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星のやグーグァンの山歩きアクティビティ開発

今日の中国語◆活動
意味 アクティビティ
発音 ホゥォー ドン

台湾では農暦の歳時記を大切していて、折々に暦を感じる機会ががあります。

先月8月30日は中元、日本では盂蘭盆会の日を迎え、至る所でたくさんの線香、紙のお金の焚き上げなどがありました。

そして、今日9月29日は中秋節、中秋の名月を愛でる日です。この週末はみなさんこぞってBBQや焼肉屋さんに出かけて、親しい人と時間を共に過ごします。

タイヤル族の狩場へ

そんな季節が夏から秋へ移り替わりつつあった8月の終わり、星のやグーグァンから、車で15分ほどのところにある斯可巴(スーカーバー)という、トレッキングコースに行ってきました。

トレッキングコース入り口

グーグァン地域はタイヤル族という、台湾原住民の中でも大きな民族の居住地のひとつで、周辺の山では、現在も狩りが行われています。

星のやグーグァンのエントラスの目の前に見える、標高2305メートルの馬崙山(マールンサン)という山は、谷關七雄 (グーグァン七岳)のひとつ。
その山の狩場へ向かう道が、斯可巴(スーカーバー)トレッキングコースです。

入り口から1kmほどのお母さん松を目指します


樹齢100年を超える松媽媽(お母さん松)を目指して、1時間ほど「五つ星級」とい
言われているトレッキングコースを登っていきます。
「五つ星級」と言われる理由は、人が通りやすい道幅、豊かな樹木の枝葉によって日差しが遮れていること、針葉樹の落ち葉が道にたくさん落ちており天然のクッションとなっていて膝に優しいことです。

天然のフカフカ道

アクティビティ開発の舞台裏

谷關エリアは山に囲まれていることから、トレッキングに訪れる方が多い場所。週末ともなれば登山口の近くには、たくさんの車が停まっています。

3000メートル級の山々に囲まれた星のやグーグァン

星のやグーグァンでも、お客様にこの地域の特色である山を気軽にら楽しんでもらい、そのあとは温泉で寛いでもらいたいという思いから、開発が始まりました。
また、この地域の山を語る上で欠かせない、原住民族であるタイヤル族の方の文化についても、一緒に知ってもらいたい、というアイデアがスタッフから出て、「トレッキング+タイヤル族文化」というテーマで場所の選定を始めました。

そもそも標高800メートルの場所にある星のやグーグァンを囲む山々は標高2000メートル以上がほとんど。
リゾート滞在中の涼しい時間帯に行って帰って来れるとなると、なかなか難しい。
スタッフの中には、地元のタイヤル族の方、山登りが好きで休みのたびに山登りをしている方がいいですら何人もいて、そういったスタッフからも意見を聞き、めぼしいコースを探します。

アクティビティ開発チームが、目星をつけたコースを実際に何度も歩いてみて、そしてここなら安心してお客様をご案内できて、タイヤル族の狩場のストーリーもお伝えできると決めたのが斯可巴(スーカーバー)トレッキングコースです。

ちなみに、私がこのトレッキングコースを登っていた理由は、新しいアクティビティを日本からお越しくださるお客様にも楽しんでいただけるように、日本語の資料を作るため。道中はこのアクティビティ担当のスタッフが、歴史から自然から小ネタまで様々な話をしてくれて、これをどのようにお客様にお伝えするか、考える楽しい時間でした。

樹齢100歳以上のお母さん松を目指して

遠くに見えるゴールの松の木
左がお母さん松、右がお父さん松

このトレッキングコースがタイヤル族の方にとって大切な理由は、このお母さん松の存在です。
中国語では「松媽媽」、タイヤル族の言葉では「ヤーヤー(お母さんの意)で呼ばれる巨木です。近くにはお父さん松もあるのですが、母の偉大さか、お父さんよりも大きく枝葉を広げています。

タイヤル族の狩人は、狩りに出発する前にお母さんの太い幹を抱きしめてから、狩りに行く習慣があり、とても大切にされている木です。

300歳とも言われているお母さん松

この木を目指して約1時間40分ほど、果樹園の間と山道を登っていきます。
途中には遠くに星のやグーグァンを見下ろせる場所もあり、登ってきたことを実感することができます。

松と共にある生活の跡

星のやグーグァンのウォーターガーデンにも、二葉松、五葉松という種類の松があります。ランドスケープのデザインをする際に、これらの建設前からあった木々を残すように設計をしたことで、立派な木の力強さを感じることができます。

星のやグーグァンのウォーターガーデン

タイヤル族の人々は、この松と共に生きており、その関係は切っても切り離せないものです。
松の樹脂は油を多く含んでいて、灯りの原料として使われたり、顔に彫る刺青の色素として松を燃やした煤を使っていました。
また、五葉松の葉は健康に良いとされ、食品としても使われています。

えぐれている部分が松油を取った跡

トレッキングの道中にも、松油の滲み出た倒木があり、部分的に切り取り油をとったり、ロウソクのように使われたであろう跡を見ることができます。

タイヤル文化、自然、歴史を学ぶ道中

このアクティビティのガイドを務めるのは、星のやグーグァンのスタッフですが、開発中どんなことをご紹介できるのか考えるために、タイヤル族のガイドさんや地元の方と一緒に歩いて、さまざまなお話を伺いました。

道中で出会った森林救火隊の黄さん
周辺の山々のことを教えてくれました

トレッキングコースへ入る前には、タイヤル族の狩人が狩りで山に入るときに行う儀式を、山への敬意を込めて行い、道中でも歴史や習慣についてガイドがいろいろと紹介します。

竹籠を背負って狩をしていました

台湾には、日本がかつて統治していた時代があり、原住民と日本政府の衝突など、日本人として聞くには、正直心苦しいような内容もあります。しかし、そういった文化的、歴史的背景を理解したうえで、タイヤル族の狩場への道にお邪魔させていただく、というのは旅をする土地へのひとつの敬意の払い方だなと、歩きながら感じました。

タイヤル族の狩り道ハイキング

期間:通年(水曜日、木曜日開催)
時間:8:00 - 11:30
料金:4042 台湾ドル / 1名様(税サービス料込)
參加人數:最大2名様(最低開催人数2名様以上)
*山道を歩くアクティビティのため16歳以上の参加に限ります。
予約:アクティビティ参加3日前まで
*參加日の24時間以内の取り消しには100%のキャンセルチャージが発生します。
*天候によって開催できない場合がございます。
*ガイドの言語は基本中国語ですが、日本語の資料をご用意しています。

私のプロフィール

2012年、星野リゾートに入社し、星のや軽井沢で2年サービスチームとして働く。軽井沢ライフの楽しみはトンボの湯とピッキオの生態アクティビティ。ムササビについて謎に詳しい。
その後、マーケティングチームに異動をし、リゾナーレ小浜島、西表島ホテル、リゾナーレ八ヶ岳、リゾナーレ熱海、星のやバリ、星のや東京、星のやグーグァンのマーケティングなどを担当。
飛ぶように過ぎた7年後、海外施設運営をサポートするチームへの異動を経て、星のやグーグァン現地へ異動。台湾のおいしいものに囲まれて、この1年半で大きく成長中。


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