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俺のおやじ、ミノル 【其ノ弐拾弐】 俺のおやじミノルは“ずれて”いるが、実は俺もズレていた


あれは俺が小学校4年のことだった。
(前回もそうだったような‥‥‥)
 

俺はおやじよろしく、掃除の時間に調子に乗って
悪ふざけをしていて、大怪我をした。
 
机を跳び箱にしてポーンとまたぎ越した際に、
思いっきり中指を曲げたまま
手をついてしまったのだ。
 

イメージとしては、中指グワシのようなものだろうか
(それで通じるだろうか?)
 

一瞬のことだったので、何が起こったのか、
自分でもよくわからなかった。

ただ、次第に中指はジンジンと痛み始め、
やがて我慢できないくらい
痛みがこみ上げてきた。
 
掃除の後はすぐ帰宅だったので、
とりあえず俺は保健室で応急処置を受けた後、
一目散で家に帰り、お袋に患部を見せた。
 
しかし、お袋は「つき指だ」と言って、
俺の中指に、おもむろに湿布を貼り、
包帯を巻きつけたのだ。
 

生憎、おやじは帰りが遅く、
翌朝になってお袋が話をしたが、おやじもお袋同様

「そりゃ突き指だ。冷やしときゃ治る」

と言って、そそくさと会社に行ってしまった。
(通勤に1時間半ほどかかるので、朝が早いのだ)
 

結局そのまま2日ほど、
湿布を巻いたまま学校に行った。

が、腫れは一向に引かない。
 

包帯を解いてみると、
なんだか指も曲がってきたように見える。
 
「突き指って、指が曲がるのか?」
お袋にと聞いたところ、

「んー、もしかしたら、折れてるかもね( ´_ゝ`)」

‥‥‥えっ???

 

晩飯の時、その日は飲みに行かずに帰ってきたおやじは
同じく俺の指を見て、こう言った。
 

「ん?こりゃ折れでるわ。
明日、根本医院さ行げば大丈夫だ。」

翌日俺は、お袋に連れられて、その根本医院に行った。
がしかし、そこは接骨院ではなかった。
 
看板にはくっきりと
「根本胃腸科」と書かれていた。。。
骨折すると、胃腸科に行くのか???

そんなもんなのかなーと思いながら、
俺は先生(………いや、あれは今でいう
看護師ではなかっただろうか!?)
に言われるままに、指を見せた。
 
「うーん、こりゃ、ずれてますね。
すぐ来てくれれば、元に戻ったんだけどねー。

このままくっつけるしかないねー。
大丈夫。ちょっとずれてるだけだから♪」
 
ちょっとずれてるだけだとぉ〜〜〜!!!!!!
(#゚Д゚)=○)

・・・・・・・・・・

そんなわけで、俺の左手の中指はそれ以来、
冒頭の写真のように曲がっている。

今となっては、一つ、聞きそびれたことがある。
 
おやじ、なんで歩いて3分ほどのところに
接骨院があったのに、

わざわざそこよりも3倍くらい遠い
「胃腸科」で骨折の治療をする必要があったん???


ぴーこ

実家にいた頃は、俺にはおやじはいるのか?と思うくらい、夜遅くまで呑みあるっていて顔を見る機会も少なかったおやじ、ミノル。晩年は缶ビール1本を飲むか飲まないか、というレベルの酒量でしたが、それでも楽しく嗜んでいたようです。おやじへの酒代として大切に使わせていただきます。