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デジタルが人を自然に近づけていく

台湾の天才プログラマーであり、行政院大臣でもある唐鳳氏のインタビューの中に印象的な言葉がありました。

ITの目標は、人間の自然な生活に近づいていくことです。逆にいえば、人間社会がデジタル技術に合わせる必要はありません。例えば高齢者の方がキーボードで入力できないというなら、タッチペンで書けるようにすればいい。VR(仮想現実)でいろんなことが体験できるようにすれば、学習曲線といったものはなくなります。

ITは若者と高齢者のデバイドを加速する、というステレオタイプな考え方ではなく、デジタル時代の新しい共生のあり方を示唆しているのと感じます。

世界や世代が分断されていく現代において、テクノロジーこそが人間を結びつけ、つなぎあうことができるというその信念は、彼のバックグラウンドにも関係しているのでしょうか。

(台北 24日 中央社)唐鳳・行政院政務委員(無任所大臣に相当)が23日、米誌フォーリン・ポリシーの2019年のグローバル思想家100人に選出された。情報技術(IT)専門家で、内閣ではデジタル政策を担当。性転換手術により男性から女性になった経歴を持つ。同誌は唐氏について「世界で唯一のトランスジェンダー閣僚」と紹介した。

落合陽一さんは「人・モノ・自然・計算機・データが接続され脱構築された新しい自然」である「デジタルネイチャー」という概念を提唱しています。

「コンピュータと非コンピュータリソースが親和することで再構築される新たな自然環境」と言われると、先進的で少し排他的な印象もありますが、唐鳳氏の主張するような「テクノロジーが自然でインクルーシブな社会をつくる」という解釈をすると、とても身近で優しいイメージを持つことができるようです。

人と自然とテクノロジーの関係は、改めて考えてみる必要がありそうですね。

ちなみに、この唐鳳氏は最近のコロナウイルスの影響でマスクが品不足になっている状況を改善するために、ボランティアエンジニアたちと協力して「マスク在庫マップ」をリリースしたことも報じられていました。

お隣の台湾でもマスク不足が深刻化し、入手困難な状態になりつつあるのだが、タン氏や台湾の衛生福利部の公務員たちは、台湾のエンジニアたちが自由に開発できるように、台湾中の各薬局のマスク在庫状況のデータを公開。これを、数日というほんのわずかな時間で成し遂げ、実際に公開されたのが、台湾のエンジニアたちがボランティアで作成した「マスク在庫マップ」だ。

実際のマップはこちら

こういった社会の不安に対する迅速な対応なども、彼女が「神プログラマー」と呼ばれる所以なのでしょう。

今後も彼女の動向には注目です。

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