ダブ東ポンの対応を考える(その1)

【ダブ東ポンの怖さ】

今回の記事では、親の「ダブ東ポン」について考えていきます。親のダブ東ポンに対する理解を深めて、段位戦におけるvsダブ東ポンの適切な押し引き(=主にベタオリ判断のタイミング)を身に付けていきましょう!!


なぜ警戒すべきなのか?

まず大前提として抑えておきたいのは、なぜ「ダブ東ポン」を警戒すべきなのか?ということですね。この問いに対して、皆さんはどう回答しますか?

『そりゃ、親のダブ東は2 翻(=2900点)以上確定で高打点だから

ほとんどの人がこのように答えたのではないでしょうか。勿論、これ自体は大正解です。ダブ東のみでも最低2900点から。ドラや赤1枚/役牌で5800点、ホンイツやトイトイなど手役が絡むと11600点と一気に打点が跳ね上がり、高打点に→放銃した時の失点が大きくなっていきます。

これに加えて、意外と忘れがちなもう1つのポイントも抑えておきましょう。それは、「ダブ東ポン=親への放銃は局が消化されない(連荘になる)」、という点ですね。

東場でトップ目/2着目などリードしている時は、子への放銃に関しては多少の点数(2000点とか)ならば局が消化される=そこまで悪くないケースが結構あるのに対して、親へ放銃した場合は自分だけ点棒を失ってかつ局は消化されない・・・良い事が何一つありません。自分がリードしている立場の場合、親の「ダブ東ポン」には特に放銃しないように意識して立ち回りたい所。

逆に、自分がラス目などの場合は、親に放銃しても局が進まない=逆転するための残り局数が残るので、リードしている時よりは若干親にも押しやすい、と言えるかな?と個人的には考えています。

ダブ東ポン研究のきっかけ

続いては、この「ダブ東ポン」について僕が真剣に考えるようになったキッカケをご紹介!!

時は2021年6月に遡ります。当時自分は雀聖2の原点付近を彷徨っていました。そんなときにふとYoutubeで見かけたのが、ないおトンさん(=渡辺太プロ/最高位戦日本プロ麻雀協会)の王座の間段位戦配信です。

この時に見た、親の「ダブ東ポン」に対するベタオリ判断のあまりの早さに、衝撃を受けたのです。

https://twitter.com/horahoora_mjs/status/1401567808073338885?s=20

この日以降、親が「ダブ東ポン」をした局についてはより丁寧に牌譜を見返すようになり、親の打点や速度の読みを強く意識することとなりました。
豚さんありがトン^^

(※こちら、配信アーカイブのURLです。この局開始から見れます!)



【ダブ東ポンに対する押し引き】

さて、ここからがいよいよ本編。
ワタクシほら和了が考える、親の「ダブ東ポン」に対する心構えをつらつらと書き殴っていきます。麻雀における押し引きを決めるために重要な三要素=《打点》《速度》《待ち》の3点それぞれについて考えていきましょう。

《打点》ドラの枚数カウント

まずは親の打点について。大事なのはドラの枚数カウントです。全7枚(表4+赤3)のドラが河に何枚見えているか、そして自分の手牌に何枚あるか。これによって親の想定打点が変わってきます。ダブ東のみの最低2900点から始まり、ドラ1枚で5800点→2枚で11600点と、親は点数上昇の幅がエゲツないですからね。

では、親の「ダブ東ポン」の想定打点はどの辺に置くと良いでしょうか?

・・・個人的には、+1翻の5800点を想定打点として考えるのが良いと思っています。過去の自分の対局を思い出してみると・・・ダブ東のみ2900点っていうケース、あんまり無くないですかね?ほとんどのケースで赤かドラが1枚絡んでくるイメージです。(※注:根拠となるデータはありませんww)
ちなみに、使いにくい字牌がドラの場合はやや想定打点を下げて、逆に使いやすい3~7牌がドラの場合は想定打点を上げて考えると良いかもです。

《速度》早めのテンパイ想定を

続いては速度。子番に比べて高打点が想定される分、テンパイ速度の読みもやや厳しめ(=速め)に見積もっておくとよいでしょう。「まだテンパイじゃないでしょ・・・」ではなく、「もう既にテンパイかも」の意識をちょい強く持つ感じですね。通常の副露だと2副露+手出し1回ぐらいのところ、1副露+手出し2回ぐらいでテンパイ想定のイメージかな?2副露はテンパイ確定扱いで対応しましょう。

個人的には以下4つを、特に意識しています。4つの内2つ以上重なるとテンパイ想定、みたいな感じですかね。ご参考まで。

親の「ダブ東ポン」→テンパイ濃厚のサインは?
 ・親の河に3~7牌が各色並んでいる
 ・ターツ落としが入る
 ・完全安パイ(例:2切れの字牌etc)が手から出てくる
 ・ツモ切りが続いている


《待ち》現物以外を安易に切るな

最後に待ち読みについて。これは副露のブロック読みや手出し/ツモ切り情報などをどれだけ活用できるか、にも当然依存します。なので待ちをどのように読むか、という目線では無く、親の「ダブ東ポン」に対して通り "そうな" 牌を安易に切らないように、ってことをここでは強調しておきます。

生牌の字牌、筋になっている牌、ワンチャンスになっている牌、序盤に切られている牌の外側・・・。これらはあくまで通り "そう" なのであって "通る" とは限りませんからね。親の「ダブ東ポン」に対してオリ寄りの立ち回りになる場合は、現物以外を安易に切るのは極力控えた方が良いと思っています。


押し引きの基本方針

ということでまとめ。
vs「ダブ東ポン」への対応において抑えておきたいポイントです。これらをベースにした押し引きをおススメしちゃうよん^^

 ① 5800点(ダブ東+ドラ1)が想定打点
 ② テンパイ想定はやや厳しめに、2副露はテンパイ確定扱い
 ③ ドラ0/愚形多め/イーシャンテンなら早めのオリ判断
 ④ オリるなら欲張らず現物を切る


【実戦牌譜例:その1】

何切る?(5巡目)

親がダブ東ポン→打發、次巡5m手出しの場面。

まずはこちらの牌譜から。
東1局、下家の親がダブ東ポン→打發。次巡に5mを手出しして、同巡の自分の番で2pをツモった場面です。ここから何を切りますか?

① ソーズ一通を残しつつ6ブロックの構え、不要な7p?
② 8s2枚見えにつき、7s9s落とし?
③ 3sが2度受けなので、1s2s落とし?


ダブ東ポンの分析

さて、下家親の「ダブ東ポン」について考えていきましょう。

まずは《打点》ドラ3m/赤ドラともに1枚も場に見えていません。そして自身の手牌にもドラ0。消去法で、下家親に固まっていてもおかしくありませんよね。ダブ東ドラ1の5800点は濃厚、11600点が出てきても不思議ではない状況です。

続いては《速度》。8s→3pと使いやすい中張牌が2色切られ、その後にダブ東ポン→出てきたのが2切れの安全牌:發です。うーんかなり速そう。次巡に出てきた5mは関連牌っぽくて、このタイミングで結構テンパイ濃厚な感じがしませんか?

最後に《待ち》。これは河の情報が少なすぎて何とも言えません。マンズは5mのまたぎが本線。ピンズは中~上ブロック(4p~9p?)、ソーズは下~中ブロック(1s~7s?)。愚形も含めれば何でもありそう。

こんな感じで、下家親の情報が揃いました。対するは自身の手牌です。


押し引きの方針決定

5巡目の自身の手牌。ドラ無し&愚形多めで、とても戦えない

5巡目の自身の手牌がこちら。とてもじゃないですが親の「ダブ東ポン」と戦える手牌ではない、ということがお分かりでしょうか。現状ドラ0で1メンツ、リャンメンも1つ。最悪愚形リーのみまっしぐらの手牌です。こんな価値の低いリャンシャンテンから無筋を切って親の5800点~に放銃!という行為が愚の骨頂であることを、強く強く認識しましょう。

結論としては、このタイミングでオリ判断が正着になりそうです。そこそこ安全そうな牌で放銃するのも馬鹿馬鹿しいので、基本は現物を切っていきましょう。

それでは何切るの回答例です。

① ソーズ一通を残しつつ6ブロックの構え、不要な7p?
 ×:7pが完全な無筋なのでNG。リャンメン+愚形全てに当たります。
② 8s2枚見えにつき、7s9s落とし?
 ×:7sは完全な無筋なのでNG。
 △:9sは序盤8sの外側ですが、シャンポンは普通にあります。
③ 3sが2度受けなので、1s2s落とし?
 
×:2sは完全な無筋。2s1sの順番で内側から落とすことすらリスクです。
 ○:同巡に対面が1sを通しているので、1s切りが良いでしょう。


何切る?(7巡目)

7巡目の牌姿

7巡目の牌姿がこちらです。
自身は対面が通した現物1s2sを合わせ打ちしつつ、形はギリギリ保っています。ここで中をツモってきました。何も制限が無い場であれば、浮いている5mか7p、あるいは8s3枚見えで価値が下がっている7s9sターツを払いたい所かも。
さて、あなたなら何を切りますか?

前述の通り、下家親は5800点以上のテンパイ想定です。引き続き、こんな価値の無い手牌から7pや7s9sを切って放銃するリスクを負うのはNGです。よって選択肢は現物かつ浮いている5m、もしくは中ツモ切りになりそう。上家対面のリーチも警戒するなら中を残して打5m(ほぼほぼこの局はギブアップになりそう)。中切りはギリギリ和了りも諦めないイメージでしょうか。ただし対面への安全牌が無くなるのがやや怖いですね。


何切る?(11巡目)

11巡目の牌姿

こちらが11巡目の牌姿です。
下家親は5m手出し以降ずっとツモ切り。19牌ばかりとはいえ、さすがにこれだけツモ切りが続くとなるとやはりテンパイしていそうです。

そして注目は対面と上家の河。対面が1s→2s、上家が4p→ドラ3m→6pと無筋を切り飛ばしているのが分かりますでしょうか(※黄色で囲っている牌)。それらを上手く利用して、自身は中→4p→7pと確実に通る牌を切って粘っていますね。ここでツモったのは9m。さて、何を切りますか?

現状まだリャンシャンテンのままなので、ここから無筋9mは打てない。8mは筋だけどシャンポンで当たるし、7sも危険牌。消去法で、ここは現物9s切りorポンカスの東切りが良さそうです。巡目が進んで上家/対面の現物も増えてきたので、完全安パイの東を手離しても大丈夫そうかな?ギリギリ789三色やケイテンも残る一打ですね。


局の結末

下家親の手牌は、まさかまさかの・・・!?

さてさて、お待ちかねの最終結果です。
下家親は5巡目(=手出し5m)の時点でダブ東ドラドラ赤赤、ななななーんと18000点(!)の4-7s待ちテンパイを入れていました。5巡目や7巡目で、不要だからと7sを切っちゃっている人、結構いませんかね?もし仮に7sを切っていたら、東1局で18000点放銃からスタート・・・ラス回避が絶望的な半荘となっていたことでしょう。あー怖いコワイ。


【実戦牌譜例:その2】

何切る?(6巡目)

6巡目の牌姿。

続いてはこちらの牌譜です。
東1局、対面の親がダブ東ポン→打4pの後、2p→赤5sと手出ししてきた場面。自身は6巡目にツモ北。さぁ、ここから何を切りますか?

①ピンズ4連形の伸びに期待し、カンチャン落としの7m?
②ドラ受けだけど孤立の8p?
③まだ安パイを抱える巡目ではない、1切れの北?

それでは先程と同様に、対面親の「ダブ東ポン」、そして自身の手牌について考えていきましょう。

@対面親
《打点》ドラ9pは見えていない。赤5s切り。
《速度》4p2pターツ払いの後に赤5s。中張牌も並んでかなり速そう?
《待ち》河に若干の違和感。トイトイあるかも?役牌は白發中。
@自身の手牌
形はそこそこだが、現状メンツ1つでドラ無し。

・・・どうでしょうか。親の「ダブ東ポン」に対し、やはり自身の手牌が戦える形になっていませんよね。

ということで、完全な無筋の①7mは論外。779pから7p先切りの②カン8pはほとんど無さそうですが、河が変則なので③1切れ北すらトイトイでの放銃リスクがありそうです。良形を求めて9s7s払いなどのルートも、もはや間に合っていない感。ここはグッと我慢して現物の2p、次点でちょっと怖いけど北あたりを切りたい所。もはや、メンツを壊して現物4pを抜いても良いぐらいのバランスがおススメかな?


局の結末

下家さんぐらいの手牌から放銃は激痛ですね・・・

こちらが最終結果です。
下家が7巡目に切った9sが、対面親のダブ東赤5800点に放銃。早期決着となりました。下家の手牌はドラ1とはいえ現状リャンシャンテン。このぐらいの手牌から9sという無筋(=危険牌)を切ることにリスクを感じられるようになりたい所ですね。

とはいえ、下家は9s以外なら何を切るべきだったのか・・・白は生牌でトイトイ怖いし、マンズ6m9mも通っていない。現物7p抜くと手牌が壊れて完全撤退になっちゃう。ギリギリ形が残せる5s(現物)→4s(1s現物で赤5s切り4-7s無さそう)が良さげかな?


【実戦牌譜例:その3】

何切る?(4巡目)

ダブ東+發で、高打点の匂いがプンプン・・・

こちらも筆者の実戦牌譜から。
下家親がダブ東ポン→打6m、發ポン→打8pの場面です。自身は4巡目にツモ3m。ここから9pを切ったんですが、今見るとかなりNGですね・・・。

@下家親
《打点》ダブ東+發で5800点以上確定。赤5m持ってたらヤバイ。
《速度》2副露&8m6mターツ払い。かなりテンパイ濃厚。
《待ち》河が強くて分からない。
@自身の手牌
手が育てば勝負手になりそうだが、現状1メンツ&愚形多め。

「東2局でトップ目」「魅力のある手だが現状1メンツ」「9pは最終手出し8pで普通に危険」「ドラ5m見えてない」・・・4巡目のこのタイミングで、オリ気味の思考を持ちたいところですね。対面の切った4pに合わせて、2枚ある7p切りが良さそう?

この7pポンも微妙だな・・・

5巡目、ここから下家親が切った7pをポン→打3p。これも結構ヤバめのムーブかも(汗)せっかくできた下家親の現物を消費してしまうし、なにより門前放棄で3900点となってしまう手で、3p→テンパイ打牌の4sと2枚も無筋を切って5800以上確定の親に戦いを挑むのは、どうにも割に合っていない気がします。


局の結末

押すも地獄、引くも地獄の局面

親の「ダブ東ポン」に9p→2s→3pと無筋を切り飛ばしたあげく、8巡目のツモ2pでようやくギブアップ判断。とはいえ手牌は中張牌だらけで、さながら地獄絵図。下家親の現物はゼロ、この後対面からリーチが来たら・・・と考えるだけで震えが止まりません。
ちなみに下家親は1-4s待ち、ツモなら2600点オールのテンパイでした。3sポンでワンチャンスだからと安易に1sを切ったら放銃になっていましたね(※実際、5巡目にワンチャンスで2sを切っています)。


【まとめ】

以上、親の「ダブ東ポン」に対する対応を考えてきましたが、いかがでしたでしょうか。「ダブ東ポン」ケアは通常の副露ケアの延長線上にあるものです。両者ともに共通するのは、

◆ 相手の《打点》と《速度》を読んで(+《待ち》読みはオマケ)
◆ 押す価値の無い手牌からは放銃するな!

ってことですね。親の「ダブ東ポン」には "正しく" ビビッて、手痛い放銃を少しでも減らしていきましょう~。

以上、最後まで読んでいただいてありがとうございます!

魂天目指してYouTubeで段位戦配信やってますので、スパチャ代わりにチャンネル登録よろです^^


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