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うしろめたさの人類学

2022.2.9

そういうわけで、ずっと前に買った本だけど、何にも覚えてないんだからもう一度読んでみようかと思ったわけ。この本も上間陽子さんの「海をあげる」の続きでなぜか読む気になりました。

著者によれば、人類学とは、A国(地点)とB国(地点)を何度も行き来することで見えてくる「ズレ」から、社会をよりよくするヒントを考える学問らしい。

かつて若者だった著者は、1年休学して、エチオピアの寒村でフィールドワークをした。(といってもそこで村人と暮らし、ぶらぶらしているだけのように見える。)今は大学教員となった著者が、その時のことを振り返って、今日本にいる自分が感じるあのときの自分とのズレを書いている。

この本で印象に残ったのは、「Aさんって○○な人」 なのは、本人の持っている特性なのではなく、まわりの環境との関わりの結果なのではないか という問い。

つまり、Aさんは、まわりの私たちがそうなるように関わったから○○になったのではないか(同じことですが)ということ。

そこから、個人、社会、国、市場といった、変えることは難しいとあきらめてしまうようなものでも、自分の見方や考え方の枠組みをずらしてスキマを作ってみることで、案外変えることができるのではないか、と(おとなになった)著者は言う。

(ああ、それって「だまされ屋さん」も同じだわ・・。やっぱり読書ノートつけっぱなしにしなくてよかった〜。こうして書き直したからつながった。)

そして、「うしろめたさの人類学」とは、圧倒的な格差や不条理の上に成り立つ絶対優位な立ち位置にいる自分が、しかしそこからしか見ることも考えることもできない絶対的うしろめたさの地点において、ギリギリの解を探していきます、という著者の決意の書であるように感じました。



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