ポルトガル人とカトリック信徒が礎を築いた天然の要塞都市「長崎」に来てみませんか!?②

ポルトガル人とカトリック信徒が礎を築いた天然の要塞都市「長崎」。その坂の街の様子を続けてご覧頂きたいと思います。

城壁のような急坂から下方を望むと、こんな感じです。

角度が違えば、見える景色も様々です。ここは港を望む坂段。

カトリック修道院と幼稚園を望む坂段。

小学校を望む坂段も。

もちろん他の地方と同じく、子どもたちの姿はこの街の「希望」であり、「未来」そのもの。

しかし、坂の街から1軒、また１軒、と家が減り・・・

坂の街の児童公園からも子どもの姿が消えました。

ダムのすぐそばにあるこの公園の遊具や・・

港を望むこの公園の遊具も心なしか寂しそうです。

かつて汗をいっぱいかいた子どもたちが、小銭を握り締めて押しかけた個人商店。こういったお店はなくてはならないものでした。

それでも、まだまだ「坂の街」は生きて、呼吸をしています。

坂段は観光の為につくったわけではなく

もちろん、暮らしの為に作られたもの。幅30cmほどしかない、この坂段も活発な人の往来があったからこそ、出来たものです。

坂の街で今も活躍する、ゴミ収集のポリ容器。そりのそうな板で坂段を滑りながら登り降りし、量が多いときは左に立てかけてある木枠で支えます。

郵便やさんや配達業者さんも、汗だくになりながら元気に坂段を駆け登っています。

生活があるからこそ、坂の街には小さな「水神様」や「土人様」がおり、

個人の庭にマリア様がおられます。

幼稚園の壁には、時に「Let it be!」と囁いてくれるやさしい微笑みのマリア様がいて・・

屋根の上には、時に「あくせくすんなよ！」と言ってくれる猫たちが寝ております。

原爆にも壊されなかったアンゼラスの鐘が時間をおしえてくれることもあります。

神社やお祭りも坂の中にあります。

もちろん遊びの場も。

坂を歩くと、元気なお店の人の声がかかり

どこまで行っても、どちらへ行っても、賑やかな人の流れがありました。

平地が少ない坂の街では、山の上にお墓があることもしばしば。

お墓に限らず、山の斜面に這うように建つ家々に向かう道に、車は入れません。

車のとても入れない坂段に建築資材、セメントや砂、墓石、ブロックなどを運んだのは・・

多くの名も無き馬たち。

とりわけ活躍したのが、長崎県対馬原産の和種、対州（たいしゅう）馬でした。小柄だけど力が強く、素直で従順なこの馬は最大200kgもの荷を背負い、日に何十往復と坂段を上り下りしました。

対州馬と長崎県はその成り立ちに深い関わりがあり、その関係は切っても切れないものがあります。
かつて昭和40年代ころまで、長崎県北西部に点在した炭鉱では昭和初期まで坑道の中で炭車を引く為に多くの対州馬が使われました。
人間と違って、一度坑道に下げられた馬たちは死ぬまで昇坑することが出来ず、湿度95%、気温40℃という中で炭車を曳かされました。その為、炭鉱で使われた対州馬たちはわずか半年ほどで死んだと言われます。当たり前に生きれば20～30年は生きるところですが。

その功労者である対州馬たちも、坂の街から人が減り、家が建たなくなってからは需要がなくなり、2009年2月を最後にこの街から働く姿が消えました。

下動画にて、長崎の坂段で働く対州馬の姿を見ることができます。

かつては働く馬たちが水を飲んでいたかもしれない石の桶。

今では高齢化が進み、尚馬や人の助けが必要なこの街で、

馬に変わって荷を運ぶのは、小さなエンジンを積んだ機械。しかし、効率は馬に比べてかなり悪そうです・・

やはり人であれ、馬であれ、笑顔で汗をかきかき頑張っている姿こそが、この坂の街の原動力なのです。
私は、この対州馬を再び坂の街長崎に戻す活動を行っています。

まだまだ個人で頑張っている人たちも大勢います。この、「13時まで閉店！」と書いた札を置いて、出かけているお店のおばあちゃんもそのひとり！

馬たちが住んでいた馬屋の横には元気に鯉のぼりがはためいていました。坂の街にも少しずつ希望の種が芽を吹き始めています。

「世界新三大夜景」に選ばれたその夜景もそのひとつ。

それは意図して造られたものではなく、ひたむきに生きる「暮らしの灯」が集まったものです。

生活の灯だけでなく、旅館の厨房や客室、船舶の操舵室、そして工場の片隅で一生懸命働く灯でもあります。

もし機会がありましたら、あなたも「ポルトガル人とカトリック信徒が礎を築いた天然の要塞都市・長崎に来てみませんか・・・・。

（元記事作成：2013年10月）