玉の間攻略編 ⑬:オーラスの立ち回り(その2)
さて、今回はオーラスの立ち回りを考える記事の第2弾です。前回の記事では、オーラスで必要な準備意識として以下2つを挙げました。
①点棒状況の確認(着順が変わる条件の把握)
②目標設定(最高の結果~最低限の結果まで、複数パターン)
今回は、Twitterのフォロワー様よりいただいた牌譜を元に、オーラスの立ち回りについて考えていきたいと思います。
【実戦牌姿から考える(序盤~中盤)】
トップで迎えたオーラスの親番、ドラ表に1枚見えていますが役牌の中が対子です。やや愚形多目ですが、中のみ1500点でも和了れればトップなので、副露後に残る形が良ければ鳴いていきたいですね。
2巡目に対面から切られた中をポンし、自ら和了りに向かいます。4巡目の4mツモで打1s。東は生牌ですので、重なり期待半分・安パイ感覚半分で残した様子。なるほど。
6巡目、ここから打8sとしましたが、現状の雀頭無し4ブロックを壊してしまっています。6m7mおよび3s4sが縦に重なった場合も考えてカン7sターツは残しつつ、ここは4mまたは4p切りが良いと思います。
10巡目、上家が切った5sをチーして3p切りとしました。8pを雀頭と想定し、2-5pと5-8pの2度受けターツを外す選択は間違っていないのですが、以下の理由から6p→7p落としが良いかもしれませんね。
・2-5pは残り7枚に対し、5-8pは残り5枚(亜リャンメンなので)
・既に仕掛けている2者に対し、3p4pは危険
・対面はまだシャンテンぐらい?今6p通せれば、7pは2人に安全そう
【実戦牌姿から考える(終盤)】
11巡目、ラス目で後がない下家からリーチが来ました。満貫ツモで逆転3着終了ですので、条件は作ってきているはず。そして同巡、上家が現物の赤5mを手出ししました。リーチに対する現物もなく、チーすれば和了りトップの5-8pテンパイ、ということでこの赤5mをチー。4pを切って勝負に出ます。
そして決着の時。14巡目はツモ6p。ツモ切りで5-8p待ち続行、もしくは7p切りで6p8pシャンポンへ待ち変えの選択です。
5-8p待ち → 残り5枚/切る6pは無筋
6p8p待ち → 残り2枚/切る7pは現物4pの筋
枚数を取るか、瞬間の安全度を取るか。自身の和了りを見て枚数を取った結果、6pで下家リーチに放銃。リーチタンヤオ三色赤赤、痛恨の12000点放銃でトップ陥落、悪夢の西入となってしまいました。。。
以上、いかがでしたでしょうか。トップ目からの手痛い放銃。こんな展開にならないよう、オーラスは常に慎重な打牌を心がけたいものですね。それでは次回のnoteをお楽しみに!!!
・・・なーんて思ったそこの貴方、はい残念。間違っていますよ。
【おまけ?:その1】
さて、実はここからが本編です。冒頭に戻って、オーラスで必要な準備意識について整理してみましょう。
①点棒状況の確認(着順が変わる条件の把握)
自身は36600点持ちで和了りトップの親番です。そして他家に逆転される条件は、以下の通りです。
上家(25000点) → 2000-3900ツモ
対面(24100点) → リー棒1本出た状態で満貫ツモ
下家(14300点) → (跳満ツモでもトップ終了可能)
和了られたくないのは上家、そして対面と下家に関しては放銃さえしなければほぼほぼ和了られても問題ないことが確認できますね。この条件を元に、目標設定を行います。
②目標設定(最高の結果~最低限の結果まで、複数パターン)
3人の他家それぞれに対する対応方針を事前にシミュレートしておきましょう。この後の立ち回りに大きく影響するので、メチャクチャ大事ですよ。
上家 → 2000-3900ツモを阻止したい、それ以下のツモならOK
対面 → ツモはほぼOK、5200点までなら放銃してもトップ終了
下家 → ツモはOK、6400点までなら放銃してもトップ終了
上記①②を踏まえて、牌譜を巻き戻して再度確認していきましょう。
6巡目、対面が2mを234でチーして打5sとした場面です。ここで対面の役と打点を予想します。ドラの白を切っているので、タンヤオもしくは役牌の發/西が考えられます。ドラ白をカンツから落としたという稀有な例外を除き、MAXでもタンヤオ赤3、もしくは役役赤2の7700点止まりの手になるのがお分かりでしょうか。赤3枚を揃える確率は0ではないもののかなり低く、よって(リー棒さえ出なければ)対面のツモはOK、つまり事実上ベタオリが許される状況ということになります。
続いて8巡目、上家が3mをポンし打7sとした場面です。今度は上家の役と打点を予想します。一見タンヤオ?と思いきや、第1打から8p6p3sというのはやや不自然ですよね。役牌を持っていそうな河です。上家に残っている役牌は・・・發と北、そしてドラの白です。發または北の場合逆転トップには赤ドラを3枚揃える必要があり、事実上逆転条件はドラ白を持っているケース(白ドラ3やトイトイドラ2で2000-3900ツモ)にほぼほぼ絞られます。
さて、先ほど整理した②目標設定、そして対面と上家の役と打点の予想を踏まえて、この9巡目の牌姿を見てみましょう。
上家 → 逆転はほぼドラ白絡みのツモ、その他のツモやロンはOK
対面 → ツモはほぼOK、満貫の可能性低い、5200放銃可能
下家 → 跳満ツモでもトップ終了可能
ここまで整理できれば、もうお分かりですよね。実はこの9巡目の時点からベタオリを始めて放銃さえ回避できれば、リスクを負うことなく「ほぼほぼ」トップを守り切ることができるんです。「ほぼほぼ」という表現になっているのは、事実上唯一の逆転ルート=上家が『ドラ白絡みの手をツモる』ケースが残っているからです。ですが上家の役牌がドラ白である確率は単純計算で1/3(發北白)。それ以外は誰がどう和了ろうとも、常識の範囲内の可能性ではトップのまま終了できます。(※下家の倍満や役満、カンしてドラが増えたケースなどは除外)
よって、この9巡目で切るべきは「7p(または6p8p)」あたりがベストだと思います。たった今対面が切って上家が鳴かなかった7pをこの瞬間に通しておき、上家と下家の現物である3sや全体に安全な9pは、下家リーチに備えて温存したい所。上家がテンパイと読むのであれば、安全に6pや8pでも良いですね。上家と対面、打点が高いと思われるのは圧倒的に上家であり(ドラ白を持っている可能性)、対面には5200点まで放銃可能。よって、上家ケアを最優先に、全方位に対して放銃しないように打牌選択をすべきと考えます。
ちなみに、9巡目の実際の手牌はこちら。上家はイーシャンテン、やはりドラ白を持っていました。対面は發バック1000点のイーシャンテンでした。
【おまけ?:その2】
さて、ここまで読んでいただいた皆様の中で、勘の良い方ならもう気づいたかもしれません。オーラス、自身の配牌を改めて見てみましょう。
『・・・これ、中ポンして自分で和了りにいく必要あるのかな?』
そう、これこそが最終的に伝えたかった結論です。前述した①点棒状況の確認と②目標設定をオーラスの配牌確認時までに事前に整理できてさえすれば、自分でリスクを負って和了りにいかなくても良いかな?という思考に辿り着けるはず。かなり極端な言い方にはなりますが、個人的には第一打からいわゆる「配牌オリ」をする選択肢も大いにアリだと思います。配牌オリをすることで放銃リスクを限りなく0にでき、上家が2000-3900ツモの場合のみ残念ながら2着ですが、それ以外はほぼほぼトップ終了ですからね。
しかもこの場面、2着目上家と3着目対面との点差はわずか900点差、お互い2着を確保するために安手で早上がりを狙ってくる可能性も大いにある状況です。事実、2者とも早い段階で副露を入れ、打点よりも速度を優先した立ち回りを選んだわけです。上家は白ドラ3狙いで(たまたま)打点も伴っていましたが。。。
あくまで個人的な感覚ですが、鼻歌を歌いながら「配牌オリ」をしたとしても、どんなに少なくとも80%以上はトップで終了できそうなイメージです。そして残りの20%についてもほぼノーリスクで2着終了。ごく平均レベルのオリ技術を持ってさえすれば、連対を逃すことは99%無いといっても良いでしょう。
一方で中をポンして全力和了りトップを目指した場合、仮に自分の和了確率をかなり高く見積もって40%ぐらいだとしても、残りの60%の状況では手牌が10枚になった状態(=リスクを負った状態)で、前のめりになっている他家3人の攻め全てに対応することが求められます。結果、放銃などの可能性も高まり、最悪の場合連対はおろか西入で3着落ちのリスクさえありそう(=事実、実際にこの牌譜では下家ラス目のリーチに12000放銃し西入、最終的に3着で終わりました)。
上記2つのルート、ここまでの記事を読んだあなたなら、次同じ場面に遭遇したとしてどちらを選びますか?
・・・ということで、オーラストップ目での立ち回りについて実践の牌譜を用いて色々と考えてみましたが、いかがでしたでしょうか。オーラスで無用なリスクを負うのは避けて、しっかり着順を確保することができるようにしたいものですね。
今度こそ本当の終わりです、それではさようなら!!
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