第2話 死ぬ気祭りじゃぃ
死ぬ気になれば何でもできる。
とよく人は言う。しかし死ぬ気になってやって死ななかったときどうすれば良いのか?
「なぁライム。申し訳ないけど死ぬ気ない?」
星咲はまるでコーヒーを勧めるぐらいの軽さで僕に問いかける。いや、あのねぇ。なんで死なないといけないんよ、俺が。
「ライムさぁ、俺の秘密いろいろ知っちゃったじゃん。俺恥ずかしいじゃん、だからさぁ……。せめてその記憶抹消する気ない?」
無理だから、それ。
「あのぉ、星咲さん。どうせ7年後に死ぬなら、ここは穏便にまた死ぬ気でがんばってみない。」
と建設的な意見を口にしてみる。
「いやぁ、星咲さんが彼氏いなくて、俺を恋人がわりに色々と暴れまわったのが恥ずかしいのはわかる。わかるけど、俺は生きていたいなぁ。なんて俺には贅沢ですかねぇ。ははは。」
星咲は我に戻ると
「うううぅう。どうすればいいのよ。彼氏でもない男とお泊まり旅行にいって大暴れしちゃった私の立場になってよーー。」
星咲さんは苦しくなると俺といって脅したり、私といって泣き落とす癖がある。これは相当参っているな。
「いっそ、その彼氏でもないっていうのを修正して、俺を彼氏にしてみると言うのはダメですか……。いや、いいです。死にたくないだけなんです。すみません。」
と冗談交じりに告白してみた弱気な俺。
星咲さんは悩んでいる。
「私死ぬんだよ?7年後に死ぬ彼女欲しいの?ライムは?まぁ、それでもいいって言うなら彼氏にしてやってもいいけど。」
そのあとものすごい嫉妬深いことを彼女は言う。
「俺が死んでも、生涯恋人は俺だけにしろよ?ん?わかってんだろうな。」
「は、はい。」
星咲さんは僕のドギマギした承諾の声を聞くと満足そうに。
「じゃぁ、ライムは地獄のハテまで私の秘密は持っていくということね。よかった。きっとそう言ってくれると思って、もう頼んであったのよ。」
何を、何を頼んであるんです星咲さん。
「き、気になるなぁ。何を一体?」
「ああ、この墓石よくみてごらん。」
良くみるとそこには俺の本名が刻み込まれていた。星咲太朗と。苗字は勝手に星咲のに変えられていた……。
「というわけで婚約おめでとう、太朗さん。」
星咲はにっこり笑うと。
「ライムはいい嫁をもらったね。果報者ね。」
と自画自賛した。いやお前が婿をもらったんだろう。と俺は頭のなかでツッコミをいれた。怖いから頭の中だけな……。
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