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蓬莱の妃 1章2節 《水の章》 §3



前書き


いつも来て戴きありがとうございます。
前書きという名の口上(?)を奇数セクションごとにあげようと思った理由として、単に分割したものをあげるのは味気ないかなと思っただけですので大それた他意はございません(笑)
栞みたいな感じで受け取っていただければ幸いです。

という事ですが、一応前セクション(§2)の案内はしておこうかと思います。



登場人物


宮内 咲夜(みやうち さくや):宮内家の次女。帝都東京大学出身で都内私立大学にて薬学研究の分野で大学院生をしながら個人企業の実質的代表者及び魔法使い研究SNSカンパニー『ウィッチ ド ブリュー』代表者。容貌は姉とは双子ながらも正反対の可愛らしさのある女性だが、言葉遣いに関して(特に姉に対して)は激辛でその他の人に対しては本人から壁を作っている節もある。彼女も姉と同様に能力者であり『仲介者』として活動もする事もある。

 宮内 柾城(みやうち まさき):宮内輝夜・咲夜姉妹の父親。光流とは母親が同じという事で光流は実の兄に当たる。現在の明香神社の山梨県側の総宮司。



§3 私の未来を出汁に使わないで戴けますか?【咲夜語り】


《早朝、久しぶりに咲夜は来春開設するサロン等を立ち上げる為の相談をする為に本家にいる父親の元に行っていた。》


 「咲夜、これが一応事務所の手続きに関しての書類と事務所登記の原本からの写しだ。お前の方でもチェックをしてくれ。
 これはうちに代々お世話になっている税理士先生にお願いして作ってもらったものになるから、先生にお会いしたらお礼と顧問としてお願いをしてくれ。」

 現在は午前9時10分ぐらいという事を久し振りに宮内本家のリビングにある掛け時計で確認しました。

 ここは幹線道路沿いにあるので私達姉妹の家よりかは車の通りは多いかなと。
 元々あった築数百年という骨董品レベルの建物もありますが現在は立ち入り禁止になっていますので、現在の居住場所となっているのは私たちが5歳の時に建て替えた何にも重みも面白味も無いハウスメーカーのものです。

 此処にはお母様が入退院を繰り返していた関係で偶に泊まるぐらいしか泊まる事をしなかったので印象らしき物は無いかなと感じております。

 建物の設備など考えれば最低限の設備しか無いうちの家よりかは快適なはずなのですけど、正直居心地が良いと感じません。
 お姉様の場合は更に私より良い印象は持っていませんから、此処にはお姉様が海外の大学に行くと決めてお爺様に報告とお願いをした時以来来ていません。

 本来姉様が本家で行っている《手合わせ》も姉様の『隣の境内であれば私の結界がフルに使えるので修練するのにやりやすいのでそちらでやりたい。』と言う姉様お得意の屁理屈をたてて隣の神社境内にて行っています。

 一応今でも正月に本家に伺うことになっていますが、その度お姉様は色々都合を用意して顔を出しておりません
 今年の正月は『りょうしかいごう?(謎)』との事で正月中離れる事ができないとの事、去年は卒業課題のまとめで帰国しなかったという事、その前は『帰国する理由がないので帰りません。』という事で本家に顔を出しておりません。

 それだけ姉様が苦し紛れでも本家に行かないと言う言い訳を作っている原因になっているのは今私の目の前にいるこの父親の存在という事でしょう。
 母親を亡くしてから後妻を娶ることもせず、ひたすら此処の宮司という後継者という地位とこの地域における影響力という物をひたすら求めてきた人ですから、私たちの世話は黒田さんに実質上丸投げでした。

 でもお陰様で私たちは伸び伸びした環境と人間教育を与えて戴きました結果問題児にならなくて済んでおります。
 ですからこの一人間として持っている『狭量な部分』が何となく嫌なのです。

 しかしながら今日はその父親に頭を下げてお願いした事を受け取りにきたので嫌な顔を出す訳にはいきません。

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2,601字
既刊している電子書籍が1記事1万字以内程度に収まるように再編集しておりますので空いた時間に読めます。

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