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ハイジ アルプスの物語(原題:Heidi)

私は、昔流行った「アルプスの少女ハイジ」をそんなに見ていたわけでもないし、ちゃんと本を読んだわけでもない。
だから、この感想は、2015年に公開された、ドイツ・スイス合作の「ハイジ アルプスの物語(原題:heidi)」についてのみである。

NHKーBSで放送があったので、何となく録画しておいて観た作品。
感想を一言で言うならば非常によかった。

ハイジ役のアヌーク・シュテフェンが、とっても愛らしいこともあるのだが、それ以上に魅力的と言えるのが、預けられた先であるゼーゼマン家の「おばあさん」、つまりクララの祖母の「人柄」。

まずこの人、上流階級にありがちな、「差別」というものがない。ハイジに対してもスイスという山奥から来た孤児ではなく、一人の人間として扱う。
そしてそれは誰に対しても同じであり、蔑視や差別発言に対しては、ちゃんといさめる。

また、「真の教育者」でもあった。
ただ繰り返し文字を覚えさせようとした教師に対して、このおばあさんは、ハイジの好きであろうアルプスのヤギ飼いの絵本をベッドで読み聞かせし、途中で「ここまでにしましょう」と言う。
ハイジがなぜ?とたずねると、おばあさんは、「ここからは、あなたが自分で読んでちょうだい!」と言う。
物語の続きが知りたくてたまらなかったハイジは、猛烈に文字を勉強し、身につける。
これこそ、「興味・感得を一番の学習動機とした」実存主義教育学で、私も大学時代から自主ゼミで学んでいた教育学にほかならない。

そして、その「どのような人もリスペクトする姿勢で接し、人の学習を知るおばあさんの導きこそが、クララがまた歩行できるようになるという有名なシーンにつながっていく。

このおばあさんがいなければ、ハイジの物語は、まったく成立しなかっただろう。






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