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hoshikuzu
2024年5月24日 02:12
バチン、と音がしたと同時に、指先にちいさな衝撃が走る。砂糖の袋を閉じようと捻っていた輪ゴムが切れた。あぁ、切れたか。そんな時、決まってぼんやり浮かぶ人がいる。彼は輪ゴムを持っていなかった。買い置きがなくなったとかではない。彼の家には輪ゴムがなかった。「輪ゴムは劣化するから。」劣化したものを直すことを生業としている人だったから、自然な感覚だろう。では彼は輪ゴムの代わりに何を使っ