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「鳩小屋」の世話をしていて「はっ」とした思い

今回は、単純に「読み物」としてお楽しみ頂けたら嬉しく思います。

「鳩小屋」の世話をしていて「はっ」とした思い

今僕は次なる目標の達成のために、出来るだけお金を使わないでやりたい事に集中できる環境に身をおいています。

目標達成のために自由に使える時間の確保の為には、働く時間が少ない方が良く、その過程で「生きていくうえでどうしてもかかるコストの削減」は大きな助けになります。

僕の場合「家賃・食費・ネット代・公共料金(水・電気)」の代わりに「鳩小屋の世話をする事」を条件に新築の4階建ての屋上の部屋(エアコン付き)に身を置かせていただいております。

そこでの生活は、生活費0円で、建築途中で家主さん御家族もまだ住まわれていないうえに、御近所さんの家が周りに無いので、気兼ねなく楽器も吹き放題で「目標の為に100%集中できる」屋上だけに、まさに

「天国に一番近い部屋」ですね。

紹介して頂いた友達と家主さまには、本当に感謝感謝でございます。

ちなみに、その前の1地年間も、サファリホテルというカイロにある有名なゲストハウスのオーナーの計らいで1年間無料(僕適には次の目標が達成するまで滞納)で滞在させていただいていました。サファリホテルのオーナー様にも、本当に感謝感謝でございます。

ということで、現在「プロ居候暦17ヶ月目」です。

さて、その「鳩の世話」をしていて思ったのですが、前にも少し書きましたが「鳩」ってびっくりする位「ある意味」けっこう頭が良いんですよね。あんなに小さな頭なのに。卵からの子育ての様子をみていても、すごい頑張り屋で感心させられっぱなしです、夫婦仲もいいですしね。

あと、鳩同士では意外と「好戦的」なのにも驚きました。常に「攻撃(喧嘩)」ばっかりしています(主に場所への執着と餌の取り合いから)

その怒っている時(威嚇中?)は、喉の辺り(首から胴体にかけて)を2倍くらいに膨らませて、まるで子供がほっぺたを膨らませて腰に手を当てて「ぷんぷん!!」しているような感じに見えるうえに、それが妙に鳩胸度を更にアップさせて見えて「怒ってるぞ僕は!!」的な感を出しまくって、さらにお相撲さんのすり足にも似た動きをして相手に向かって行き、首の後ろをくちばしで噛んだり、時には毛をくちばしでそのままむしったり、羽を使って「あっていけ的な羽パンチ」も繰り出して攻撃するんですよ。

で、面白いことに「喧嘩」もよく観察すると「喧嘩」おは言いがたく、「互いに攻撃しあう」ということはなく、いうなれば「やり返さない」といった方がいいでしょうか。必ず攻撃が一方的で「怒ってる方」と「そそくさと逃げる方」という役割に徹底していて、それは誰かがいつも「同じ役」というより立ち位置は常に入れ替わっています。

「不機嫌な方にはかかわらない」といった感じでしょうか。

あと、リラックスしている時のだらしなさはも一見の価値がありですね。もちみたいにペッタンコになったり「とうちゃんのごろごろ昼寝」みたいな格好で片肘(方羽)付いてだらりと横に座るんですよね、この「ダラダラ感」の格好もかなり面白いですね。

あと、一度だけですが「居眠り」で「舟を漕ぐ鳩」というのも見ました。全く人間の居眠りのときと同じ動きで、笑っちゃいましたよ!!この眠っている所を見れるのは、かなり珍しいんですよねぇ、まあ日中の話ですが鳩は用心深いからでしょうが基本「ガチで眠っている所」は全くみせませんねぇ

それから、まだ飛べない子供の「羽ばたき訓練」も見ものですね。巣のふちに内向きに立って落ちそうなのを羽ばたいてこらえるというやり方で、「ある意味背水の陣」のような訓練で、同時に足での掴みの「握力訓練」でもあるんですよね、どっちも強くないと、巣から落ちちゃいますから

あと、人が両手を挙げて「あくびしながら伸び」をするように、「う~ん」という感じで両方一緒や片方づつ羽をゆっくり伸びさせたりするんですが、「は~」自然美とでもいいましょうか、特に真っ白い鳩なんかは、白い扇がゆっくり開いてゆくように羽根がゆっくりと広く伸びて、実に優美なんですよね。

とにかく美しくて格好がいいんですよ全体的なフォルムが。無駄の無い研ぎ澄まされた「飛行体のデザイン」とは自然の鳥類のこれなのだなぁ~としみじみと思う毎日の中、そんな「鳩」を見ていて、

ふと人間の「発想と努力」の凄さを思い感動したのです。

「垂直尾翼考えた人って、すごいな」って

どの鳥にも無いんですよ「垂直尾翼」っちゅうもんが。

なのに、人間はつけたんですよ「垂直尾翼」っちゅうもんを

思うにきっと、飛行機がまだ無いずっとはるか昔は、空を飛びたかった人達は「鳥」を真似て試行錯誤していたと思うんです、腕に羽を模した物をつけて高い所から「飛べる!!」と信じて「その羽のような物を作った張本人」が見ている前で飛び降りたりしていたんでしょう。うんうん

そんな中、飛べてる鳥には無い「最後尾に縦に垂直に伸びたもんがいるんだ!!」と気がついた人は、本当に凄い!!

もしかしたら、偶然の産物かもしれませんね、例えば・・・

いつもは寝つきがいいはずの整備士の軽井だったが、今日はなかなか眠れない。明日は早くから試作の飛行体のテスト飛行で、特に早く眠らないといけないのだが、理由はなんとなく分かっている。明日はいつもと違って、初めて自分のアイデアを取り入れてもらって作れた飛行体の「初めてのテスト飛行の日」だからだろう。

なにせ「まれに見る天才」と呼ばれた軽井の頭脳を買われての「共同制作」であったはずなのだが、蓋を開けてみると「共同制作」とは名ばかりで、「天才の軽井もからんでいる」というブランドが欲しかっただけで、今までは「共同制作」の申し出人であり、この実験のスポンサーでもある歳の離れた金持ちの軽井(兄)のアイデアしか取り入れられて来なかったからだ。

それでも我慢して働けていたのは学費を援助してくれていた兄への恩返しと、大金がかかる飛行体の開発は、頭脳は良かったけれど商売やお金集めにはとことん才が無かった軽井(弟)一人では無理な研究で、子供の頃からの「空」への憧れの「飛行体」に、自分主体でなくとも開発に携われるという思いが、働く意欲になっていた。

そして、兄の持論の「鳥が飛べるんだ、鳥のように作ればいいはずだ」というコンセプトを軸に鳥に似た飛行体を作ってはみたものの羽ばたく為の動力が人力では、ぜんぜん飛ばず、開発当初「すぐに飛べるだろう」と高をくくって「直ぐに飛ぶところ見せますよ」と周りの人達に豪語していたけれど、なかなか思うようにいかず、鳥型の飛行体の開発は思うように進んでいかなかった。

そうして思いついて出来上がった飛行体は、飛べた事は飛べたのだが、気球の「籠」部分に大きな羽をつけて籠の中の人達がその羽を上下に稼動させるという陳腐な代物で、これは、飛んだことは飛んだが羽の動力で飛んでいないので、一気に世間の失望を浴びたのだった。

この新作発表に新聞や雑誌の記者を大々的に招待にしてしまった事が裏目に出て、さんざん記事でこき下ろされてしまい、世間の注目が一気に離れて行った頃には、既に軽井(兄)が思っていた当初の計画と予定とは裏腹に、開発に時間とお金は湯水のように消えていってしまっていて、自分の生活が困るようにまでなってしまっていた。

だがプライドの高い軽井(兄)は「距離なんか少しでも良い、とにかく鳥のように自力で飛ぶ飛行体を作っておしまいにしたい」という思いから身を引けず、開発を続ける為にそれでも信じてくれる方々に頼み込み、いくつかスポンサーを得て開発は続けられていた。

その後、世の中では「蒸気機関」という物が開発され、スポンサーの一人が蒸気機関の開発者だった事もあり、人力ではなく石炭を用いた蒸気機関エンジンというのを動力に取り入れるという所までは事はすんなり進んだ、

そして、一旦ヘリコプターのような飛行体が出来上がったのだが、前の形のまま動力の「熱気球」が「プロペラ」へとに変わっただけという形になり、更にここで前回の失敗が尾を引いてきてしまったのだ

「前の気球鳥と同じだ」

と噂されたうえに、まだこの時期のプロペラエンジンでは、ヘリコプターのような使い方では燃料がかさみ、一瞬で飛べなくなったうえに、軽井(兄)には「やはり羽を付けて鳥のように飛びたい」という思いがあったので、飛行体の形からやり直すことした、

コンセプトどおりの鳥のような形に戻したあと、飛ぶのは空だが、飛ぶといっても進むのは前だから、プロペラが起こす風の方向を後ろに向けるために前に向けてつけるという所まで進んだ、垂直に浮かせるはるかに横方向への動力は効率が良かったのだが

地面でまっすぐ走ってはくれるものの、一向に飛んでくれなかったのだ。

羽の大きな「ダチョウ」の完成である。

そこで煮を切らした外部の大口のスポンサーの意向により「天才軽井(弟)」の出番がやってきたというのが今回のいきさつである。

そして、今回取り入れられた軽井のアイデアとは、従来までの試作機のように、兄の持論の「鳥が飛べるんだ、鳥のように作ればいいはずだ」というコンセプトを軸に作っていた、横に伸びた棒に鳥のように何枚もの小さな羽的な板を重ねて付けた「羽に似せた的」なものではなくて、小さな鳥と、人が乗れる飛行体にかかる「重力」の違いを考慮して、それを軽井(弟)は一枚でかなりの大風や荒波でも破れもせずぐんぐんと巨大で重たい船を動かす「帆布」を使っての1枚の横に平べったく伸びた羽を使用するというものだった。その布には丁寧に羽の絵が書かれてあり、兄への心配りも忘れてはいなかった。

では、初実験の前の話に戻りましょうか、

軽井(弟)はやはり眠れないので、仕方が無くもう一度飛行体のチェックをしに倉庫へ向かった。何度も整備して確認したはずの飛行体が不安だからではなく、もう一度だけ見れば安心して眠れると思ったからだ。だが、その期待とは裏腹に飛行体を見てびっくりして更に目が覚めてしまった!!

「ちょっとちょっと!!誰ですか!!こんな所に変なの勝手につけてちゃったのっ!!」

試作飛行体「TOBU-ZOU」に、左右に伸びる自慢の羽以外に、いつの間にか上下に「帆船の帆」みたいなのと「サメのひれを逆にしたような物」がついているではないかっ!!

すると、倉庫の奥から小さくゆっくり呟くような男の声が聞こえた、

「俺だよ付けたのは、わりぃか、」

聞き覚えのある声は、倉庫の片隅の暖炉の方からだった、つづけて男はこう言った

「おれはね、空をね、鳥のように飛びたいんじゃないんだよ、大海原をヨットで旅するように飛びたいわけ、うん」

などと、焚き火の炎を眺めながら一人思いにふける「やから」が居るではないか

その「やから」は、明日この試作機に乗って飛ぶ予定の、雇われパイロットの近藤だ

彼は元々は船の整備士で、その技術が買われて働いていた軽井(弟)の同僚の整備士だが、腕はいいのだが少し器用貧乏な所があり、色々なことが直ぐにある程度出来てしまい、ゆえに直ぐに興味を失って勝手に仕事を切り上げ家に帰ったりなど「怠けてしまう」というのが少し難点の男だったので、一度「整備士」としては解雇された男だった。

近藤はこの工場で、今まで自分よりも先に「こんどは飛べる!!お前なら飛べる!!」などと言われて大金見せられて二つの意味で「乗せられて」飛んで、二つの意味で「とんでもない」怪我に見舞われてその大金を病院につぎ込んでいった人達を幾人も見てきていたから、まさか、自分が乗ろうとは。

飛行体の実験に関しては「大金ではなく大怪我をもらうぞ」という噂も広かってしまい、もはや新聞の広告だけでは誰も少々の札束では簡単に飛んでくれなくなった上に、更に金銭的にも時間的にも追い詰められてきて、切羽が詰まってきた軽井(兄)は、解雇されて今はお金に困っているという噂を耳にした近藤に、最後の賭けと直接声をかけたのだ、

「近藤は飛べる!!お前なら飛べる!!痩せてるから飛べる!!軽いから飛べる!!」

などと強く説得させられ、結局従来の倍のお金が支払われるという「目先のお金」に目がくらんで、明日のテスト飛行パイロットになったのだった。

近藤は暖炉の火に向かって誰かと話しているような夢見るような口調で呟いた。

「それは、おれの自慢のヨットの「帆」と「ヒレ」さぁ、明日はおれの好きなように飛ばせてくれよ、わかるよなぁ」

軽井(弟)は薄暗い中良く見ると、近藤は確か酒が飲めない男のはずなのに、ウイスキーをストレートで飲んでいるようだった。うす暗く分かりづらいが、小さなグラスを持つ手が、少し震えているようにも見えた

軽井(弟)は迷ったが、気持ちはわからんでもない。軽井的には横に伸びる自分の羽をいじられたわけではないのもあったからか、軽井の気持ちから提案した

「あ~、分かりましたよ!分かりました!!怒られてもしりませんよ!!でも、あ~、この下の「ヒレ」みたいなのは、これじゃ車輪より突き出ちゃってますんで、ひっかかって走れないですから、「帆」を短くして「ヒレ」と一緒に両方上に向けてだったら付けてても良いですよ、それでいいですか?」

と飛行体のそばから叫んでみたが、近藤は更に会話しているんだか自分に言い聞かせているんだか分からないような口調で

「上にねえ~、どうせ飛ぶの上にですからねぇ~、いんじゃないかねぇ~」

などとつぶやいていた。

軽井(弟)は「良いって事ですよね?はぁ~、しかたねぇな、付け替えるかぁ、俺知らね。」

とぶつぶつ呟きながら、その後輪よりでかく「つっかえ棒」のようになってしまっているヨットのヒレを上向きの「帆」にくっ付け替え始めたのだった。

修理が完成して、ふと窓の外を見ると夜はすっかり明けていて、その薄明るい大空の中に、真っ白い一匹の鳩が優雅に飛んでいるところが見えて「今度は、飛べるな」と確信のような物がこみ上げてきた。

軽井(弟)がふと暖炉の方を見ると、近藤はもう居なかった。自分が作業中に「眠りに付いたかな」などと思って暖炉のそばにある水場に近づくと、近藤が座っていた丸太で出来た小さなテーブル兼椅子の上に、ウイスキーとコップが置かれていて、その下に何かが書かれているように見える紙が挟んであるのを見つけた。

軽井(弟)はその紙を何気なく取って目を通すと

「明日は気がのらねぇ。また来る」とだけ書いてあった

「また近藤さんサボったなぁ!!」

その日の朝の事を、軽井(弟)は「今でも鮮明に覚えている」と晩年語っていたそうな。

「伝記:軽井兄弟と近藤又三幌郎 記」より抜粋 (BGM:河島英五「時代遅れ」)


というような話が想像出来るくらいです。


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