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読書感想 本とはたらく

先日のインタヴューの時に、編集者が装丁家の矢萩多聞(やはぎたもん)という人のことを紹介してくれました。

現在は有名な装丁家ですが、あまり学校に行ってなくて、10代はほとんどインドで過ごしたという人です。その人が書いた『本とはたらく』は、ものすご~く面白かった。

矢萩さんの独特の個性、学校生活の様子やインドのこと等、あまりに内容が濃いです。
まとめるのが難しいので、今回は時々出てくる矢萩さんの両親のところを紹介するだけにします。

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母は変わった人だった。「学校に行きたくない。先生が嫌だ」と言うと、「そう、 行かなくていいよ」。
あとで聞いた話によると、小学校に入学時から 心配だったそうだ。

インド話を聞かされ続けた母と僕は「自分も インドに行きたい」と言い始めた。 父は困ったあげく ネパールだったら大丈夫かもしれない、と提案した。
母はその日から小さな貯金箱に小銭をコツコツと溜め込み、ついに2年後3人でネパールに行くことになった。

母はただ旅行するだけではもったいない、とネパールやチベットの雑貨や服を買い込み、実家のタバコ屋の一角に並べると言い出した。 帰国後それらを売ったお金で、次の旅の資金にをつくった。そうして僕らは、ネパールやインドを毎年旅行するようになった。

絵が好きなのに(時間がかかるせいで)小学校の頃、図工・美術の成績はずっと最低評価の 1だった。 1が並ぶ 僕の成績表を見て母は「1ってのは 1番面白いの1よ」と笑って 励ましてくれた。
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やはり、『この親にして、この子』ですよね。

沢木耕太郎の『深夜特急』以来、久々にどっぷり浸かりました。
しばらくは矢萩多聞ワールドを漂う予定です。☆

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