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木村正人さんの本漆の箸のこと

木村正人さんの唐塗や七々子塗の箸でご飯を食べると、とても美味しく感じます。箸がなんの抵抗もなく、唇をすっと通り抜けるからです。そして、そのつるつるした感じが何年も持続します。とても丈夫です。いまでは、我が家はみんな木村さんの箸になりました。

人間の唇は水を飲むときにどの位、口の中に取り込むとか、熱い・冷たいという温度を判断する優秀なセンサーがついています。ですから、食器や食具も美味しさの一部でもあります。

しかし、唐塗や七々子塗の箸は、麺の時はすべりがよすぎて食べずらいという難点があります。紋紗塗という技法の箸はすべりにくいので麺の時におすすめです。握っている時にも安定感があります。

※写真は上から2膳が紋紗塗、その下が唐塗、一番下が七々子塗です。


工芸を現代の生活に取り入れてもらうために

昔の人は身体尺で物の大きさを決めていました。箸の長さは『ひとあたはん』。『ひとあた』は手の指を親指だけ直角に開いた時の親指と人差し指の間の実寸です。箸の長さはその1.5倍がちょうどいいと言われています。

津軽塗の箸は通常23.5cmが男性用と21.5cmが女性用として製作販売されています。男性は緑、女性は赤の唐塗が定番で販売されているように思います。けれど、いまの私たちの生活ではその色の選択はないかな…と個人的には感じます。今回は特別に黒マットの箸をオーダーしました。長さも21.5cm、22.5cm、23.5cmと3段階にしました。これまでぴったりこないなぁと感じていた人にも喜んでもらえるんじゃないかなぁと感じています。木村さんもいままでしたことのない仕事なんだそうです。

また、唐塗もピンクやベージュや群青など、なかなか仙台ではみかけないカラーをペアで購入できるように準備もしました。箸の他にも少しですが、皿や盆も展示予定です。

工芸はよいと思ってもらうだけでなく、日常で使い、技術を未来へ継いでいくことが大事だと感じています。漆が薄くなってきたら、有料ですが塗り直しをお願いできます。数か月~1年で箸を買い替えているのであれば、5~10年修理なしで使える本漆の箸は長い目で見たら得だし、快適です。

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