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精神病院を出てから

精神病院を出てから明日でちょうど一週間になる。その間に僕はいくつもの本を読んだけれどいまいち判然とせず、内容を思い出せない。それでも内容を追っているときの内側の暗闇にまっすぐ向かっている感覚が好きなので、刹那的な消費だと思えば別に記憶できていなくてもいいのかもしれない…。いや、それはさすがに言い過ぎかな…。

精神病院にいた頃は読書とウォークマンとラジオと他の患者さんのひとりごとが娯楽だった。

読んだ本はボルヘス(難解すぎて繰り返し読んでもわからなかった)、木下古栗(中原昌也を穏やかにした感じだった)、中澤系(10回くらいは読んだのでいくつか短歌を諳んじることができる)、あと歌集の桜前線開架宣言(読んで一番良かった本、とにかく短歌がいっぱい載っている)などなど…。

ウォークマンで聴いていた歌はplastic treeとバズマザーズと神聖かまってちゃんが中心だった。殊にplastic treeは脳内カラオケ大会でも繰り返し流していた。どの曲も外れがなくてスルメ曲がいっぱいあるバンドだと思う…歌詞も現代詩みたいでいいし。ヴィジュアル系バンドが嫌いな人にも勧めたいバンドだ。

ラジオは特に番組名を覚えるほど聴いたわけじゃないが、日曜日にある音楽ランキング20みたいな番組はよく聴いていた。というより隣の患者さんがイヤホンなしでスピーカーで聴いていたので強制的に聴かされていたのだけれど…。最新の音楽シーンを追えるいい番組だったと思う。

患者さんのひとりごとは、人間ラジオみたいな感覚で聴けるから楽しい。精神病院という場所は9割の患者さん(今までの経験からの体感的な数字)がひとりごとを呟くので同室であれば強制的に聴かされる…。ひとりひとりに違いがあり、ファンタジーな内容があれば残酷な内容もある(もっと詳しく書ければいいのだけれどあまり覚えていない)。

…まあそんな感じに僕は過ごしていたのだ。幻聴のことはあまり書かないようにした。暗いよりかは明るいほうがいいと思うので。なんだかずいぶんとコンパクトな記述になったけれど、文章を書くリハビリみたいなものなのでそこはご容赦いただきたい。いずれは長文で現代詩や美少女ゲームについて書いていきたいと思う。とにかく今はこれでいいのだ。本当にこれでいいのか…。ぶっちゃけ5ちゃんねるに精神病院のスレ建てをしたほうがマシなのかもしれないが…。でも、それでも、これでいいのだ。完。