はくぶつがくしゃ
になりたかった。
博物館にある沢山の、世界中から集められたものを人々に紹介する人
それくらいの考えでそう思っていた。
でも、それになりたかった。
何もかもを知りたかった。
「なにこれ?」
「なんでなんで?」
「どーして?」
という感じで積極的な姿勢で好奇心が強かったわけじゃない。
ただじっと、
(…なんでだろう?)
って図鑑や、読めやしない博物館のパンフレットを眺めて、
冒険活劇みたいな妄想をして、
将来は探検家か、
ミステリーハンターか、
吉村作治さんの弟子だ!と思っていた。
本気だった。
高校生の時に一時的に熱が冷めて考古学を全く志望に入れなかったのは、失策だ。
ただ、今の私は結局あの頃と大して変わっていない。
それはある意味で健全なのかもしれない。
25年近く経ったいまも、要は私は冒険がしたいんだ。
世間的にはもう(私が見つけられる世界の)ほとんどすべてのことは解明されているけど、私は私が知らないものを発見したい。
その衝動だけで生きているように思う。
まだ知らぬ知識を求めて進学した。
まだ知らぬ世界を見たくて、でも留学は叶わずかわりに語学を頑張った。
まだ知らぬ社会を見たくてバイト先を決めた。
まだ知らぬものが見れるかもしれないと思いカメラを始めた。
まだ知らぬ場所を見たくて、旅行に行った。
博物学者は未知のものだけを追い求めない。
もう見つかっているものがなんなのかを考える。
人々に、これはどういうものですよと伝える。
そう、私はいまも変わらない。
写真と、動画と、言葉で伝える存在に。
あの頃イメージしていた
はくぶつがくしゃ
いまもそれになりたいんだ。
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