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【ショート怪談ヒトコワ/女】

これは、私の元に届いたDMから紹介させていただきます。


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ファストフードでバイトしてた時の話。

大学卒業して何年かフリーターやってた時だから、今から4.5年前になる。

社員と似たようなシフトだったから朝から晩まで仕事してた。そんなある日に経験したゾッとした話。

社員と2人で閉店作業してる時のことだった。
社員は2階の事務所でパソコンカタカタだったから俺は下で、フロアの軽い掃除と椅子、テーブルを片付けていた。

片付けてると、黄色い財布が床に落ちていた。

忘れ物か。客の予想は大体ついた。
客がちらほらになってきた時、1人で店の中で食べていた女性客だったと思う。

もしかしたら、まだ忘れた事に気づいていないかも。店を閉めてしまうと一晩財布を預かることになる。

仮に女性が気づいて店に取りに来ても閉店で渡せない。そう思った俺は2階に行き、社員に相談した。


俺「お疲れ様です。財布の忘れ物があったんですけど、多分ちょっと前のお客さんだと思うんですよね…どうしますか?」

社員「忘れ物かあ…明かりをつけて待つことはできるけど、今日は早く帰りたいんだよな…」

頭を抱える社員に俺は思い切って聞いた。

俺「財布の中にもし連絡先が分かる物があれば、連絡して届けに行きますよ俺。そのまま上がるんで。」

あまりしていい事か分からないが、今の状況とお客さんの事を考えたら、すぐに渡す事が1番だと思い、そうする事にした。

案の定、免許証や会員カード等が入っていたので携帯番号、住所が分かった。

これで一安心。持ち主に連絡して財布の中身を見た事を詫びて、届けに行こうとした。

書類を財布に戻そうとしたその時、財布の中から2.3枚小さな写真が出てきた。
撮ったらすぐ印刷されるインスタントカメラの写真を想像してもらえれば分かりやすいと思う。

その写真は、持ち主の彼氏?とのツーショットで、入っていた写真全部がそうだった。


水族館や、遊園地でデート中であろう仲睦まじい写真を見つけてしまい俺は1人慌てて財布にしまい届ける準備をした。

持ち主とも連絡がつながり、ここから2.3キロ離れたすぐ近くのところだった。

店を出て原付に乗りその人が住んでいるマンションへと向かった。

向かっている途中だったが、一瞬俺は妙な事を思い出し、そして気づいた。

免許証の顔と、デートの写真の顔が違っていた事を。

見間違いだろと自分に言い聞かせても道中で気になってしょうがなくなった俺は、一旦原付を停めて、もう一回財布の中を見た。

やはり顔は違っていた。

だとしたら、この写真の女は誰なんだろう。

俺は何も考えずにその写真1枚をペラっと裏返して驚愕した。

その写真の裏面いっぱいに


「ヒロタアツコ⚪︎す⚪︎ね」

と赤いペンで書かれていた。

見なければ良かった。
最悪な気分でマンションのエントランスについた俺は、早く女性に財布を渡して一目散にここを出ようと決めた。

エントランスのドアが開き、若い女性が出てきた。免許証に写っていた本人だ。

俺は、遅くにすみませんと頭を下げ、無事渡せて良かったです、と財布を渡してもう一度頭を下げた。

向こうもホッとした表情で、ご迷惑おかけしましたと深々と頭を下げてくれた。

俺はそそくさとその場を離れようとしたが、女性が一言

「写真は見てないですよね?」

と目を見開いて言った。

心臓が止まりかけたが話をはぐらかし原付で猛スピードで帰った。

フリーターやめるいいきっかけになったよ。




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