大宮アルディージャ マイベストイレブンを考える(日本人選手限定)

リーグ戦再開の報道も出てきたところで、近頃気になっているのが大宮公式の記者によるマイベストイレブンの記事。選手との接触もあり思い入れも人それぞれ、担当歴も長い記者たちの目線は非常に興味深いところがある。是非、引き続き色々な方のマイベストイレブンを知りたい。

個人的には2007年から大宮アルディージャを見ているが、そこから現在に至るまでのマイベストイレブンを便乗して一旦整理したい。2007年以降にプレーしていることを条件として、選手選考の幅を広げるため日本人選手限定とした。思い入れ補正込みでベンチメンバーも含め編成したい。

GK

江角浩司(2006-2014)
長身を生かしたダイナミックなセービングが魅力で、当たり出すと止まらないGK。そして吠える姿がとても絵になる。恐らく歴代のGKの中で最もPKに強い。キックの精度には難があったがご愛嬌。9年間の在籍という長きに渡りチームを後方から支えた。スタンドから「えすみ」という声援が聞こえる度、人の名前ぐらい正しく覚えろとイライラしたのも今となってはいい思い出。サポ内でも江角派と北野派は割れる模様だが、皆でしゃがんでからの跳ねるチャントの盛り上がりは江角に軍配か。

DF

杉山新(2010-2011)
無尽蔵のスタミナでサイドを幾度となく上下動できる右SB。個人的には守備的なイメージの強いこのクラブにおいて、サイドバックの攻撃力の重要性を認識するきっかけになった選手。果敢な攻撃参加でPA内に侵入したり、全力疾走で守備に戻りボールに食らいつく姿が印象的。緩慢なシーンの多かったスローインも彼は全力でボールを拾い投げる体勢をとるが、誰も貰いに来ない。クロスの精度は大宮クオリティだったが、左SBだった村上とともに新たな大宮のサッカーを体現した。

片岡洋介(2005-2009,2011-2015)
屈強なフィジカルを生かしたハードな守備が持ち味のCB。ボランチでは足元の技術に課題があったものの、CB専念で持ち味の対人守備とハードワークによる気の利いたカバーリングが生き大成功。さぁここからという時に何故かボランチ挑戦を希望、色気付いて加藤久率いるCB軍団京都サンガに移籍し大失敗。1年で戻ってきてばつが悪そうにしていたそんな彼のキャラクターが本当に憎めない。ミドルシュートはGKが弾いた際に弾く音が聞こえるほどの威力。恐ろしい。

河本裕之(2012,2015-)
現在はチーム最年長となった最終ラインの要。降格危機の際にレンタルで加入し大宮を救ったが、肝心の所属元神戸が代わりに降格。好条件の完全移籍オファーを受けるも、神戸を救うためにキャプテンとして復帰し昇格に導いた。その後大宮でなければJ2クラブへの移籍は考えなかったと男気の完全移籍加入をし今に至るが、物静かながら内に秘めるものの熱さにサポーターの支持を集める。空中戦・対人・スピードと穴がなく、右足のシュートも意外に上手い。

和田拓也(2013-2017)
こちらも元々は片岡同様対人に強いボランチで、身体能力ではなく駆け引きと間合いでボールを奪う。SBかつ出番の少なかった仙台からの移籍で当初はボランチで起用されていたが、04年の計画性のないボランチ大量補強などにより結局左SBに落ち着く。不本意だったろうが、05年のJ2優勝時は泉澤・家長とともに3人で相手チームを崩しまくる驚異の左サイドを形成した。再度の降格とともに移籍したが、広島加入時にSBで勝負したいと語ったことは絶対に忘れない。東京Vのユース出身らしく足下の技術にも長ける。

MF

金澤慎(2002-2019)
言わずと知れたミスター・アルディージャ。現役時代は現役なのにその呼びようはいかがなものかと思っていたが、引退後には随分しっくりくるようになった。大宮生え抜きあるあるで、同ポジションに次々と外様が補強されるものの、気がつくとレギュラーを奪い返している。視野の広さを生かしたカバーリングとボール奪取が特徴の守備的ボランチと思われがちだが、相手に合わせてプレーを変える器用さもある。裏への飛び出しが上手く、攻撃センスも兼ね揃えている。

小島幹敏(2015-)
大宮ユースの生んだセンスの塊とも言うべき、売り出し中の天才肌レフティーボランチ。練習一つ見てもパスの出し所・配球のリズムと独特の感性を持っている。それでいて走れる選手であることが彼の付加価値で、水戸へのレンタルは大成功であったということ。スタメンでの出場数は決して多くないが、色々なタイプの選手と組むことで特徴の生かし方も変わってくるはず。伸び代しか感じない。

渡邉大剛(2011-2015)
優れた戦術眼を持つ渡邉解説員。ドリブルやミドルシュートと若さでプレーしていた京都時代と異なり(西京極で目の前で叩き込まれたスーパーミドルは忘れない)、大宮では怪我の経験からプレースタイルを変え、チームの体現するサッカーの繋ぎ役に徹した。地味ながらも彼がいないと攻撃が機能しなくなり、数字以上の貢献度があった。チームが苦しいときにゴールやアシストを決められるメンタルの持ち主でもある。ここ最近はOle!アルディージャの準レギュラーとして活躍中。

家長昭博(2014-2016)
現役の日本人選手の中でもトップクラスのボールキープ力を持ち、恐らくクラブ史上No.1の日本人選手だろう。ボール奪取の得意な米本を片手一本で制し赤子のように扱うその様はまさに規格外。おなじみのJ2優勝を決めるPKなど、在籍した3年間のクラブへの周囲の期待を一身に背負った強靭なメンタル。そしてボールを扱うテクニック。心技体揃ったまさにプロフェッショナルだった。NACK5スタジアムで彼のプレーを間近で見られたのは本当に幸せな時間だったと思う。JリーグのMVPという正当な評価がされて良かった

FW


石原直樹(2009-2011)
鈴木監督時代はチーム事情でスーパーサブとなったことから在籍はそう長くはなかったが、滞空時間の長い空中戦や無理な体勢からのシュート…身体能力が滅茶苦茶高く、シュートのパターンが豊富な選手だった。サイドでの起用もあったが彼の見せ場はやはりフィニッシュ。前線からの守備もきっちりこなす献身性も持ち合わせている。退団後もインタビューでスタジアムへの愛着を語ってくれたのが非常に好印象。尚更いい別れ方ができなかったのが残念でならない。

森田浩史(2004-2008)
意外性の男。簡単なシュートが中々決まらないものの、難しい局面のシュートやロスタイムのシュートはよく決まる。外国人FWと組んで守備のバランスをとるタスクもあったが、身長の高さの割にヘディングシュートを決めてたわけでもなく、カウンターの場面で何故か前線に顔を出してこなかったりとやきもきする場面も多かったが、ワンプレーにこんなに一喜一憂できるのは後にも先にも彼だけかもしれない。理由はわからないが、彼にはそんな魅力がある。皆「走れ森田!」なんて叫んでおきながら、好きでしょうがないんだ。

リザーブ

GK塩田仁史(2015-2019)
経験に裏打ちされたコーチングと読みに優れ、笑顔の優しい人格者。ピッチ上で檄を飛ばしたり、ベンチから横谷のFKのアドバイスをして得点させたりした姿は指導者として成功する未来しか見えない。行く行くはなんとかして大宮に連れ戻してほしい。

DF河面旺成(2017-)
DFに必要な要素をほぼほば持ち合わせているレフティ。3バックと4バックの併用に柔軟に対応できるだけでなく、セットプレーも蹴れてターゲットにもなる万能な選手。3年目のJ2を選んでくれたことは感謝しかない。大宮の選手として日本代表に選ばれてほしい。

DF奥井諒(2016-2019)
走力とスピードが持ち味の右SB。戦術奥井選手行ってこいを発動すると、ひたすら味方が右サイドのスペースにロングボールを放り込み、ひたむきに奥井選手はスペースを陥れる。ロングスローも上達し、外国人選手とのコミュニケーション能力も高い努力の人。

MF斉藤雅人(1998-2009)
社員選手としてチームを支えた、歴史を語るうえで書かせない人物。伝家の宝刀4-1-4-1のアンカーは彼のためにあるポジション。DFからFWまでマルチにこなす姿はマサに社員の鏡。早くも引退から10年経ってしまったが、チームが苦しいときにはいつもマサがいた。

MF茨田陽生(2017-2019)
柏アカデミー出身の天才パサー。ボランチで勝負したかった彼の活躍の場はSHとシャドー、どこかで聞いたような話だ。得意のロングパスではなく守備意識が高まり得点力も向上。独特のリズムのドリブルも隠れた強み。湘南でこの経験が生きることを願う。

MF小林大悟(2006-2008)
クラブ初にして21年間の歴史で唯一の大宮所属で代表キャップを刻んだ男。あれからもう14年。大宮を見始めた時期と彼の全盛期が重なっていることもあり、個人的には今でもスーパースター扱いである。クールなテクニシャンのイメージだが、勝負強さもある。

FW富山貴光(2013-2015,2018-)
真面目で練習熱心な魂のストライカー。サイドから、中央からゴールを狙うギラギラしていたルーキー時代とはうって変わって、鳥栖ではセットプレーのキッカーも務め、現在では献身的なCFにモデルチェンジした。途中交代で何かやってくれそうな空気を纏ってる。

マイベストイレブン3

以上、18名を挙げた。監督はクラブ史上最高成績に貢献した渋谷洋樹氏で。なんと杉山新を除いた全員が渋谷さんの指導を受けている。
そして、もしも外国人選手を入れるなら…レアンドロ・ラファエル・ノヴァコヴィッチを選びたい。伝統的に強力な外国人CBとFWを擁するクラブであり、ここについてはマクシメンコとハスキッチにも期待したい。

ここに挙げた選手で現在所属している選手は少な目だったが、今季以降の活躍で新たにマイベストイレブンに絡んできてくれることを期待したい。

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