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漫画についてのお話(下)

はい。前回の続きです。
前回の記事はこちら↓からどうぞ。

さて。
いわゆるジャンプ黄金期の漫画をほとんど知らずに育った私も、大人になってきてある程度人生の選択肢を選べるようになってきた。

そこで私は生まれて初めて(他の多くの人が少年時代にはとうに済ませていたであろう)色んな経験をするのだが、そのうちの1つが『少年ジャンプ』を読むことだった。某駅の改札近くにあった書店の入り口で、月曜日に山積みされているジャンプを立ち読みした。当時は貧乏極まっていたので、買わずに立ち読みである。

別に漫画自体に感動したとか、面白かったとか、そういう記憶はない。一度は名前を聞いたことがあるような漫画の最新話が載っているのに感動したが、それは漫画そのものに対してではない。
ただ、「ジャンプ漫画を知らない」ことにより、今後いじめに遭ったり、寂しい目に遭わないためだけに必死で読んでいた。

かくして、私は「日本一少年ジャンプを読み始めた年齢が遅い人間」を勝手に自称している。当時20歳ぐらいだったのだが、少なくとも現代において、20代以降に初めて少年ジャンプを読んだ(もしくは連載している漫画を単行本で読んだ)、という日本人男性などいないと本気で信じている。

それはともかく。
大人になったとはいえ貧乏学生だったし、就職してからもそれほど給料を貰っている訳ではなかったので、買わずにひたすら立ち読みを続けた。
ある時は書店で、ある時はコンビニで。
巻頭から巻末の打ち切り漫画まで、隅から隅まで30~40分かけて毎週毎週ひたすら立ち読みしていた。当時よく行ってた書店やコンビニでは絶対に覚えられていたに違いない。
どうしても旅行などの事情で立ち読みができそうにない時だけ買っていたが、それは年に1~2回だった。

やがてジャンプだけに飽き足らず、マガジンやサンデー、果ては青年誌や月刊誌にまで手を出していた(当然全て立ち読みで)時期もあったが、さすがに色々ときつい(体力的・時間的な問題、立ち読みができる状態で置いてあるお店があるかどうかという問題)のでこれは長くはもたなかった。ちなみにチャンピオンは(多分今でもそうなのだろうけれど)そもそも置いていない店が多かった。

とにかく、そのおかげで、ゼロ年代後半~10年代にある程度流行った少年漫画は、多少なりとも把握することができた。
新連載の頃から読んでいた漫画がアニメ化された時は謎の達成感を覚えたものだ。
…とはいえ、所詮は立ち読みである。大筋は覚えていても、細かい展開までは1回の立ち読みで覚えきれるものではない。例えばかの鬼滅の刃なんかも第1話からずっと立ち読みで読み続けていたはずなのだが、アニメを観ても展開に全く記憶が無かった。(おかげで新鮮な気持ちで楽しめたが)

…しかし、そんな立ち読み生活も、数年前に突如として終わりを告げることになる。
コロナ禍である。

今まで立ち読みできていたコンビニや書店でも、感染対策のもと雑誌には厳重に包装がなされるようになり、そもそも外出自体に厳しい制限が課される中、立ち読みという行為自体がほぼ不可能になった。
さすがにこれは無理だ、ということで、15年以上続けていた立ち読み生活に別れを告げることにした。
そして最後に記念、みたいな意味を勝手に込めて、コンビニで厳重に包装されたジャンプを1冊買って帰った。
以降、コロナ禍ということもあり、私が漫画を読むことはほぼなくなった。

さて、そのコロナ禍で最後に買って帰ったジャンプの巻頭を飾っていたのが、他でもない鬼滅の刃だった。
(これはさすがにネタバレにはあたらないと思うので書いてしまうが)無惨様を倒して、戦後処理が終わっていよいよ次回が最終回!…という回である。
なので、私の中で鬼滅の刃という作品は、最終回の1話手前で4年間止まり続けているのだ(一応、友人から最終回の簡単なあらすじだけは聞いているが)。アニメがあれだけヒットしたのでさすがに最後までアニメ化されるだろうから、数年後に最終回をこの目で確認するのを楽しみにしている。


という経緯でコロナ禍以降漫画をほぼ読まなくなった私だが、去年ぐらいからいわゆる漫画サイトに登録をして、(今のところ無料で読める分のみだが)久しぶりに少しずつ漫画を読むようになった。
主にアニメ化等で話題になったり好きになった作品や、かつて立ち読み時代に読んでいて印象に残っていた作品なんかを中心に読んでいる。

以前より収入が増えたとはいえ、昨今の物価高もありまだまだ趣味や余暇にそこまでお金をかけられる訳ではない。
いつかちゃんとお金を払って、漫画をしっかり読む日が来るといいのだけど、果たしていつになるのか、そもそもそんな日は訪れるのか。未来は誰にも分からない。


…という感じで、ふと思い立ったので(ネタがなくなったので、ともいう)自分の「漫画」に対する思い出をエッセイ風に前後編に分けて書いてみました。
お暇な時にでもじっくり読んでいただければ幸いです。

それでは次回、またネタができたらお会いしましょう。

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