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『小さき者たちへ』刊行によせて by夕暮宇宙船

『小さき者たちへ』は2023年12月7日の日記です。

昼のラジオを聴きにベランダに出て、犬と他愛のないやりとりをした時、久しぶりに漫画が描けそうな気がして筆を執りました。

ですがいざその「平和」が満ち足りた光景を描こうとすると、その前夜に知った遠い国の現状が頭の中で肥大化します。

それを無視して今何かを描こうとすることに対して口の中に苦味が広がります。

だからといってそのことに触れようとすると己の無知さ、無力さ、矛盾に行き当たり、恥ずかしく、苦しく、いたたまれなくなります。

それならばと開き直って全部出してみることにしました。

前夜に観たD2021の配信でどなたかが仰っていた「あなたにもできることが必ずあります」という言葉が頭の中で響きます。

ですがそうして出来上がったものは、
「私には何もできなさそうです」
という長い言い訳でした。

それは正直今も変わっていません。

人には一人分の力がある、その言葉を信じたいですが、止むことなくタイムラインに流れてくる地獄絵図を呆然と眺める日々の中で、実感を伴ってその言葉を発することはやはり出来そうもありません。

世界の凶悪さが増していくスピードに度々絶望するのと同時に自分の周辺のことも何一つうまくいきません。

それでも私もあなたもどうか闇に飲まれないで。

闇に飲まれるくらいなら周りにどう思われようが享楽的でいましょう。

自分のことで手一杯の時、逆にとても幸せな時、世界で起きている絶望から目を背けてもいいと思います。

そう自分にも言い聞かせています。

何も言葉を発しない人、行動しない人、何も感じていなさそうな人、自分の言葉に反応してくれない人をどうか責めないで。

本当の敵はその人じゃないです。

そしてあなただけは、願うことをどうかやめないでください。

たとえいくら矛盾を抱えていようと、無力であろうと、冷笑にさらされたり揚げ足をとられたりしても、願いを捨てないでください。

私もそうすることにします。

地下BOOKS小野寺さん、紹介してくれたしいねはるかさん、ありがとうございました。

真摯でやさしいおふたりがいなければ、この話を本にしようとは思いませんでした。

読んでくれた人、買ってくれた人、あなた方ひとりひとりのおかげで、ひとりじゃないと思えました。ありがとうございます。

どうか願い続けてください。

私も私の場所で頑張ります。


夕暮宇宙船


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