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魔法に魅せられて|舞台感想文

先日、東京・赤坂にて『ハリー・ポッターと呪いの子』の舞台を観劇してきました。「これは魔法だ!」と興奮しました。いや〜すごかった。

シリーズ8作目『呪いの子』

『ハリー・ポッターと呪いの子』は、原作7巻目『死の秘宝』から19年後の世界が描かれています。7巻の下巻の最後にワンシーンだけ19年後のハリー、ロン、ハーマイオニーの様子を知ることができますが、そのシーンを起点としたハリーたちの息子世代のホグワーツでの冒険の物語です。

『呪いの子』は舞台のために作られたオリジナルの物語で、その脚本が本として出版されています。原作者J・K・ローリングも著者の一人で、公式の続編という形になっています。

私自身は原作本を何周も読んでいるくらい大好きな物語で、どんな形であれまた魔法界に戻れることにワクワクしていました。で、もちろん、日本での劇場公演が発表される前から、出版されていたオリジナル脚本を手に取り、読みました。(なんなら、翻訳を待たず英語版も購入)

でも、やはり舞台での表現を念頭に置いているからか、正直に言うと、本を読んでも物足りなく感じていました。
細かいところを言えば、どうして7巻の最後と『呪いの子』で翻訳を変えているんだろう?というところが気になったり、脚本形式の本を読み慣れていなかったりと、なんかこう、いまいち乗れない。どうして普通に小説で出してくれなかったんだろう…と心のどこかで思っていました。

だから、今回の東京公演も、とっても楽しみにしている反面、すこーしばかり不安もあったのです。
まず、不安だったのは、日本人キャストによる「ハリー・ポッター」です。
舞台を観慣れていなかったので、日本人キャストが、トムとかピエールとかそういう外国人名で呼ばれる感じに、違和感を覚えていました。
そして、そうやって舞台に慣れていなかったので、観劇の楽しみ方とか拍手の作法とか(特にカーテンコール)、目線の動かし方とか(どこに注目すればいい?)、そういうことも不安に感じていました。

そこで、私は予習をすることにしました。

予習の流れ

『呪いの子』日本公演が発表され、「よし観に行くぞ」と決意した日から、計4回舞台を観劇しました。戯曲、コメディ、ミュージカルと、ジャンルはバラバラですが、とにかく舞台の楽しみ方を練習するぞ!という意気込みでした。

最初は重厚な戯曲に挑戦。結果、惨敗でした。
よくわからない。役者の生の演技はすごいけど、え、どこをどう楽しんだらいいの?(よく考えれば失礼な話)と、いろいろ疑問符の残る結果に。

これじゃだめだ!と劇団四季のミュージカルへ。
ま、これは楽しんで観れました。舞台上の仕掛け、演者のパフォーマンス、観客の拍手。そうか、ライブのような楽しみ方なのかな。

お次も戯曲。
この頃には、トムとかピエールとかにも慣れてきていました。物語がハマったからか、予習の成果があったのか、1作目よりもかなり楽しめている自分がいました。よしよし、いい感じ!

次はフランス喜劇。
座った席がかなり前列の方だったのもあり、役者の表情も見える、見える。かなりリラックスして楽しませていただきました。これまでの「舞台だ」という謎の緊張感もなくなり、いざ本番へ!

魔法に魅せられて

いざ、本番へ!
『呪いの子』のシアター前に降り立ちました。もう、駅から魔法界に仕上がっていて、大興奮ですよ。USJのハリポタエリアに初めて足を踏み入れた時に似た興奮の波が体を襲います。

開演前の、というより入場後のロビー装飾や壁面の守護霊パトローナスの絵なんかにもワクワクし、舞台上のキングスクロス駅のセットにも気持ちが昂っていました。

そして開演。
そこには、魔法がありました。

そもそも、映画ではグリーンバックとCG技術を活用していた魔法の演出、どうするんだろう?って思いません?
私自身は観劇初心者なので、特に疑問に思うことなく、そういやそうだな、と後になって思ったわけですが、まぁぼんやりとマジック的なことが起こるのかなと予想していました。

でも、そこにあったのは、舞台ならではの魔法でした。
魔法薬・ポリジュース薬を飲むシーンや、魔法省入り口の電話ボックスの姿くらましは圧巻でした。
そうした「見せ場」もさることながら、大人になったハリーたちのお話ですから、魔法は日常的にあるわけです。そんなさりげない魔法の演出も素敵でした。(ジニーがベッドから起き上がりざまに「ルーモス」を唱えるところがお気に入りです)

あぁ、これはマグルが魔法界を体験する手段として、新しい方法を創ってくれたな、と本当に思いました。最初の不安もどこへやら、今ではもう一度観たい!と強く願っています。春先にでも、観に行こうかしら…

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