀蔚然「台北プライベートアイ」。
台湾の作家による台湾が舞台のハードボイルド。
まだ序盤しか読んでいないのだけれど、既にオールタイムベスト確定。
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マンハッタンのマットスカダーや、ニューオーリンズのデイブロビショー、ワシントンのニックステファノス、それから山形市の椎名留美。都市の魅力を描いたハードボイルドというのは元来大好きだったし、台湾の文学に触れるのも初めてなものだから、おもしろくないわけがない。地図を眺めてるだけでゾクゾクするぜ。
唯一の難点は人物名がとても覚えづらく、ごっちゃになってしまうんだけれども、丁寧にじっくり読み進めたい本。
「ベッドの上に横になって本を読んでいると、心はすっかり文学の世界に入りこみ、存在を忘れ、不眠症の恐怖を忘れた。かすかに不安を感じたときは、また、体をつねりながら、本を読めば大丈夫だった」
そんな文章を読んでいる自分もまた、耳鳴りの存在を忘れ、心は台北の路地裏を歩き始めるのだった。
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