大宮アルディージャの振り返りたくない試合をあえて振り返る

リーグ戦再開まであと18日。

オレアルでは"記憶に残るあの試合"を毎週放送しており、Jリーグのない寂しい日々の中ノスタルジーに浸ることができる。

しかしながら、決して強豪チームとは言えずJ2沼にはまりかけている大宮アルディージャ。長いこと試合を見ていると、正直なところいい試合より悪い試合の方が多いのである。

強くないチームだからこそ勝った時の喜びはひとしお、確かにそれはそうではあるが、もう少しいい思いもしたい。それでも、そんな強くないチームを憎めない自分もいる。

この記事ではメディアでは触れられることがない、振り返りたくない試合を現地観戦した中から5試合挙げていく。書いていても読んでいてもなんだか暗くなってくるが、サッカーのない日常よりも負けた悔しさを語れる日常のほうがいい。これらのような試合が今後繰り返されないことを願っている。


5位 大宮0-2FC東京(2007年J1第2節)

中身もツキもない、この年の行く末を暗示するような試合。開幕戦を安易なミスで落としてのホーム開幕戦。今思えば埼スタ開催は近郊アウェイ来場者も多く人数は稼げる反面、ホームアドバンテージは皆無だった。
チャンスを確実に決められ2失点、最大のチャンスだった橋本早十のFKはピンボールのようにバーの内側とゴールラインぎりぎりを叩きつけ、ゴールマウス外に弾き出された。あれが決まっていたら、もう少し彼個人としても、チームとしても流れを掴めていたに違いない。ロバート監督の打ち出した4-4-1-1も攻守に見所がなかった。FC東京で僅かな出番に終わった元コスタリカ代表・ワンチョペを見ることができたことが唯一の収穫であった。


4位 甲府1-0大宮(2017年J1第4節)

この年最初のコアサポ暴動試合。連敗スタートでとにかく勝たないと後がない状況。甲府はGKを負傷で欠いたかなんかで控えGKなし。いっそPKゲッターのムルジャが相手GKを退場に追い込んでくれないかとも思ったこの試合。
しかし、この年一緒に降格した甲府相手にも負のスパイラルは止まらない。当時のエース、江坂任はこの試合左サイドに配置されていたが、昨年一緒にやってたはずの左SB大屋翼と全く噛み合わない。主力移籍の影響で攻撃の形がリセットされた現実を受け入れるしかなかった。その後ムルジャ自身がPKを献上し失点。試合後は一部コアサポが暴動を起こし渋谷監督と口論に。より後味の悪い敗戦となった。その後の柏戦で2度目の暴動が起きる。


3位 浦和4-0大宮(2014年J1第22節)

当時の大熊監督が解任された試合である。例年以上に残留が厳しい状況であり、ダービーを起爆剤に!というサポーターの気持ちの拠り所となる試合のはずだった。過去に、2007年は本当に弱かったチームが最強の浦和に勝つことができたし、2012年は残留争いの苦しい中勝ち点をもぎとり無敗記録をスタートした。2017年はその後の結果には繋がらなかったが開幕からの勝ち無しを浦和相手に止めた。
ところがどっこい、モチベーションは結果に現れず。守備陣については子供扱い、練習試合と見間違うぐらい次々に失点を重ね終戦。監督解任の理由付けにはもってこいな、見所のない大敗だった。


2位 大宮2-2札幌(2017年J1第18節)

事実上の2017年シーズン終戦となった試合。伊藤監督就任後粘り強く勝ち点を拾う大宮は勝てば大きく勢いづく試合、J1の壁に苦しむ札幌は敵地で勝ち点を持ち帰りたい。
試合は攻撃陣の頑張りで2点をリードして終盤へ、スタジアムの盛り上がりも最高潮へ…というところでFK献上、名手福森のシュートをGK松井謙弥は止められず。しかしまだ1点リード。無敵大宮のチャントが響き、もう少しのところでまたしても絶好の位置でFK献上。そして悪い予感は的中。またしても福森のスーパーなFKがネットに突き刺さり試合終了となった。引き分けとはいえ劇的な勝ち点1を手に入れた札幌はその後順位を上げ残留。負けに等しい引き分けとはこのこと。厳しい戦いの続いたこの年の大宮、サポーターの心がへし折られる音が聞こえた試合であった。


1位 大宮0-4柏(2008年J1第28節)

夏場恒例の失速で、チームはデニス・マルケスとラフリッチの2トップの個人技頼みの苦しい状況。対戦相手の柏は勝利から遠ざかり、右SBには藏川ではなく、大卒ルーキー村上を起用する厳しい台所事情であった。
しかし村上の起用がここまで当たるとは誰も思うまい。デビュー戦の村上は積極的な攻撃参加でプロ初ゴールとなる先制点をゲット。あれよあれよと言う間に、前半だけでハットトリックを達成してしまった。デビュー戦ハットトリックはJリーグの30年近い歴史でも、未だにジーコと村上だけであり、しかもわずか45分間でルーキーの右SBが打ち立てた記録は、今後破られることはないだろう。更に後半早々に"ミノルーニー"菅沼に4点目を奪われ、初めて試合中に席をたった。試合前にはサポーターの結婚式がピッチ上で行われたが、記録づくめの何とも残念な一日になってしまった。


ワーストとしてここで挙がった以外にも絶不調であったり、断トツ下位との対戦での敗戦が多く、ダービーでの大敗も浦和サポーターの振る舞いも影響して非常に印象が悪い。また、仙台戦や川崎戦は内容・スコア共に完敗が多く、いい思い出がない。

成す術なく敗れた2度のプレーオフや、あまりにも弱かった2017年、大熊監督時代の2014年、無気力試合が繰り返された小倉監督時代の2013年の多くの試合もワーストゲームの候補だった。残念ながら、挙げればきりがない。個人的には今回挙げた1位から4位はかなり接戦だった。

試合単位でなくとも長友佑都や堂安律のJ1初ゴールや、ポドルスキの来日初ゴール、中村俊輔の磐田移籍後初ゴールなど、著名な選手の引き立て役となることも多い。

ゴールを奪われるシーンばかりでテレビに登場するのは見ていて辛いものがあるが、いつか逆の立場となり取り上げられるクラブとなること、取り上げられる選手が出ることを願っている。ネガティブなことばかり書いても、何度裏切られてもその先に期待してしまうのである。そうでないと大宮サポは長続きしない。

Jリーグのある日常まであと18日。

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