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コラム:たかが挨拶、されど挨拶

大知俊基(ぼす)

とある会社で毎週ビジネスマナーを教えています。新年度になり新しい受講者も参加するタイミングですので、身だしなみや挨拶、敬語といった基本的な内容が最近のテーマです。

講座の冒頭、「普段の行動で気をつけていること」というお題で、グループでディスカッションおこなってもらいました。あるグループに私も参加し、新しく入った受講者の方に「普段、気をつけていることはありますか?」
と問いかけたところ、聞いたことのない言葉が返ってきました・・・。

「せんげんごれい」
初めて聞く言葉だったので何度も聞き返してしまい、それでも分からなかったので手元のメモを確認させてもらいました。

「先言後礼」
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一瞬、頭が真っ白になっているところにその受講者から「先に挨拶をし、そのあと礼をするように心がけています」というコメントが!漢字の意味からも、挨拶とお辞儀の作法のことだと何となく分かりました。
「なるほど、普段そういうところに気をつけていらっしゃるんですね」
と形式的に返すので精いっぱい。その言葉を知らなかった自分に心の中は相当焦っています。何とかそのまま講座は進めて、終了後に早速検索してみました。

- 先言後礼 -
「言葉を先に、礼を後に」という意味で、挨拶をする際に相手に対して向き合って挨拶の言葉を発してからお辞儀をするという動作のことを指す。「語先後礼」「分離礼」とも言う。相手のことを考えた丁寧な挨拶の礼儀作法で、接客のお仕事などではこの基本型を徹底している企業もある。

知らなかった・・・。
知らなかった自分を恥じ入るとともに、これを知っていて普通に講座の中で話すことのできる受講生に感動すら覚えました。しかも、ビジネスマナーの基本である「相手のことを考える礼儀作法の基本」とあります。これまで偉そうに教えていた自分が恥ずかしい・・・。

この言葉を知ってから、相手からの挨拶やちょっとしたコミュニケーションにも意識が向くようになりました。自分に対して丁寧な挨拶をしてくれていることが分かると、とても嬉しい気持ちになります。「挨拶にまで相手への意識や感謝が込められている」ということに気付くというのは、ある意味とても幸せなことです。

コスパ(コストパフォーマンス)やタイパ(タイムパフォーマンス)など、何かと効率を求め急ぎがちな現代人ですが、こんな挨拶の仕方を意識してみるのもいいもんだなあ、としみじみしています。

おっと、来週の講座は「挨拶とお辞儀」がメインテーマだ。早速「先言後礼」を盛り込まないと。

_/_/_/_/ ホープワークニュースレター vol.26_/_/_/_/
<希望の便り from ホープワーク協会>2024.4.18