マガジンのカバー画像

炭鉱

55
昭和30年代まで長崎県内に無数にあり、地域の発展を支えた炭鉱のこと
運営しているクリエイター

2022年12月の記事一覧

地底の記録ー呪詛 坑内馬と馬夫と女坑夫 ① 武松 輝男 著

目 次 1埋葬地 墓標のない埋葬地 2坑内馬 馬買い 鼠 石炭運搬 体高減少 3馬夫と女坑夫 坑夫募集 廃疾 賃金と生活 4人柱、馬柱 文柱 贄 栄光と没落 5あとがき 参考・引用文献一覧 墓標のない埋葬地  『坑内で死んだ馬が埋められたのは、あそこの、ほら、緑で覆われている小高い丘があるでしょ、ネ、あそこ一帯ですよ。  あんた、埋められたところを探しに行くとですか。それはやめた方がよか。あの緑で覆われたあたりはですナ、昔はずうっと丘が続いていたとです。それを

映画「にあんちゃん」の中に見る、昭和34年の鯛之鼻炭鉱の風景③

こういうキャプチャーはいかがなものことは思いますが、「にあんちゃん」はVHSも廃盤になっているようですし、DVDとして復刻するかどうかも現時点ではわかりません。 昭和44年に閉山してから、(2011年当時で)早や44年。鯛之鼻で働いていた、或いは暮らしていたという方もだいぶ年齢が上がってきていると思われますので、少しでも見ていただく機会になればと考え、このシリーズをUPしています。今回は鯛之浦のいろいろな風景を紹介したいと思います。 ↓ めずらしいと思われる木製の炭函。

映画「にあんちゃん」の中に見る、昭和34年の鯛之鼻炭鉱の風景②

松浦市福島町原免(はるめん)鯛之浦。・・・現在では民家の1軒もなく、かつて人が暮らしていたということを想像することも難しく、ましてやここに賑わった炭鉱町があった・・・とは到底信じられないような状況になっています。 わずかに残るコンクリートの構造物や、緑に飲み込まれつつある廃屋だけが当時の名残をとどめるものとなってしまっています。 今回は、この場所にあった鉱業所や社宅街の様子などを紹介したいと思います。 「にあんちゃん」では、冒頭お父さんがなくなった葬儀のシーンで炭鉱住宅

映画「にあんちゃん」の中に見る、昭和34年の鯛之鼻炭鉱の風景①

炭鉱町の象徴とも言えるのが、ボタ山ですね。ちなみに北海道の炭鉱ではズリと呼びます。 ロケ地であった鯛之鼻炭鉱のボタ山は、海に面した場所にあるせいか、勾配がゆるやかであるように見えます。 原作の「にあんちゃん」では『あんちゃん(長兄)は、すいせんボタのさおどりをして・・・』とあります。水洗により分けられた粗悪な石炭を、炭函(炭車)に積み込んで運ぶという仕事をしていたわけですね。 手前に見える丸い輪が、炭函をひっくり返して石炭を下に落とす、チップラーというものです。 チップ

映画「にあんちゃん」の中に見る、佐賀県肥前町高串からの鯛之鼻炭鉱の灯

安本 末子さん原作の本「にあんちゃん」を映画化した「にあんちゃん」からのキャプチャーです。 今では無人の野となってしまった長崎県福島・鯛之鼻に存在した鯛之鼻炭鉱の貴重な風景を紹介する意味で、このキャプチャーを掲載しております。 夏祭りに帰ってきた長兄とにあんちゃんが港から沖を望むシーン。 このシーンは現・佐賀県唐津市肥前町田野の高串港で撮影されています。 となると、沖に見える対岸の灯は実際の鯛之鼻炭鉱の灯、ということになります・・ 高串港では、夏祭りのシーンが撮影されてい

映画「空の大怪獣ラドン」の中に見る、日鉄鹿町炭鉱(長崎県北松浦郡鹿町町)

この記事の目的は、①かつて鹿町鉱で生活されていた方やその親族の方に当時の様子を振り返って頂きたい②「ヤマは、ひと家族」と言われた温かなコミュニティーが存在したことを地元の方や子ども達に知ってもらい多少でも振興の一助となって欲しい、の2点に尽きます。 そういう観点で読んで頂ければ有難い限りです。 「空の大怪獣ラドン」は昭和31年12月26日に公開された東宝映画です。したがって、これから紹介する旧北松郡鹿町町・日鉄鹿町炭鉱(加勢地区)の風景は、同年の春から夏ごろにかけて撮影され

蒼い山の高台に、自治の花開いたヤマ ~ 吉井町・宏安炭鉱

佐世保市(旧北松浦郡)吉井町直谷免。松浦市との境にも近い山中にあったのが宏安(こうあん)炭鉱です。 現在の同地です。現在は社会福祉法人あしたば会さんの施設が建っています。正面の白い建物は、吉井潤心学園です。訪問の意図を伝えると、快く敷地内の撮影を許可していただけました。 宏安炭鉱は昭和27年、元九州石炭鉱業連盟次長であり、ワンマン社長と言われた安西 豊により開坑されました。 まだこの頃は坑員さんの労働時間が12時間という時代です。 「宏安炭鉱」の看板のあった場所から目の

「僕の子ども絵日記」 ボツ画4枚

(2011年)12/6、NBC長崎放送さんの情報番組「あっ!ぷる」で「僕の子ども絵日記」を紹介していただいたのですが、プロデューサーさんが大変才能のある方で、スタッフさんもすばらしかったおかげで、とても良いものに仕上がっており、意外なくらい反響をいただきました。 お陰様で、十数年ぶりに教え子数人からも連絡をもらい、うれしい思いをさせてもらいました。 「僕の・・・」には本になる直前にスペースの関係でボツになった絵がありまして、それは「タイムスリップ軍艦島編」に付けられるはずだ