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ほしのたねm6月号

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今月のお題は「虹」。 6月1日から30日まで、投稿された作品を順次アップしていきます!
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記事一覧

虹  長谷潤子

夜が明けて 喪が明けた
お空に寝そべるあの蛇は
もう長いこと 隠れて生きてきた
ただ 居場所が
想いの届く魔法が
ほしかっただけなのです
すると 蛇の手を掴んだら
奇跡は放物線を描いて
あの子とあの子にキスをした
同じものでも 愛し合えるよ

プリズム

長尾早苗

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少年は虹を見たことがなかった。彼の村では、少年が前世で罪を犯したからだという。彼の村ではみな虹を見たことがあるのに、少年だけ虹を見られなかった。そんなある日、雨が降り続けたある日、少年は踊り始めた。泣きながら踊った。舞うということ、それ自体が少年にとって必要なものだった。そう気づいたのだ。かくして、少年は雨を上がらせ、みなの崇める対象となった。ひとびとは少年を神と呼んだ。神殿に昇ったとき、少年には

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透竜 橙雫れき

透竜だと示されたそれを見て、不死竜の少年は怪訝に首を傾げました。
透竜は、透明ではないの? 素朴な疑問に、鉱石竜はおだやかに微笑みます。
いいえ、透竜はその一生をかけて色を飲み、その身を色付け、自らを失くして逝くのです。だから最期に、ああして鮮やかな色を出す。

鉱石竜の言葉に、光の帯を見つめていた不死竜の少年は目を輝かせました。
納得したように、そうか、だから虹は消えるんだ。
飲んだ色を吐き出し

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6月のお題「虹」

こんにちは、ほしおです。6月からスタートする「ほしのたねm」。毎月、前月の最後にわたしがお題を出し、メンバーがお題に沿った作品を投稿。ひと月のあいだに順番に掲載されていきます。

さて、6月のお題は、「虹」。

雨のあと空にかかる虹。その不思議な姿や美しさ、儚さから、古来より神話にもよく登場する存在です。形から「弓」「橋」「アーチ」にたとえられることが多いですが、中国では蛇や龍の仲間とみなされ、凶

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