サウジアラビとイランの国交正常化交渉!両者の思惑と中国の仲介の真相はいかに—2号2023年3月16日

 3月10日、イランとサウジアラビアが2ヶ月以内にお互いの大使館を再開させることに合意したという報道がされた。

 世界ではライバル関係にあった両者が関係改善に合意したことだけでなく、それを中国が仲介したことも世界を驚かせた。

 米国の中東へのプレゼンス低下が指摘されると同時に、中国の影響力が大きくなっていると報道されている。それらの報道は誤ってはいないだろう。しかし、両者の仲介を中国が最初から施していたわけではない。

 イランとサウジアラビアは2019年頃から関係改善を模索していた。イラクの仲介などにより関係改善に向け議論を進めていた。議論が煮詰まったところに中国が乗りゴールテープを切ったというのが今回の真相だろう。

 2019年、サウジアラビアの製油所で爆発・炎上する事件が起きた。イエメンの親イラン系組織フーシ派による犯行とされていたが裏にイランがいるとサウジは指摘した。

 サウジは同盟国である米国が何かしらの報復措置を行うと信じていたが、同時の政権は何の行動を行わなかった。当時の政権が共和党でドナルド・トランプだったこともサウジに衝撃を与えた。「共和党で何もしてくれなかったら民主党の場合はなおさら…」とサウジは思った。

 サウジはそれを機に独自で防衛すること模索した。それがイランとの関係改善だった。さらに両者ともイエメン内戦、シリア内戦に介入し疲弊しておりお互いに動機があった。

 イラン側もアブラハム合意以降、友人が少ない中東地域で旧友と仲直りすることに損はない。その結果が今回報道されたイランとサウジアラビアの合意であろう。

 バイデン政権の中東外交の失敗と報道されることもある。その面も否定できないが、以前から指摘されていた「米国の中東離れ」の結果が今回形となって現れたと筆者は考える。


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