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好きな人と過ごす退屈な時間。

何度も見る夢がある。ある場所や設定がリプレイされるのだけれど、あり得ない展開になるので待てよ、これは夢だな⁇と眼が覚めるのだ。

昔から、その人の才能に惚れ込んでしまい、仕事をする横で過ごす時間が好きだった。退屈だけど幸せな手持ち無沙汰。どこか遠くに出かけなくても、まったく気にならず。

静かに音楽が流れ、鬱蒼と参考資料が散らばり、パソコン💻は何やら表示し、真剣な表情で黙々とペンを走らせる姿。

まだ駆け出しのコピーライターの頃、賞狙いの作品をアイデアを出し、それが相方の手で形になっていくのがうれしくて、本を読みながら待っている時間に受賞者さながらの幸福感を味わっていた。

山を歩くようになったのは、そういうインドアな趣味とも言えない退屈から、脱しようと思ったからかもしれない。単に別れが辛すぎたから忘れたくて違う景色を見る必要があったせいかもしれない。今となっては忘却の彼方だけれど。

日常があまりにもやることに追われているので、夢の中で甘美な退屈に浸っている。そんな滑稽な今がなんだかおかしい。


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