カビゴンサレンダーへの勝ち方

カビゴンサレンダー(LO)というデッキが巷で話題になっています。
盤面をカビゴンだけで埋め、相手の攻撃できないポケモンをバトル場に縛り付けてサイドを取れなくさせるというデッキです。
このデッキの本来の勝ち筋は相手が山札を引ききってしまうのを待つこと(LO勝ち)なのですが、現行ルールでは制限時間が25分であることや、ナンジャモなどで手札が山札に戻ることによりそれが困難になっています。それゆえ、「相手の投了を待つ」ことが実質的な勝ち筋となり、カビゴンサレンダーと呼ばれています。

こうしたデッキを使う人が何故か急増したことで、Twitterではカビゴンに対する悪口だけでなく、カビゴンを使う人に対する誹謗中傷まで見受けられるようになりました。またカビゴンを使っている側からも、「詰んでいるのに投了しないのは両負け狙いの卑怯な嫌がらせだ」といった反論もあり、昨今のタイムラインが荒れていると思います。

私はエクストラでLOを使い続けたLOが大好きなプレイヤーとして、好きなカードがデッキとも言えないようなデッキによって争いの元となっている状況がとても苦しいです。

なので今回、カビゴンサレンダー側のプレイングやそれに対する環境デッキの対応、及びデッキの問題点についてまとめることにしました。わけがわからないまま詰まされて不快な思いをするプレイヤーや、シティリーグなどでの問題が少しでも減ると嬉しいです。

カビゴンサレンダー側のプレイング

一応カビゴンサレンダーにもプレイングというものはあるので述べておきます。
エクストラや過去レギュなどでLOを使ったことの無い人には変に聞こえるかもしれませんが、私はLOを使う時「自分が詰まない」ことを心がけています。
これは説明すると、「自分がかけているロックを抜けられる可能性を全て潰す」ということです。
カビゴンサレンダーでいうと入れ替え札です。カビゴン視点では、相手が入れ替え4、穴抜け4、キャンセルコロン4、ジェットエネ4を入れてる可能性もあるわけです。それを使われる前に野党三姉妹やカゲツで落とします。
またこちらはサポートを使って妨害を行うのでドロサポが使えません。なのでロトムで手札を増やします。手札が多いと相手がカビゴンロックを抜けてきた時にもう一度ボスを打ち返せる可能性が高いですよね。
こうして自分が負ける可能性を限りなく低くして、ついには0になったときに「相手を詰ませた」と言えるわけです。

ということは、これらの行為が通用しないプレイングをすればカビゴンサレンダーに勝てるということです。具体的には次で述べます。

カビゴンサレンダーに対する基本的なプレイング

続いて、カビゴンサレンダーに対する基本的なプレイングについて述べます。
ここからの文章では「相手」がカビゴンサレンダー側になります。

攻撃できないポケモン、攻撃にエネルギーコストがかかるポケモンを出さない。
前者は水エネルギーの無いデッキのマナフィ、ネオラント、かがやくゲッコウガ、超エネルギーの無いデッキのふしぎなしっぽミュウなどです。
後者は水エネルギーのあるデッキのかがやくゲッコウガや、パオジアンです(※パオジアンについては後述)。
そもそも攻撃できないポケモンがバトル場に呼ばれたり、また攻撃してもサイドを取れずにエネルギーが無くなって攻撃できなくなると、入れ替え札のないデッキは詰みます。また入っていても使わなくていいはずの入れ替えが必要になります。
これらが手札に来た場合はエリカの招待を打たれる前にナンジャモで山の底に戻しましょう。

盤面を広げない。
ポケモンを多く並べてしまうと、エネルギーをそのポケモンが全員攻撃できるように付けなければならないですが、基本的には枚数が足りなくなったり、攻撃できないターンが生まれたりするためです。

上記2点に合わせてですが、やまびこホーンに引っかかるためボールのコストなどでトラッシュにたねポケモンを捨てないようにしましょう。

・手札干渉をする。
相手はロトムによって手札にボスを溜め込んでいるので、打たれる前に山札に戻してしまいましょう。即席充電が止まるため、あわせて雪道を貼るのも効果的です。相手のポケモンを倒すタイミングで雪道+手札干渉をすると、ボスを引かれないままポケモンを倒し続けて簡単に勝てる可能性があります。

・入れ替え札を大切にする。
カビゴンから逃れられる手段です。ロストしたりトラッシュしたりはもちろん厳禁ですし、グッズをサーチできる場合は野党で落とされる前に手札に加えておくのがよいでしょう。キャンセルコロンも同様です。
また、逃げられる際に入れ替えを使うのも悪手の場合が多いです。

・無理にカビゴンをワンパンしない。
カビゴンは攻撃してこないので、焦って倒す必要はないです。例えばバトル場に130点出るセグレイブがいて、ワンパンするために入れ替えやキャンセルコロンを使ってパルキアに引くなど。このために入れ替えを使うのはやめましょう。
例えワンパンできなくとも、相手はボタンを使わなければサイドを取られるので使わなくてはならず、そのターンに他のサポートは使えないのでこちらの盤面に干渉できません(新環境のカウンターキャッチャーを除く)。

次に具体的な対面に付いて述べます。上記の基本的なプレイングを念頭に置いてお読みください。

・黒リザ

・かがやくリザードン、ビーダルを出さない。
・ピジョットを出して飴と入れ替えを手札に持っておく。

ミミッキュにはリザードで対応するので、リザードを進化させてはいけません。

よってリザードンを出すために飴を大切にします。

以上2点はアルセウスも同様ですが、ピジョットが無い場合はスターバースを使って入れ替えやナンジャモを持ってくるようにしましょう。

またリザードの自傷ダメージですが、リザードが倒れると相手はサイドを取ってしまうのでナンジャモで引ける枚数が減ってしまいます。相手は残りのサイドを取る手段がないので、わざとサイドを取らせるのは効果的だったりもします。

・パオジアン

・ビーダル、ゲッコウガ、マナフィ、ミュウを出さない。
・基本的にセグレイブで攻撃する。
・相手のポケモンを倒すタイミングでロストシティを貼る。

カビゴンをロストすると相手にするカビゴンの数が減り、またロトムをロストすると相手の手札が増えなくなります。
・入れ替え札とキャンセルコロンを大切にする。
・パオジアンで攻撃するターンも生まれることや、キャンセルコロン使用時にも逃げエネは必要なため、(スーパー)エネルギー回収も大切にする。

ちなみにカイオーガがいるとベンチのロトムを倒し続けられるうえに、パオジアンとは違いエネルギーが手札に返ってくるのでカビゴン側はかなりしんどいです。

セグレイブがなくパルキアのみの場合は、パルキア単で戦いましょう。ミミッキュには他の非エクがいない場合ビーダルで攻撃してコイントスで表を出してください。

・ルギア(白、一撃)

悠長してるとエネルギーを大量に割られかねないので、急ぎつつもパーツを捨てないようにしましょう。
・バケッチャ、その他かがやくポケモンを出さない。
・エネルギーを付けるのは一体のみ。
基本的にはルギアで、ミミッキュが来たら逃げてアーケオスにつけます。ピーニャでトラッシュされるエネルギーを減らすためです。
・ダブルターボはなるべく使わないで残しておく。
シンオウ神殿を貼られるとそれだけで1個分エネルギーが減ってしまいます。またトラッシュされると2個分のエネルギーが消えるため、なるべく山札に残しておきたいです。
・ジェットエネは手張りして入れ替えるのに使うためプライマルターボで付けない。
カビゴンがシンオウ神殿を入れている理由の8割はジェットエネです。そのためシンオウ神殿を剥がすためのスタジアムも大切にしましょう。
スタジアムやジェットエネなど大切にしたいカードが多いため、無理に博士を打つよりはバーネットや風読みでアーケオスを落とす。
手札の博士を打つ場合はポケモンがトラッシュに落ちていいか、スタジアムやジェットエネを捨てても入れ替え枚数が足りてサイドを取り切れるか、を考えましょう。

一撃ルギアの場合はイシヘンジンで攻撃してカビゴンとロトムの弱点を付きましょう。バンギラスで相手の山を削るのもかなり強いです。またエネルギーを回復する活力の壺を大切にしましょう。

白ルギアの場合、ドラピオンで攻撃するパターンもあります。自分のポケモンに自傷ダメージを乗せられるので、出てしまった自分のネオラントやその他攻撃できないポケモンを倒します。黒リザでのリザードと同様に、相手はサイドを取ることになり、ナンジャモで引ける枚数が減って困ります。

・ロストギラティナ

・ギラティナしか出さず、進化もさせない。
進化するとエネをロストしてしまうため、攻撃のエネが足りなくなってしまいます。最後にサイドを取り切れる時に進化させてスターレクイエムで勝ちましょう。
・アビスシークとアクロマで入れ替えを手札に溜め込んでおく。
ゲッコウガもマナフィもキュワワーもウッウもヤミラミも見えたら全部ロストしましょう。抱えてもエリカで引きずり出されるだけです。

・サーナイト

・マナフィ、かがやくゲッコウガを出さない。
・裏ワザ

説明を全部太文字にすると見にくいので裏ワザと表記しましたが、大したことではないです。

①メモリースキップラルトスをミラージュステップキルリアに進化させ、ミラージュステップでキルリア2体を出す。
②残り3面をテレポートブレイクのラルトスで埋める。これらは進化させない。

③キルリアを全てサーナイトに進化させる。

→サーナイト3体とワザで入れ替わるラルトスだけになってカビゴンで縛る対象がおらず、さらに盤面が埋まっているのでエリカもやまびこホーンも効きません。
一方で超エネが11枚しかないと、3体目のサーナイトがリバーサルエネを貼らないと攻撃できず、これをピーニャで破壊されます。なのでまずはサーナイト一体にのみエネルギーを付け、他のポケモンが呼ばれたらそのポケモンにエネルギーを貼る、ワザを打つを繰り返します。

・ミュウ(フュージョン、雪道)

悠長してるとエネルギーを大量に割られかねないので、急ぎつつもパーツを捨てないようにしましょう。
・オドリドリ、コオリッポを出さない。
メロエッタも出さない方が無難です。メロディアスエコーで打点を出すには2体以上のポケモンにフュージョンエネが付いていることが必要になりますが、そうするとピーニャで複数枚のエネルギーを破壊されてしまいます。
・雪道ジャッジでピーニャやボスを引かせないようにする。
・ロトムをロストシティでロスト、さらにジャッジで相手がピーニャやボスを引けないようにする。
・基本的にダイミラクルで攻撃する。

ロトムを倒す時にテクノバスターを打ちましょう。お守り付きも倒せるように、ベルトタブレットやスイーパーを持っておくようにしましょう。

ゲノセクトは何体いても縛られるのは一体なので、パーツを揃えるために出しましょう。むしろミュウ単で戦ってエネルギーを引けない方がまずいです。

またゲノセクトにフュージョンエネを貼ると、とおせんぼの効果を受けず逃げられるようになります。カミツレとダブルターボ手張りで逃げられるようにはなりますが、ミュウで攻撃するエネルギーが減ることには注意しましょう。

・ミライドン

・タンデムユニットで盤面を広げない。
ミミッキュが出てきたら初めてゼラオラを出して、ジェネレーターでエネを付けて攻撃しましょう。
・メリープを出さない。
モココはベンチにしかエネを加速しないため、バトル場の攻撃できないポケモンが攻撃するための解決手段になりません。さらには2エネ必要なのにカビゴンを3回攻撃しないと倒せないため、縛られるとボタンで耐えられる間に充電でボスを手札に持たれてしまいます。
・ペパーで入れ替えを持っておく。
・ジャッジを適宜打つ。

・アルセ〇〇系統

・ビーダルを出さない。
・攻撃するターンにダブルターボを貼ってトリニティノヴァを打つ。

前のターンにダブルターボを貼っておくとピーニャで破壊されます。カゲツが裏目ですが、後攻1ターン目にカゲツを打つのは他にサポがない時なので割り切っていいです。また2ターン目にスターバースで持ってきても、トリニティノヴァが打てるので構いません。
トリニティノヴァの後にピーニャを打たれてもアルセウスが攻撃できるよう、アルセウスに基本エネが3つになるように貼っておきましょう。そして次のターンのトリニティノヴァでアロコンやギラティナのようなミミッキュ貫通Vポケモンを育てます。
2回目のトリニティノヴァの前に育ってないVポケモンをボスかエリカで呼ばれたら、スターバースで入れ替え+雪道ジャッジしましょう。

アロコンやギラティナのようなミミッキュを貫通できるワザを持つVポケモンがいないデッキは、ミミッキュにはビーダルで攻撃、コイントスで表を出すしかありません。

・ミミッキュやロトムから逃げるためのエネルギーとしてダブルターボは大事にする。
他のデッキについても同じですが、カビゴン以外がバトル場にいる時に入れ替えを使ってはいけません。カビゴンに使える入れ替えは最大限残しましょう。

・連撃インテウーラ

・インテレオンしか出さない
ウーラオスは攻撃に連撃エネが必要になりますが、特殊エネはピーニャで割られてしまいます。

しかしウーラオスは弱点をついてお守りの付いたカビゴンもロトムも倒せるので、出すのもいいと思います。水エネルギーを予め貼っておき、入れ替えを引けたら連撃エネを貼ってナンジャモを打ち、ひゃくれつラッシュです。
しっぷうづきは連発しても威力が出ず、キョダイレンゲキは自らエネルギーをトラッシュするので進化は控えましょう。

・連撃エネルギーを付けない
キョダイウズマキはエネルギーを手札に戻せるのでピーニャを避けれますが、今度はカゲツで落とされます。インテレオンは水エネだけで攻撃するのが無難です。

しかしそもそもですが、インテレオンはカビゴンをワンパンすることができず、オクタンはミミッキュをワンパンできないので慣れていないと不利な対面だと思います。簡単に勝ちたいなら次に説明するメタカードを入れるのが無難です。

・一般的なデッキに入りうるカビゴンメタ

ここではカビゴンメタカードについて述べます。

☆ミカルゲ

置くだけで相手は即席充電できません。バトル場に呼んでもワザで戻るので縛れません。入ってるデッキは先1で置ければ勝ちです。

☆メテノ

自身が入れ替える特性を持つうえに、1エネの技でカビゴンを弱点でワンパンできます。
これを出されるとカビゴンは別のポケモンをバトル場に呼ばなければなりませんが、エネルギーを貼るだけでまたメテノが出てきます。
このカードとエネルギーが6枚あれば理論上勝てます。

☆ホシガリス

置くだけで山札が無限になり、負けません。
負けないということがどういうことかは、この後で話します。

☆崩れたスタジアム
自分のベンチにいる攻撃できないポケモンをトラッシュできます。ですがそのためには自分のベンチを5体埋めなければならないので、攻撃するエネルギーが初めからデッキに無いなど、本当に攻撃することができないポケモンに使いましょう。
またこちらの崩スタに対し相手はスタジアムを貼り替えたあと、やまびこホーンで再び場に戻してきます。そのためトラッシュしたらすぐに釣竿で山札に戻しましょう。

またボタンについてですが、特定のデッキ以外では著しくデッキパワーを落とすためカビゴンが憎くて仕方がない人以外は採用しないでいいと思います。ボタンを使ったターンはナンジャモもジャッジも打てないので、返しのエリカで無に帰す可能性もあります。

ボタン以上に入るデッキを選びますが、やまびこホーンもカビゴンメタです。
仮に毎ターン相手にボスを打たれたとして、その回数と同じか多くの入れ替えを使わないとサイドを取りきって勝てません。しかしやまびこホーンでロトムを2回倒すことで攻撃する回数は4回で足りるようになり、必然的に必要な入れ替えの枚数が減ります。

以上がカビゴンサレンダー対面のプレイング及びメタカードです。
盤面を広げず、入れ替えを大切にして、手札干渉をする。この3点を意識するだけでかなりカビゴン側は苦しくなると思います。

最後にカビゴンサレンダーというデッキの根本的な問題点について述べます。

両負け

初めに述べた通り、カビゴンサレンダーとは投了を待つデッキです。相手の山札を削るカードのあるエクストラとは違い、能動的に勝つことができません(ケケンカニVなどが入っているものを除く)。そのためカビゴンサレンダーを相手にした場合、投了せず遅延でもしてやればカビゴン側は勝てません。また先述のホシガリスを置けばカビゴンサレンダーに負けることはなくなりますが、一方でカビゴンサレンダーも負けではありません。
またこうしてお互いサイドを取りきらないまま25分が過ぎると、現行のルールにおいて公式大会では基本的にサイド差では決着がつかないので両者敗北、いわゆる「両負け」になります。お互いに負けということはお互いに勝ち点がつかないということなので、両者ともに得がありません。

この両負けという状況を容易に作り出し、さらには勝敗を相手に委ねる点で、カビゴンサレンダーはデッキとして不完全だと言えます。大会に持っていくのは自由ですが、相手が投了せず両負けになっても自己責任としか言えません。

それは相手が卑怯かもしれないし、詰まされて面白くなくなった仕返しの嫌がらせかもしれませんが、ルール上受け入れるしかないことだと思います。

最後に

私がカビゴン対策のプレイングを書くことで、カビゴンが今後増えても、カビゴンに勝てる人や、勝てなくてもなぜ詰んだのかが分かる人が、少しは増えるかもしれない…そういう思いでこの記事を書きました。
一方でカビゴンサレンダーを使うという選択肢が少しでも減って欲しいとも思います。

私はエクストラのLOが好きなのでカビゴンが好きなのですが、カビゴンサレンダーというデッキのせいで、このカビゴンが元凶かのようにプレイヤー間で争いが増えているのがすごく辛いです。
LOという戦法が嫌われるのは承知なのでそれで叩かれるのはわかりますが、サレンダー待ちデッキのせいとなればそれはカビゴンのせいではなく、そんなデッキの性質のせいです。

少しでもプレイヤー間で問題が生じないことが、私も含めたポケモンカードを楽しんでいる人全員にとって何よりなことだと思っています。

この記事は以上となります。お読みいただきありがとうございました。

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