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この音楽を作曲したのは、ビョークかAIか?

アーティストのビョークがマイクロソフトのAIを使って「作曲」した音楽は、その時の気圧や光、雨などの天候や、雲、鳥、飛行機などの動きに反応して変化するとのことです。

現在、NYのホテルのロビーで実験的に流されているようです。
しかしこうなると、この音楽を「作曲」したのは、果たしてビョークなのか天候なのか? そんな問いも生まれてきます。

実際、最近のディープラーニングの進化によって、AIが作曲する場面も増えてきています。

音楽におけるAI活用の中でももっともセンセーショナルなのは、“AI作曲家”だろう。具体的にはSONYが開発したAI「Flow Machines」や、AIVAの作曲AI「AIVA」、ベンチャー企業AMPERの「Amper Music」などだ。同様のAIやプロジェクトは規模の大小問わず少なくない。Googleが主導するMagentaのように、プロアマ問わず技術者が深層学習を音楽制作や演奏に取り入れるためのライブラリも公開されている。中でも先ほど挙げた3つは実際に商用利用された例が確認できる。

ただ、現段階においては、最後のフィニッシュまでAIで完結している例は少ないようです。

というのも、これらはいずれも “AIだけで1つの作品を仕上げた”例ではないからだ。基本的なメロディや伴奏のパターンを提案するほかは、人間の手で微妙な修正、またアレンジやレコーディングといった工程を必要としている。場合によってそれはAIの提案に応じて人間が修正を指示する対話型であったり、あるいは設定に応じた出力から「よい」と感じられるものが得られるまでトライ&エラーを繰り返すようなタイプであったりさまざまだ。

確かに、AIは数限りないパターンの曲を作曲することはできますが、どの曲を選ぶのか、どの曲を捨てるのか、そういった判断は人間に残されているのでしょう。もちろん、過去のヒット曲の傾向から、「売れそうな曲」を予想することはできても、人の心を打つ曲はまた別物ということでしょうか。

こういった「生成」のAIと「評価」のAIは違った能力が必要なのですが、今後は特にこの「評価」の部分に人間のクリエイティビティが必要となる場面が多そうです。

この辺り、以前まとめた文章の一部を再掲させていただきます。

■AI×人間のクリエイティビティ
ここで、まずAIには何ができるのかを考えてみたいと思います。
AIは何が得意なのか?それは、「学習」と「評価」です。
ビッグデータ時代においては、ひとつのデータを分析するだけでは新たな知見を得ることは難しく、複数の非構造化データを組み合わせて分析することで、知見を得ようというのがトレンドになってきていますが、この作業を人的に行おうとするととても大変です。
複数の膨大なデータの中から、一見無関係にみえるさまざまな断片的な事象を仕分けて組み合わせる、これこそがAIの真骨頂であり本質です。
ビッグデータ(十分な訓練データ)に基づくパターン認識は、まず「大量に蓄積されてきたビッグデータ」を「AIに学習させる」ことにより「因果推論」を行います。
AIの学習モデルをさらに細分化すると、「学習対象のモデルを定義する」「目的関数を定義する」「目的関数を最適化する」ことでモデルを学習するのですが、この中でも特にどういった「評価関数」を持つかが重要になってきます。

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この「評価」の部分に、人間の持つクリエイティビティが活かせると考えられます。
AIは決して万能という訳ではなく、単なるAIの活用だけであれば、そこで得られる「正解」と他のAIを活用した「正解」との差別化が難しくなります。
その差別化のためには、AIの「論理的・理性的な情報処理」にクリエイターの「直感や感性を活かしたディレクション」を掛け合わせることがひとつの突破口になるのではないでしょうか。
ビッグデータ解析で未知の因果関係を発見するのはAIの領域として、その先のデータから導き出されたアウトプットを評価し新たな付加価値を生み出すことこそが、人間のクリエイティビティが活かせる領域であると思います。

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「意外性のある正解」これが人間のクリエイティビティのキーポイントなのではないでしょうか。

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