【回顧】ジャパンC

皆さんこんにちは。

世紀の一戦が終わって3日が経ちました。
ちょっとした"ジャパンCロス"に見舞われてる方もいらっしゃるかもしれませんね。
レース前にウェイトゥパリスがゲート入りを嫌って発走時間が少し延びましたが、この間いろんなことを考えましたねぇ。

「早く始まってほしい」という気持ちと「決着するのを見たくない」という気持ちと……入り乱れました。

ウェイトゥパリスよ……まだ入らないでくれ!!
そんなことも考えてしまってたなぁ…。

夢の終わりとは呆気のないもの。レース結果自体は清々しいものでしたが、何となくモヤモヤするというか……複雑な気分です(^_^;)

それではレース回顧です。

【レースラップ】

12.7ー10.8ー11.8ー11.3ー11.3ー11.5ー11.8ー11.9ー12.1ー12.3ー13.2ー12.3

600m通過 35.3
1000m通過 57.9
レース上がり 37.8

キセキが先手を打ち、ハイペース。
戦前から「キセキがロジャーバローズしてくれれば…」と望んだ方もいらっしゃるようですが、結果的にはロジャーバローズではなく、"リオンリオン"した格好になりました。
2019年のダービーも、1000m通過は「57秒8」ですから前半の流れは似たようなものでしたが、キセキの凄みは実は"そのあと"だったのではないかと思います。
1000m~1800mまでの4Fを当時と見比べてみましょう。

2019年 日本ダービー (リオンリオン)
12.0ー12.3ー12.4ー12.2

2020年 ジャパンカップ (キセキ)
11.5ー11.8ー11.9ー12.1

当時のリオンリオンは、中盤で息を入れるかのように少し落ち着いたペースを刻みましたが、今年のキセキは1000m地点を通過してからもガンガン飛ばしていくラップ。
さすがに最後はバテたものの、リオンリオンが16着であったのに対し、キセキは8着に粘る内容。彼自身の強さもまた垣間見えたレースとなったのは間違いありません。
見逃されがちですが、意外とここは重要なポイントだったのではないかと思います。
これまでのキセキが逃げた時とはひと味違うペースを刻んだことも、今年のジャパンカップを盛り上げたひとつの要因ではないでしょうか。

さて、キセキが大逃げのかたちで進みしたので、実質"逃げ"のかたちになったトーラスジェミニ。
彼以降の馬群の流れでいえば、1000m通過は恐らく60秒ちょっとといったところ。
戦前は、トーラスジェミニがこのくらいのペースを刻んで逃げるだろうと思っていたので、ある意味ではそのとおりではあるのですが、それにしてもキセキがもし逃げず、トーラスジェミニがハナを切る展開であれば、これと同じになったとは限りませんし、やはりキセキの逃げあってこそのレースだったと言えるでしょう。

トーラスジェミニ以下、後続馬群も決して緩んだところはなく、一番遅いところでも12秒フラット程度で、非常に淀みの無い展開になりました。
馬群の流れ自体だけで見れば、1秒程度の後傾ラップだったとは思いますが、いずれにせよ最終週の馬場をめいっぱいのペースで流れた。そう読み取ることができます。
ということはつまり、瞬発力勝負とは無縁の完全な地力勝負になったとも言えます。
「スピード」「スタミナ」あらゆる面が必要とされ、まさに"総合力"が問われました。
メンバーもそうですが、内容としても2018年のジャパンCを凌ぐ好内容だったと思います。

それでは、1頭ずつの回顧に移ります。

1着 アーモンドアイ

ラストランとなりましたが、衰えを感じることは一切無い王道の競馬で堂々の勝利。実況どおり「最強のままターフを去った」そんな感じでしょう。
楽勝に見えますが、アーモンドアイとてこのペースは決して楽では無かったハズです。
が、この馬の持てる最大限のパフォーマンスを自ら引き出し、またそれをエスコートしたルメール騎手もさすがです。
スタートを決めると、いつもの勝ちパターンである好位を取り、直線早め先頭、そのまま押し切る"十八番"の競馬。
よく、引退レースだと「1回くらい先頭に立って見せ場くらいは……」と聞いたりもしますが、このくらいの馬になると"
見せ場=勝利"であり、それをそのまま体現したかたち。
天皇賞(秋)で勝利して臨んでいるわけで、所謂「燃え尽きた」感じなど無い状況でした。燃え尽きたと言われる方も居ましたけど、正直どこでそう判断したのか私にはよく分かりません。
個人的には予想どおりの競馬でしたし、あくまでも最後まで勝ちに拘り、そして勝ったところに"価値"があったと思います。
これでG1は9勝目。国内だけで8勝目です。
文句のつけようが無いですね。しかも今回は年下ではありますが、三冠馬2頭を負かしたわけですから相当なもの。
2018年のジャパンCがこの馬のベストレースと言われてきましたし、確かにそれは一理ありますが、私個人としては2020年のジャパンCがまさにアーモンドアイたる所以を見たレースといえ、最高最大のパフォーマンスを見せてくれたと感じました。
私が本命を打ったのは秋華賞だけ。常にこの馬に勝てる馬を探し続け、その度に跳ね返されつつも馬券的な相性はそう悪くなかったです。なんだかんだで、個人的には良いお付き合いが出来たかな。
「40頭」・・・これが何を表しているかお分かりでしょうか。
そう、アーモンドアイが今まで先着してきたG1馬の数です。凄いですね、これは。
もっと凄いのは「2度同じ相手には負けてない」こと。
タラレバは禁物ですが、もし今、グランアレグリアやリスグラシューともう一度対戦していたら負かしていたんじゃないか。
そう思えるほど強い馬でした。
長いようで短い現役生活だった気がしますが、日本競馬を支えた1頭としてきっと我々ファンの心に残ることでしょう。
お疲れ様でした。

2着 コントレイル

近年、強い馬はトライアルをパスすることもありますが、この馬に関しては神戸新聞杯を使い、そして菊花賞であれだけの競馬をして相当疲れただろうに、ここに参戦し、そして良い競馬をしました。夏からあったプランどおり、走りきったことに価値があり、負けてしまいましたが決して恥じることは無いでしょう。
これで無敗ではなくなってしまったわけですが、あくまで「無敗で三冠を達成した」ことに変わりありません。
レースとしては、デアリングタクトとの位置関係が予想とは逆でしたが、それでも直線に向くまでのコーナーワークと操縦性の良さで先に抜け出していきました。
果たしてデアリングタクトより前に居たらどうなっていたか……それを考えるのは野暮ですのでやめておくとして、少なくとも楽なローテーションではない中でこの走りは称賛に値します。
コントレイル自身も「男の意地」は見せてくれましたし、キッチリと状態面を立て直してきた厩舎関係者の方々もまた素晴らしかったです。
来春はひとまず大阪杯が目標とのこと。
本来であればドバイターフあたりを使いたかったんでしょうけど、昨今の情勢的にどうなるか分かまりせんし、今のうちにさっさと決めたのは良かったと思います。
恐らく、またどこかでデアリングタクトと対峙するでしょうけど、まずは秋の疲れを十分に増やして来年も活躍してくれることを期待します。
血統的に成長力が…と言われるでしょうけど、そんなものは跳ね返してほしいですね。
「ディープインパクトの最高傑作」として。

3着 デアリングタクト

こちらも三冠馬として堂々とした結果を出しました。
スタートに関していえば、予想より良かったです。これでコントレイルよりも前に行けましたし、素直に位置を取りに行った松山騎手の判断も良かったと思います。
惜しむらくは、4コーナーから直線にかけて、エンジンをかけるまで少しモタついてしまったこと。
コントレイルに寄られたのは確かですが、あれはラフプレーでもなんでもない。せっかく彼より前に行けたのですから、あそこも先に行けば良い話で、あれは勿体無かったですね。
一方、そこから切り返して最後の最後でグンっ!と伸びてきたサマを見て瞬発力ではやはり凄いものがあるな、そして勝負根性もあるなと感じました。
普通の馬であれば、あの直線の運びでは5,6着止まりでもおかしくないところでしたが、それを3着まで巻き返してきたのがこの馬の強さ。
今回は経験の浅さが出てしまいましたが、伸び代という点ではまだまだあります。課題は見えつつあるので、来年また期待したいところ。
コントレイルとの対決も去ることながら、年上のクロノジェネシスやグランアレグリアとの対決も見てみたいですし、どこかで1度は実現するでしょう。
厩舎としても騎手としても、デアリングタクトと一緒に成長していけそうです。次なるヒロイン候補。

4着 カレンブーケドール

前走で随分引っ掛かっていましたし、今回の追い切りも1週前、そして当週どちらも個人的にはあまり良いとは思わなかったので不安がありましたが、コース巧者ぶりを発揮しての結果。
上位3頭には惜しくも及びませんでしたが、この馬の力は十分に出せたと思いますし、今後も相手はどうあれやってくれそうな走りでした。
どこかでまずは重賞タイトルを…と思います。
津村騎手は重賞で言えばG3しか勝利経験が無いのですが、上手な騎手です。ただ、大事な時に運やメンバー含めて噛み合わないだけで。
そしてやっぱり先行タイプのほうが合いますね、この人は。
追い込みは……あまり印象に無い。恐らく今後もコンビを組むと思いますので頑張ってほしいですね。

5着 グローリーヴェイズ

川田騎手らしく強気に行った結果の5着。
どんな時でも勝ちに行く騎手。基本的に"やらず"は無いので、頼もしくありますが、その分勝ちきれなかった時は着を外してしまうのが惜しいところ。
ただ、騎乗そのものは良かったですし全力で乗った結果。
グローリーヴェイズ自身も久しぶりの左回りで少し戸惑った面は若干あったかもしれませんが、力は示してくれました。
年齢的に来年も現役を続けるのか分かりませんが、まだG1を勝つ力はあると思いますから、どこかで一発。

6着 ワールドプレミア

5着からは少し離されましたが、長欠明けとしてはよく頑張ったと思います。
ジャパンCというのは、菊花賞馬とは相性が良いレースでもあり、来年もし出てくるようなら面白いと思います。
もちろん、今回使ったことで次は良くなるでしょうから、このレースに限らず注目すべきですが。

8着 キセキ

ペースを考えればよく踏ん張ったと思います。
ここ数年で記憶に残るG1といえば"いつもこの馬が立役者"になっている気がします。
2018年の秋は秋3戦ともそうでしたし、今年のジャパンCも。
常に一生懸命走りますし、使っても使ってもへこたれないタフさは素晴らしい。個人的には好きな1頭なんですよね。
次は有馬記念に向かうそうです。
今の時代に、秋古馬三冠を2回も皆勤する馬は非常に珍しいですし凄いことだと思います。今後も無事に。
またG1を勝ってほしい気持ちはあるんですよねぇ。

10着 ウェイトゥパリス

まず来てくれたことに感謝したいですね。
元々ゲート入りが悪い馬なのかもしれませんが、そもそもゲート入りのシステムが日本と外国では違いますし渋るのも仕方ない面は大いにあります。
今年のジャパンCの勝ち時計「2分23秒0」というのは、東京にしては速くないほうですが、欧州と比べればそれでもかなり速いです。
例えば凱旋門賞(ロンシャン)のレコードは2011年にデイントリームがマークした「2分24秒49」。
路盤のアンジュレーションの多い欧州のコースとは競馬の質そのものが異なりますから、馬場がボコボコしていたとはいっても日本で走ったことが無い馬にとっては、現代のジャパンCで勝ち負けするのは難しいものがあります。
これは凱旋門賞で勝てていない日本馬の逆パターン。
昨年のように、雨で重くなって更に時計が掛かれば話が変わってくるかもしれませんけどね。
欧州遠征から帰ってきて勝てなくなった日本馬はたくさん居ますが、この逆も然り。ジャパンCに参戦して帰国した海外馬の中にもその後のレースで全く勝てなくなってしまった馬はたくさん居ます。
ジャパンCをラストランに選んだ海外馬は過去にも結構居た記憶がありますが、ある意味でこれはベストな形のひとつかもしれません。

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