小説・ミニマリストM子の憂鬱【前編】

捨てることに取り憑かれた女、ミニマリストM子。

ミニマリストM子には、あとひとつ捨てなければならないものがあった。それは捨てたくても捨てられなかったもの。


今まで、ありとあらゆるものを捨ててきた。親、兄弟、友達さえ捨てた。一度捨ててみたいけど、まだ実現していないのが、恋人を捨てること。そして、結婚したら、旦那を捨ててみたいと思っていた。

いままで一度も彼氏がいたことがないミニマリストM子。
ミニマリストM子には大事にしてきたものがあった。それを捨てるときは愛する人が現れたときだと思って40年間生きてきた。いや、40年というのは、正確に言うと違う。友達が15歳でそれを捨てたときいたとき、ミニマリストM子は、自分もいつかは捨てなければと思った。それから25年の月日がたった。いまだにそれを大事にしている。

40歳で、まだ? と人は言うかもしれない。

しかし、ミニマリストM子にとって、それは、40年間守ってきた大事なものなのである。ここまで、大事にしてきたのに、簡単に捨てることはできない。


完璧なミニマリストを目指しているミニマリストM子は、捨てられるものは捨てなければ気がすまない。ついに、それを捨てる決心をした。

 

 後編につづく

 

次回予告

ミニマリストM子、ついに動き出す!
M子、それを誰に捧げるのか!?

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