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私の義父と対州馬ひん太

私の義父は20年近く前に癌でなくなってしましまった。

とにかく無口な人で、最初は怖い印象だった。
彼女(嫁さん)の、北関東の実家に行っても、とても歓迎されている気がしなかった。
義母も、特に私に話しかけてくれるでもなく、滞在中、私は居場所が無い感じだった。

義父は登山が趣味で酒が好き。
義父も私に話しかけてくれるわけでは無かったが、黙ってビール数缶とウィスキーのボトルを目の前に置いてくれたのが有難かった。

数年経った頃。私が一足先に長崎に帰るという時、駅まで義父が車で送ってくれることになった。
運転士しながら義父は私に、義母が癌を患っていて、あまり良くないのだという話をしてくれた。
娘(嫁さん)には、ショックをうけるだろうから話していないのだけど、私には言っておきたいということだった。
それがとてもうれしくて、私と義父の間には、言葉には出さないが、確かな絆というものが出来たように思う。
義母は未だ元気でいるのだが、自分の方が同じ病気で、早く亡くなってしまった。


対州馬ひん太を初めて、トラックに載せて一人で次の放牧地まで移動させる時に、亡き義父が登山で使っていたカラビナを腰に下げていた。
そして、ひん太を柵外に出して曳き練習をする時にも、かならずそのカラビナを腰に付けて、好物のリンゴなどを入れるカゴを繋いでいた。



ウェールズDMM社製の義父が愛用したカラビナは、そのままの状態で馬具と一緒に置いてある。

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