飴玉(1分小説)
美代子ちゃんは、小学三年生の女の子だ。
お母さんのおつかいでよく近くの商店へ買い物に行く。
買い物に行くと、お店のおばあちゃんが
「えらいねえ、」
「お利口さんだねえ、」
と言って、飴玉をくれる。
そうして、いつも、美代子ちゃんは貰った飴玉をなめながら帰っていた。
ある日、お店の前を通ると
「ただでやるやつがあるか。」
と、おじいさんがおばあさんを𠮟りつけていた。
美代子ちゃんは、怖くて走って逃げた。
その日から、美代子ちゃんは、その商店へ行くのが怖くなった。
でも、近くにはその店しかない。
渋々、美代子ちゃんは、その商店へおつかいに行った。
お店のおばあちゃんは、いつものように飴玉をくれた。
美代子ちゃんは、十円をおばあちゃんに渡した。
おばあちゃんは、
「おばあちゃんにお小遣いをありがとうね、」
と、ニッコリ笑って受け取った。
それから、飴玉を貰う時は、十円渡した。
その方が、行きやすかったからだ。
そのうち、中学生になり、高校生になり、社会人になり、もう、その商店へおつかいに行く事はなくなったが、スーパーへ行った時は、愛の募金箱に十円入れるようになった。
感謝の気持ちが、美代子の飴玉になっていた。
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